表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

冒険者になる

 そんなこんなでやってきました。冒険者ギルド!! 漫画でよく見る流れについテンションが上がる。


「すいません。冒険者登録をしたいのですが」


 受付嬢に声をかける。異世界のテンプレ、猫耳だ! 触りたい! 顔には出さないが、内心とても興奮している。


「かしこまりました。登録料は20ガルです」


 20ガル。グルジャ・バルトルスの記憶から1ガル100円くらいだから、2000円か。財布から20ガルを渡す。


「お預かりします。ではこちらの紙にお名前をお書きください」


 霧屋星火っと、俺が書いた文字はこの世界の文字に変わっていた。どうやら、記憶を得たことでこの世界の文字を書けるらしい。記入した紙を受付嬢に渡す。


「お預かりします。冒険者カードを発行いたしますので少々お待ちください」


 受付嬢のぴょこぴょこ動く耳を眺めて楽しんで待っていると、すぐに受付嬢に呼ばれた。


「お待たせしました。こちらが冒険者カードになります」

「ありがとうございます」


 Fランクと書かれた冒険者カードを受け取る。これで身分証は手に入れることができた。せっかくだから依頼を受けようかな。


 依頼書が貼られている壁を見るとゴブリン討伐、薬草採取、急募! ブルードラゴンの討伐と様々な依頼が貼られていた。俺はその中から薬草採取の依頼書を手に取り、依頼を受けた。


 依頼を受けた俺は王都トレア近くの森にきていた。この森は比較的危険のない森らしい。


「とりあえず試してみるか。サーチ」


 サーチの効果により、薬草が光って見えるようになった。


「どうやら魔法を使えるみたいだ。それなら、ステータス」


 

 霧屋星火


 HP 100

 MP 9995


 全属性魔法



 俺のステータスは記憶にあるグルジャ・バルトルスのステータスと同じだ。俺が転生したのは、俺とグルジャ・バルトルスが根本的に似ていたためかもしれない。もうどうだっていいけど。


 全属性魔法はどんな属性の魔法も使え、想像次第でどんな現象でも引き起こすことができる。元いた世界の知識を使えばできないことはないだろう。


 そんなことを考えながら、俺は見渡す限りの薬草を採取した。手持ちの袋いっぱいまで採取できたため、成果としては上々だ。


 俺は冒険者ギルドに戻り、受付嬢に薬草を渡した。


「これで依頼完了となります。こちら、報酬の100ガルです。お疲れ様でした」

「ありがとうございます」


 換算すると、薬草採取で日給1万円。それなりに稼ぐことができた。

 

 俺は100ガルを財布に入れ、目を覚ました場所であるグルジャ・バルトルスの家に戻った。しかし、家の前には兵士が何人もいて、家の中のものをどんどん運び出していた。


「何してるんですか!?」


 慌てて兵士に詰め寄り、声をかける。


「何してるって、亡くなられた賢者様の遺品を回収しているだけだが。賢者様の遺品の中には、悪用されれば国さえ滅んでしまうものがあるからな。それよりお前は誰だ? 賢者様の関係者か?」

「俺は星火。賢者様の弟子だ」


 俺は咄嗟に嘘をついた。転生魔法の失敗で選ばれた赤の他人です……なんて言っても誰も信じてくれないだろうし、関係者じゃないと言えば、兵士からは怪しく見えてしまうと考えたからだ。


「そうか。でも悪いな。王様の命令だからやめることはできないんだ。文句があるなら王様に言ってくれ」


 兵士はそう言うと、もう取り合ってはくれなかった。


「しょうがない」


 俺は諦めて近くの宿で泊まることにした。ベットに横になってくつろいでいると、ふと疑問に思ったことがあった。


「勇者召喚は成功したのか?」


 勇者召喚が成功したというなら、その話を一度でも耳にするはず。しかし、今日一日誰もそんな話はしていなかった。それどころかグルジャ・バルトルスが亡くなったという話も兵士からしか聞いていない。


「まあ、いっか」


 俺には関係のないことだから。そう思って俺はそのことについて考えるのをやめた。そして、明日は何をしようか悩みながら眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