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Happiness  作者: 遠藤 敦子
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 午後から僕は自席に座り、定時が来るまでひたすら待っていた。手が空いているのにすることは何もない。スマホを触るわけにもいかないので、資格の勉強と読書をすることにした。右側の男性は会社のパソコンで出会い系サイトを見ており、左側の男性もこれまた会社のパソコンでショッピングサイトを見ている。いざという時に会社のパソコンで業務外のことを見ていることがバレたら終わりなのに、彼らは堂々としていた。自主退職待ちの人なのでそんなことは関係ないのだろう。まあ僕もその1人だけれど、会社のパソコンで出会い系サイトやショッピングサイトを堂々と見るメンタルの強さは持ち合わせていなかった。適当に過ごしているうちに定時になり、僕はダッシュで退勤する。

 退勤して電車に乗った頃、僕は篠崎愛優からLINEが来ているのに気づいた。何の用だろうと思い内容を確認すると、「あのとき話を聞いてくれた人と付き合うことになりました!」とのことだ。僕は「おーおめでとう! 幸せになれよ」と返信する。内心は、弱っているときにわざわざ近づいてくるなんてろくな奴じゃないだろうなと思っていたけれど。



 翌日、僕はいつものようにノルマをこなす。本日のノルマは150部の書類にホッチキスを留めていくことだ。ホッチキスをしている時、ふと茉拓が言った「翠のことを嫌いになったわけじゃないけど、優しすぎて物足りない。龍太郎くんといる方が私に合ってる気がする」という言葉が浮かんでしまった。別に未練があるわけではないのに。

 茉拓の言葉の真意について考えてみる。「どうして地球は丸いのか?」という質問と同じくらい意味わからん! 理解に苦しむ! 僕はそんなことを考えながらホッチキスをし、午前11時でノルマ完了した。他の人がチマチマ時間をかけてホッチキスしている間、僕は読書をして残りの時間を過ごす。

 昼休みになり、1人でベンチに座りながらコンビニで買ってきたパンとお茶を飲み食いしていた。すると1人の男性社員に「小野関くん、隣いいかい?」と声をかけられる。あーこの人は確か、家族が殺人事件に巻き込まれてSNSで炎上した松宮(まつみや)さんか……。そんなことを思いながら、断る理由もなかったので、「いいですよ」と返す。

「単刀直入に聞くけど、小野関くんはパワハラとかしてないんだよね?」

松宮さんは僕にスマホでTwitterの画面を見せてきた。

「もちろんしてないです。強く叱った部分の音声だけを切り取られて……。それに叱ったのもその時だけですし……」

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