ごめんなさい…
あれからぱったり、ラリーからのデートのお誘いは止んだ。
手紙も贈り物も届かない。
私は毎日仕事に行って、時々弛んでると叱られながら日々を過ごす。
休日は、何の予定もなく部屋でぼんやりしている。
時々、近くを通る馬車の音に反応しながら。
食欲は落ちて、気づいたらドレスのウエストが緩くなっていた。
弟にはちゃんと食べろと怒られるけれど、食べたくないのだから仕方がない。
友人のマーシャは心配して遊びに誘ってくれるけど、そんな気分になれなくて断り続けている。
何をしても楽しめる気がしなくて。
それに…マーシャの顔を見たら「それだけ美人なら何でも上手くいっていいわよね」なんて醜い八つ当たりをしてしまいそうで…。
私がマーシャくらい美人だったら、身分が低くても堂々とラリーの隣に立てたのに、なんて嫉妬……
心配してくれる友人に当たる事はしたくない…
ラリーの誤解を解こうとペンを取っても、何を書いても誤解されそうで。保身の為に嘘を吐いていると思われそうで。
途中まで書いては捨てて。結局一通も書けていない。
口でもちゃんと説明できる気がしなくて、会いにも行けない。
あの時みたいに、またラリーに静かに見つめられるだけで終わるんじゃないかって。
ラリーの家柄に遠慮して、嘘を吐いてるって思われるだけじゃないかって……
お父様には何度か、何があったのか聞かれたけれど、上手く説明できなくて謝ることしかできなかった。
ごめんなさい…
ごめんなさい……
ごめんなさい………