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Happiness  作者: 遠藤 敦子
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 川上さんに連絡してみると、退院して体調も良くなったとのことだった。面接させていただきたいので日程調整をお願いできますかと言うと、平日の日中で何日か提示される。もともと僕が有給をとっていた日もあり、その日に面接に行くことになった。

 面接日程が決まり、履歴書と職務経歴書を準備する。また仕事終わりに、美容院で髪を切ることになった。後は受け答えの練習のみだ。それぞれ違う日の昼休みに松宮さん、郁大、星野さんに面接官役をしてもらい、フィードバックももらった。これで対策はある程度ばっちりだ。


 いよいよ面接当日を迎える。川上さんとは初対面ではないとはいえ、僕は緊張していた。

「川上さん、ご無沙汰していました。小野関です。本日はよろしくお願いします」

緊張した様子で僕が挨拶すると、川上さんは「小野関くん、来てくれてありがとう」とあたたかい紅茶を用意してくれる。紅茶を飲みながら、僕の履歴書と職務経歴書を片手に面接が始まった。雑談がてら僕の居酒屋でのアルバイト経験や、飲食店勤務はブランクがあるけれど頑張りたい気持ちを改めて話す。また工事部時代のクレーム対応を含む顧客対応経験も活かして、店長候補として貢献したいとも。

 結果として、僕はその場で即採用された。「小野関くんが面接に来てくれてよかった。引き継ぎとかもあるだろうから今すぐ来てとは言わないけど、ぜひ俺の右腕になってほしい」と川上さんに言ってもらえたのだ。

「はい。これから退職届を出しますので、来月末で退職予定です。また入社時期については相談させていただければと思います」

採用が決まり、入社時期についてはまた連絡すると伝えた。川上さんにお礼を言って僕は店を出る。

 1番に松宮さん、星野さん、郁大に採用されたことを報告した。松宮さんは昼休憩中で、星野さんと郁大はそれぞれ外回りの最中だったけれど、全員同じタイミングで僕の転職を祝ってくれる。虚偽の内容でSNS炎上という理不尽な理由で部署異動になってしまったものの、僕は良い同僚に恵まれて幸せ者だったと思う。むしろ部署異動していなければ、松宮さんには出会えていなかったのだ。



 翌日、僕は朝1番に退職届を提出した。人材強化チームという事実上は自主退職待ちの社員が集まる部署にいたこともあり、引き止められることなく退職届が受理される。最終出勤日は今月中旬となった。今月後半から来月にかけて有休消化も決まる。こんなにあっさり退職できるとは思っていなかったので、僕は拍子抜けした。さっそく川上さんに来月から入社可能となった旨を連絡する。小野関くんが早く来てくれることになって助かった、と川上さんに言ってもらえた。

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