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Happiness  作者: 遠藤 敦子
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 あの日以来、僕と松宮さんはさらに仲良くなった。郁大と星野さんを交えて4人でランチに行こうと誘った時は「こんなおじさんが若い子のランチ会なんて参加していいの?」と戸惑っていたけれど、すぐに郁大や星野さんとも馴染んでいたのだ。さすが賃貸営業していただけあるなと僕は感心する。

 そんなある日、僕は松宮さんに誘われて米粉ドーナツ専門店に行くことになった。さまざまな味のドーナツがあり、SNSでも大人気らしい。端から端まで全部食べたかったくらいだけれど、サラリーマンの給料ではそれは難しかった。このお店は50代くらいの男性店長と若い学生バイトで営まれているようだ。僕はチョコ入りドーナツと抹茶ドーナツ、松宮さんはプレーンドーナツとチョコチップドーナツを選ぶ。お互いの選んだものをシェアしながら食べたけれど、高校生や大学生に戻ったような気分で楽しかった。

 昼休み後、僕たちは会社に戻る。2人とも本日のノルマは午前中で完了していたので、手が空いていた。

「このお店、店長候補募集中らしいよ。小野関くんは工事部時代に顧客対応力で評価されてたし、こういうの向いてるんじゃない?」

松宮さんがそのお店の求人情報を見せてきた。店長候補の正社員募集で、月給は28万円。交通費は別途支給あり。勤務時間は10時から18時まででシフト制。求人内容としては悪くなく、むしろ良い方だ。

「僕大学生の頃に居酒屋バイトしてたくらいしか経験ないですし、いきなり店長とかできるもんなんですかね……?」

僕が言うと、松宮さんは「まあまあ、まずは話だけでも聞いてみたら?」と返す。

「そうですね、ドーナツおいしかったんでリピートしに寄ってきます。そのついでに話も……」

あわよくば話も聞きに行くつもりだと言うと、

「また進展あったら教えて」

と返ってきた。

 退勤して1人であのお店に向かう。店長さんが「あ、お昼に来てくれたお兄さん?」と聞き、「はい、そうです! ドーナツおいしかったので持ち帰りしたくて買いにきました……って、大丈夫ですか?」と僕は言った。店長さんの顔色は悪く、今にも倒れそうな様子だ。

 そのまま店長さんは床にうずくまってしまい、僕は「救急車呼びましょうか?」と言う。しかし救急車はいらないとのことだった。

「僕で良かったら病院まで付き添いますんで、かかりつけ医教えてもらっていいですか? もちろんタクシーも手配します」

店長さんからかかりつけ医を聞き、僕はタクシー会社に電話してタクシーを呼ぶ。タクシーで病院に向かっている間、僕と店長さんはいろいろな話をした。

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