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幼馴染  作者: 大石 政義
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恫喝する大学教授がメールで脅迫! 

「俺は何をしているんだろ」

 駅のホームでそうつぶやいた俺は、ある事件の捜査に参加することになった。俺は鈴木洋介。どこにでもいそうな名前である俺は、周囲から「鈴木君」「洋介君」「洋ちゃん」といった3個のニックネームを持つ男だ。

 俺は家路の途中、コンビニで買い物をしていると幼馴染の北原和久に再会をする。

「和久?」

「洋介君」

 二人はコンビニの駐車場で会話をした。

「洋介君、タバコ吸い始めたのか?」

「おう。お前もか?」

「うん。今度の大河ドラマに出演することになってさ、俺は織田信長なんだよ」

「秀吉役は俺だな」

「なんでお前が?」

「俺さ、高校の時に呼ばれたあだ名が『秀吉』なんだよ。俺はさ、見た目が猿みたいだって言う理由で言われていたのさ」

「そうなんだ」

 俺と和久は中学校以来の再会であった。そんな二人の再会は歯車が狂ったのように時が早くなる。

俺は家に戻ると恋人の北村優樹菜がいる。彼女はモデルの一人だ。俺は寝る暇もなくある事件の捜査を調べ始めた。すると、同じ刑事の及川から連絡が来る。

「鈴木、俺たちが今、調べている事件の被害者が明日来るそうだ。それがお前を知ってて、名前が黒崎優奈というらしいが?」

「優奈が?明日、話をする。もしかすると遠藤かもしれない」

「遠藤?」

「俺の大学のゼミの教員だ。あいつは東大のくせに偉そうな態度で俺たちを見下してきたんだ。特に優奈は遠藤から恫喝されていたみたい」

 警視庁刑事課。そこには黒髪ロングで髪を下ろした優奈がいる。優奈は俺を待っていた。

「鈴木君。今調べている事件って捜査しているんでしょ?実はさ、優奈は遠藤に会ったの。」

「遠藤のバカに?」

 俺はあの日のことを優奈に話した。

 俺は大学卒業しても遠藤を馬鹿にしていた。最後のゼミの日、飲み会で騒いだ友人を止めた際、遠藤が言った一言で俺は何かが切れた。

「これだから、この大学の生徒はダメなんだよ」

 俺は遠藤の言った一言に怒りを爆発させた。

「東大卒だからって偉そうにしてんじゃねぇよ。それともあれか?自分が良くて俺らがだめってどういうことだ!」

 俺は正義のある男だ。遠藤みたいなゲス野郎の一言が許せなかった。優奈は遠藤に恫喝され、嫌な思いをしていたのかもしれない。

「鈴木君。遠藤が優奈に恫喝を受けていた時、庇ってくれたでしょ?」

「そうだったな。」

 遠藤は生徒を馬鹿にすることが多く、特に女性蔑視が多い。この時世、差別のない世界はあるのか。遠藤は「女のくせに」と平気で言う。台パンをする俺はそんな遠藤を「ビビりのバカヨシさん」と陰で呼んでいた。

それは女性にはきつく言うが、俺のような男性にはビビり散らかす。

 遠藤が俺を馬鹿にした際は、その証拠を持ち、俺の父親に相談をした。すると、遠藤は警察に起訴されるような事件を起こしていた。

 優奈はこんなことを俺に言ってきた。

「遠藤の取り調べは鈴木君でいいと思う」

「追い詰めるよりは激詰めだな。」

 優奈が警視庁を後にし、俺は事件の捜査に取り組むことになった。

 すると、及川が俺を呼ぶ。

「昨日の夜。お前は誰かといたな」

「あれは俺の友人の和久君だよ」

「俳優の北原和久のことか」

「実は幼馴染なんだ。それがどうかしたか?」

「さっき、来ていた優奈さんの友人なのかと思っていたんだ」

「そうだけど。」

「じゃあ、もう一人いるわけなのか」

「ほら、四人で過ごした可能性があるんだ。」

 俺は及川の一言で、何かを思い出した。それは優奈が言っていた事件と俺が今、捜査をしている事件が同じであることだった。

 俺は幼馴染の連絡先を唯一持っていて、高校で教員をしている飛永修平に連絡をすると、事件の話がしたいと連絡が来た。さらにコンビニで偶然会った和久からも同じ連絡が来る。

