契リ部の真実
深夜の旧校舎。部室棟の片隅に漏れるわずかな明かりを目指し、主人公は自らの意思で闇に足を踏み入れる。
警備をすり抜けるという危険な行為さえ、今の主人公にとっては日常の一部のように感じられる。
そこには数人の生徒たちが集い、儀式のような光景を作り出していた。
あの人を囲み、崇めるように頭を下げる面々。その中心で螺旋の模様と赤い液体が絡み合う円卓。
不穏な香りに包まれた世界の中、主人公の心は高鳴りながらも、後戻りを許さない運命を受け入れようとしている。
夜闇の中で浮かび上がるこの部活動の実態は、果たして愛の成就なのか、背徳の儀式なのか。
夜。私は意を決して旧校舎へ向かった。警備員の巡回を避け、塀を乗り越えて校舎裏へ。いつの間に覚えた手順なのだろう、自分の行動が信じられない。
旧校舎の部室棟に足を踏み入れると、昨夜見たあの部屋から灯りが漏れていた。扉をそっと開けると、中には数人の生徒が円卓を囲んでいる。ロウソクの明かりが部屋の壁に揺らめき、不気味な影を作っている。
中央にあの人がいた。私を見ると、小さく微笑む。周りの生徒たちは一斉に頭を下げる。まるであの人を崇拝するかのようだ。
「来てくれたんだ。……じゃあ、さっそく始めようか」
あの人の言葉に、周囲の生徒が動き出す。円卓の上には螺旋状の模様が描かれ、血のように見える赤い液体がにじんでいた。香のようなものを焚いているのか、部屋は怪しげな香りに包まれている。
「……怖い?」
あの人は私を見つめて尋ねる。その声には優しさが滲んでいるようでもあり、試すような鋭さもある。私は首を横に振った。
「あなたと同じ場所にいるなら、怖くない。……本当は、少し怖いけど」
正直な気持ちだった。心臓はバクバクと音を立て、汗が背中を流れる。けれど逃げ出そうとは思わない。あの人のためなら、私も“契り”に手を染められるかもしれないと思ってしまう。
一見すると日常からほど遠い深夜の学園生活。だが、主人公はあの人の言葉を信じ、未知の領域へ踏み込むことを選びました。
そこに広がるのは、甘美な誘惑と背徳が入り混じった異質な光景です。
円卓に描かれた螺旋模様、崇拝するように集う生徒たち、そしてあの人の柔らかな微笑み。
主人公の心に去来する恐れと興味、両方を飲み込んでしまうかのような儀式が、今まさに始まろうとしています。
すべてを受け入れようとする主人公の姿勢が、いずれどんな結末を招くのか——その道筋は、まだ誰も知らない闇の中へと続いていくのです。