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同郷の勇者

新年あけましておめでとうございます。

「……はぁ」


 朝早くから俺はため息ばかりついている。行きたくない。めんどくさい。王城に向かう俺の足取りは重くなる。


「はぁ。すいませーん。霧屋星火ですけど、開けてくれませんか」


 王城に着いた俺は兵士に声をかける。昨日と同じ兵士だったため、すぐに門が開いた。


「おはようございます。霧屋様。勇者様はもう訓練場でお待ちになっています。私についてきてください」

「わかりました。朝早くからご苦労様です」


 兵士の案内で訓練場に向かう。昨日とは全く違う道を進み、何度も曲がり、扉を開けると、訓練場に辿り着いた。


 うん……次来た時も案内がなければ迷子になるな。そんなことを考えながら訓練場の中心にいる男女の元に向かった。知らなかったが、勇者は二人いるみたいだ。


「初めまして。勇者様。私は霧屋星火と申します。勇者様の魔法の指導をさせていただきます。といっても、あまり教えられることはないと思いますが、よろしくお願いします」

「初めまして。俺は坂崎陽真(さかざきようま)です。陽真と呼んで下さい。敬語もいりません。よろしくお願いします」


 黒髪のメガネ男子。いかにも真面目そうな人だ。


「私は倉田(くらた)ナナ。ナナでお願いします。私も敬語はいりません」


 大人しい雰囲気の人だ。

 俺の勇者達への第一印象はそんな感じだ。しかも名前を聞いた感じ、日本出身の同郷みたいだ。


「わかった。まずは、魔法について説明するね。魔法はイメージが重要で、自分がイメージした現象を魔力を糧に発生させるんだ。魔法の属性は火、水、風、土、雷、光、闇の七属性と誰でも使える無属性があるけど、二人の適性は何属性?」

「火属性と風属性」


 陽真がすぐに答える。


「火属性と水属性と土属性」


 少し遅れてナナが答える。


「わかった。じゃあ、火属性の魔法を例に見せよっかな。二人はロウソクに火がついているのを想像しながら、俺の指先を見て。ファイア」

 

 俺の指先に小さな火が付く。


「うぉ――!」


 陽真のテンションが上がり、そう叫ぶ。ナナも目を丸くして驚いている。魔法はロマンだからね。そうでなければ中二病は起きないから……俺は遠くを見つめる。


「改めて二人もロウソクの火をイメージして、ファイアと言ってごらん」


 視線を戻した俺は二人に促す。


「「ファイア!」」


 二人の声と同時に二人の指先に火が付く。


「できた!」

「やった!」


 二人とも初めての魔法に感動している。俺もグルジャ・バルトルスの記憶がなければ、その感動を味わえただろうに……


「魔法の威力は込める魔力の量によって変わるけど、魔力の感覚? って言えばいいのかな。自分の意思で込める魔力量を変えれる? 無理なら何度も魔法を使って感覚を覚えるしかないけど」

 

 気を取り直して二人に質問する。


「わからない」

「……無理」


 二人とも首を横に振る。


「じゃあ、さっき言った通り何度も魔法を使って覚えるしかないね。魔法の感覚を覚えられれば、複雑な魔法も使えるようになるから。例えば、ファイアトルネード!」

 

 俺は近くにある訓練用の的に狙いを定めて火属性魔法と風属性魔法の混合魔法を放つ。ファイアトルネードによって的は粉々になった途端に燃え尽きた。


「ま、こんな感じかな。俺は使えないけど、もっと複雑で強力な魔法もたくさんあるから頑張ろう!」


 俺は全然使えるだろうけど、使えないって言った方が王様に疑われないだろうから。


「「はい!」」


 魔法を見たことで、俄然やる気になった二人は魔法の練習を続けた。

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