 俺は修平と和久を呼んで、事件のことを聞くことになった。

「洋介君が今、調べている事件って遠藤先生のことだろ」

「そうだけど、あいつが殺されるようなことを遭ったのか?」

「あるよ。洋介君がゼミで怒った話、優奈ちゃんから聞いたんだ。すごい剣幕で遠藤先生に噛み付いたって」

「二人も事件の捜査に協力してくれるってことか?」

「そうだけど。なにかがあればお前に連絡するよ」

「分かった」

 優奈は俺の彼女の優樹菜と喋っていた。名前が似ているため、俺はどう呼んでいいか分からない。

俺は大学時代に起きた出来事を思い出していた。

 大学生の頃、サークルでライブのあるバンドのボーカルがバックレ、ベース担当の男子大学生が暴れ、バックレたボーカルの陰口を言っていた。

 俺は遠藤が優奈に恫喝をしたことを思い出した。あれは授業の後で、生徒全員が見ている時に優奈の名前を大きな声で言った。俺はそれを止めるべきだと遠藤に言うと怯えだし、負け犬の遠吠えのような顔をしていた。

 遠藤が怒っても俺には負け犬の遠吠えにしか思えない。世の中にはそんな正義と悪の二つの種類に分けられるのだ。遠藤は敵か味方なのか。それを徹底的に調べ上げ、遠藤の今までした悪事を暴く。

