表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/64

18.迷惑なルール

間が空き過ぎてしまい、内容どころか存在自体忘れられていそうですが……。

覚えていてくれた皆さん。有難う御座います。

「それはどう言う……」

「でなければ、あの場所に魔物が現れた説明がつかない」


 噴出す怒りを鎮める為か震える拳を握り締め、何度か呼吸を繰り返すと窺うように私を見詰めた。

 そして訳が分からず困惑している私へ説明を始めた。


「ヴァシェーヌ国の五代前の王ダガル様は蛮勇で知られた方でな、魔物討伐に自ら出向いていたそうだ」


 ルーベル国では騎士は国と民を守る為の存在であり、戦いの対象は人である。

 街に入り込んだ魔物や魔物集団暴走スタンピート等の異常事態には、騎士が魔物を退治したりもするが、通常魔物討伐にあたるのは冒険者だ。

 それは隣国ヴァシェーヌでも変わらないはず。一国の王が魔物討伐に赴くなどありえない話なのだが……。


「ダガル様はダンジョン巡りが趣味で、供を何十人も連れて定期的に潜っていたそうだ」


 王がダンジョンに行くとなったら、警備警護は通常よりも厳重にしなくてはならないし、生きる為に冒険者をやっている人達は潜れなくなる。

 何て迷惑な趣味だ。


「幾つものダンジョンを巡り、この森にあるダンジョンの五階層で隠し扉を見つけたダガル王は迷わず扉を開き、その隠し扉のボスを一人で討ち取ったそうだ」


 魔物相手に一人で立ち向かうのは凄い事だけど、一国の王がやっていい事なのだろうか?

 万が一があったら、罰を受けるのは周りの人間なのに……。


「隠し扉を見つけ、そのフロアのボスを倒した事で気を良くした王はその隠し扉のフロアに自身の名前を付け、王族に対し新たなルールを設けた。直系の王族男子は成人の儀式として隠し扉ダガルへ行き、そのボスを討ち取るべし。討ち取る事が適わなかった者は王位継承権を剥奪する。と……」


 何て迷惑かつ勝手なルール!?


「ダガル王は自分の血を引く者が弱い訳がないと信じ、事実王族男子の多くは体格に恵まれ、魔法や剣術に優れていたそうだが……」


 中にはそうでなかった人もいるだろう。


「成人の儀式を達成できなかった方は、大人しくルールに従ったのですか?」

「ダガル王の目もあり、孫の代までは厳格に守られたが、ダガル王亡き後はフロアボスを本人が討ち取らなくとも王位に着く事はできたそうだ」

「本人がって事は、代理人を立てるとかですか?」

「正式にではなく、あくまで秘密裏にだ。ダガルは隠し扉からボスの部屋までは魔物がいない為、護衛や荷物持ちの奴隷などは隠し扉の前で待機させる事になっているが、討ち取ったボスの死骸を運ばせる為だと、それらしい理由を付けて護衛役の騎士を隠し扉内に入れるのだ」


 つまり。

 あくまでボスの部屋へ入ったのは自分一人で、討ち取ったのも自分である。

 そういう茶番で乗り切るのか。


「第一王子であるマクシミリアン様も、そのようにして成人の儀式を終えられた」

「第一王子と言うのは……?」

「フェリックス様の兄君だ」


 なるほど。

 漸く話が繋がった。


「その……マクシミリアン様は、剣術が不得手な方なんですね」

「ああ。聡明な方だが、生まれつき病弱でな。剣を持って戦うなどできない身体なのだ」

「そうなんですか。でも、表向きはボスの討伐をした事になっているのですから、王座に就けますよね? 態々フェリックス様の成人の儀式を妨害する意味がないんじゃ……」

「マクシミリアン様はミハエル王と正妃であるセシリー様のお子で、フェリックス様は側室であるアンナ様とのお子だ」


 そう言う事なら、妨害はおおいにあり得る。

 正妃の息子が側室の息子より劣っているなど認められないし、王位に近いなどあってはならない。

 そう考えた正妃か、第一王子に王位に就いて欲しい人達が画策してもおかしくはない。

 けれど……。


「たまたま、魔物が現れた可能性はないんですか?」

「ダガル王が秘密の扉を発見してから、一度もフロアに魔物が現れた事はない。フェリックス様が隠し扉を開けた時にも念の為、俺とローレン殿とで確認もした。だと言うのに、ボスを討伐して部屋を出たらA級の魔物が五体もいるなど、作為を感じるなと言う方が無理がある」

「A級五体ですか!?」


 酷い。

 A級の魔物を一体倒すにはAランクの冒険者が三人から五人は必要なはず。

 もはや妨害どころか、確実に首を取りに来ているレベルだ。


「もっと早くに中の異変に気付いていれば、あれほどの傷を負わせはしなかったのに!」


 自身の不甲斐なさを恥じるように、歯を食い縛り顔を伏せるが、青い瞳は直ぐにこちらへ向けられた。


「アゼリア」

「はい!」


 勢いよく左右の上腕を掴まれ、恐いくらい真剣な眼差しで見詰められた。


「お前が居なければ、フェリックス様は助からなかった。よく、来てくれた!」

「いえ、その。フェリックス様の運の良さと言いますか。引きの強さといいますか……」

「遅くなったが、礼を言う」


 近い! 近い!

 顔って言うか、全体的に近いです!


「感謝してもしきれない。何か望みがあれば教えて欲しい」

「いえ、私は商品代金さえ貰えればそれでいいので……」

「代金は勿論だが、他にも何か礼がしたい」

「そんな事急に言われましても……」

「宝石でもドレスでも何で言ってくれ」

「宝石もドレスも要りません。お気持ちだけで結構ですので……」


 何かあるだろう。

 欲しいものを言ってくれ。

 そんな無言の圧が凄い。


「えっと……」

「何だ?」

「え……っと」

「ああ」

「とりあえず、食事の支度を手伝って貰えますか?」

「うん?」


 思っていたのと違う要求だったんだろう。

 レオナルド様は目を瞬かせた。


「五十人分ですから。宜しくお願い致します」

「ああ。……分った」


 私のお願い事があまりにも普通過ぎて、第一王子派への怒りが削がれたのか、上腕を掴んでいた手から力が抜け、そのまま離れて行った。

 そして、近過ぎる距離を正常な距離に戻すように、レオナルド様は一歩後ろへ下がった。


「食事の手伝いは勿論するが……」

「では、早速。天幕を張って貰えますか?」


 欲しい物聴取を打ち切るべく、接客用の笑顔でお願いをすれば、レオナルド様は納得いかないという表情を浮かべつつ。


「ああ。分った」


 天幕を張り始めた。

突然ですが、老齢の騎士の名前はローレンです。

投稿後に読み返しをして、老齢騎士の名前が1ページでローレン。ローレンス。ローエンとコロコロ変わっていました。

どんだけポンコツなんだ自分?と、慌てて修正しました。

この話のサブタイトルも「困ったルール」としていたのですが、アルファポリスに投稿する際にサブタイトルを「迷惑なルール」と書いていたので、こちらのタイトルを慌てて修正しました。

今後もちょくちょく書き間違いとかやらかすと思いますので、気付いたらこっそりお知らせ下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