隠された部活動
夜の図書室で見つけた契りの書物と、あの人の冷ややかな微笑みが忘れられないまま、日常の学園生活が始まる。
廊下を行き交うクラスメイトや授業のノートが、いつもと変わらない光景を映し出す一方で、主人公の内心は何かに引き寄せられるように騒がしい。
そこへ飛び込んできたのは、謎めいた同好会——「契リ部」という名前。
部活動が盛んな学園で、表向きの実態を持たず夜にしか活動しないという噂は、儀式に憑かれた主人公にとって放っておけない存在。
普通の学生であれば、不気味な噂で終わらせてしまうところ。しかし、主人公はその秘密を解き明かすため、再び旧校舎へと足を運ぶことを心に決める。
翌朝、学園ではいつも通り生徒たちが登校し、何事もない日常が再開する。廊下で友人が私に声をかける。「昨日から様子が変だよ。大丈夫?」と。しかし私は曖昧に笑って誤魔化すしかない。
頭の中は昨夜の“契り”の本と、あの人の表情でいっぱいだった。授業に集中するどころではない。気が付けばノートの隅に“契り”“血”という文字を走り書きしており、自分で見てもぞっとする。
放課後、教室から出ようとすると、隣のクラスの女子が小声で囁いた。「最近、“契リ部”なんてものがあるらしいよ……。噂だけどね」と。私は思わずその言葉に反応してしまう。
“契リ部”? まさか正式な部活動ではあるまい。しかしこの学園は部活動が盛んで、全国的な実績を持つクラブも多い。その隙間を縫うように怪しい同好会があっても不思議ではない。
いくつか情報を集めていくと、どうやら旧校舎の一角を勝手に使い、夜な夜な怪しげな集会をしているグループがあるという。部員はごく少数で、名前も公表されていない。表向きは活動実績ゼロ。顧問もいない。だが、生徒の間では“選ばれた者だけが入れる部活”として噂されていた。
これは紛れもなく、「契りの儀式」に直結する話ではないだろうか。私の胸は高鳴る。あの人がそのメンバーなのかもしれない。もしかすると、あの人こそ“契リ部”を主導する張本人なのかもしれない……。
そう思った途端、どうしても確かめたくなった。旧校舎へ足を運べば、また何かわかるかもしれない。日が暮れるまで時間を潰しながら、私は一人その場に佇んでいた。
一見、何事もなく進行する昼間の学園。けれど、主人公の胸には「契リ部」への好奇心と、あの人に対する執着心が絶えず揺れ動きます。
普通のクラスメイトとの会話ですらどこか浮ついてしまい、ノートには呪いのような文字を走り書きするほど。
日が沈むにつれて旧校舎に向かおうと決意を固めるその姿には、夜の闇に潜む真実を覗きたいという欲望が垣間見えるでしょう。
はたして契りの儀式と“契リ部”の関係は何なのか。あの人が主人公を誘う理由とはいったい——。
闇が深まるほど、背徳的な秘密と危険な魅力は、その姿をはっきりと浮かび上がらせていくのかもしれません。