 遠藤は俺の家族が刑事であることを知りながら、恫喝をしていた。俺は優奈と連絡を取り続けていたため、優奈が捜査に協力をすることになっていた。

 優奈は俺にこんな話をしてきた。俺は答えるのに時間が掛かっていた。

「そういえば、鈴木君って刑事になったきっかけってあるの?」

 俺は答えるのに考えていた。優奈は俺の答えを待っていた。

「俺の親が刑事課でな。俺も刑事になろうって思っていたんだ。」

 遠藤が大学の教授をクビになった日のこと。俺は遠藤が許せなかった。優奈が自殺行為をさせたことだった。優奈は俺の幼馴染、和泉恵理のおかげで一命を取り戻していた。

「鈴木君の知り合いが病院に救命できたからびっくりしたよ」

 俺はズボンのポケットに手を入れながら聞いていた。

「ありがとうな。」

 恵理は泣いていた。恵理は優奈が亡くなるんじゃないかと心配していた。

恵理は、優奈の担当をしており、遠藤のせいで自殺しようと考えていたと話していた。

 恵理の話を聞いた俺は、遠藤への怒りを爆発させた。俺は昔の俺に戻っていた。

「鈴木君、どこ行くの?」

「俺は遠藤が許せねえ。俺が徹底的に遠藤の悪事を暴く」

「遠藤先生は後ろに…」

「分かってる!俺は刑事だ!正義を振りまわして、悪を倒す。それが俺の刑事の流儀だ‼」

 俺は及川に連絡をした。及川は遠藤の情報を教えてきた。

「鈴木、遠藤の悪事が分かった。あいつは裏で薬物を取り引きしている。ただ、それは俺の知り合いの情報屋が教えてくれた。今から言うから、そいつと話をしてくれ」

「名前は?」

「山崎だ。あいつに連絡をしておくから、お前の連絡先を俺に送ってくれ」

「おう」

 俺は情報屋の山崎という女性に会う。山崎は色気のある女性だった。

「及川君から聞いたよ。君が鈴木洋介君?」

「俺は鈴木だ」

「あたしは山崎充希。及川君の幼馴染」

「及川君の友人だったのか?」

「そうなの。鈴木君と同じ仕事をしていると知って」

 俺は充希から遠藤の話を聞いていた。充希は優樹菜の友人で、優奈の話を知っていた。充希は、遠藤が生徒を見下す行為が多く、ある生徒はそれが原因で自殺をしたという。

「鈴木君が通っていた大学の遠藤っていう教員が東大卒だから、それで鈴木君たちを馬鹿にしていたってことね。」

 俺は充希の唇が赤い事に気付いた。充希は顔を赤くしていた。

「何か付いてる?」

「充希ちゃんの唇が赤くてな。俺の好きな女優かと思った」

「そうなのね。情報屋って言っても。実は女優なのよ。情報屋があたしの仕事。女優は仮の姿なのよ」

 充希は初対面の俺を好意に抱いていた。俺は彼女がいるため、充希は俺の猫になっていた。充希は俺の連絡先を追加し、やり取りが始まった。

 優奈は遠藤から中学生が書くようなメールを送られてきたと俺に話をすると、俺は遠藤を中二病であると見下した。遠藤がどんなに吠えて、叫んでも俺には届かない。

 あるゼミがある日には、遠藤が優奈に怒鳴っていた。優奈は泣いており、俺は遠藤にキレた。

「何を言ってるんだ!優奈ちゃんは悪くねえよ。勝手に悪いとかいうんじゃねぇよ!人間のクズが!」

「鈴木さん、何を言ってるんだ?女のくせに俺に噛み付いたから、注意をしているんです」

「あんたに言っても何も通じねえんだな。優奈ちゃん、行くぞ」

「鈴木君…」

 俺と優奈は、喫煙所で遠藤の話をした。優奈は課題に時間が掛かり、締め切りまで提出が出来なかったと話してくれた。

「つまり、遠藤は優奈ちゃんに『女のくせに』と言ったんだな」

「うん。遠藤はどうしようもない。あたしたちで何とかしないと」

 遠藤はゼミのメンバーを虐めており、激昂した一人の生徒が教室で暴れ、遠藤を脅迫した。遠藤は女性差別をしているため、提出をしても見てくれず、嫌味を言っていた。それを知った俺はいつも遠藤に怒っていた。

「何でそうやって、女の子に嫌なことを言うんだよ!!」

「女だから。女だから、嫌味を言っていいんだよ」

「今の発言、録音しておきました。証拠で警察に届けます。」

 遠藤は長年、計画をしていたテロ行為を行おうとする。しかし、遠藤の家庭には問題があった。それは息子からの家庭内暴力だった。息子は高校でいじめを受け、引きこもりになったそうだ。息子は両親を敵だと思い、暴力を振るっていた。

 「いじめられているんだから、学校なんかに行かねえよ」

 息子は家具を破壊し、両親の財布から十万円を抜き取った。息子は危険行為に走り、壊れた家具を振り回して暴れていた。

 俺は遠藤の話を聞く耳持たなかった。俺は遠藤の子供が暴れたからという理由でテロ行為をしようとするのは関係ないのでは?と思っていた。

 俺は遠藤の下品な笑みを見て、苛立っていた。

 優奈は遠藤からの恫喝で不登校になったのは事実であると警察に相談していた。優奈は大学にしばらく来なかった理由は遠藤が原因だったと教えてくれた。

優奈が俺の目の前から去ってから優奈は自殺を図っていたそうだ。

 優奈は大学在学中から通っている精神科病院に行っており、大学のことで相談をしていた。

 優奈には元恋人がいて、今はどこにいるかは知らないままだった。俺は優奈のことで頭がいっぱいであった。俺にも恋人がいるが、優奈は俺をどう思われているか心配になった。

 優奈にそのことを話すと、俺のことが好きだと教えてくれた。優奈は大学に行けなかったあの頃を思い出していた。

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