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期待はずれのチート主人公  作者: イースト ウェル
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一章5話 スキルの覚醒 前編

ーー「入学生入場」

司会がそういうと、入学生が入場した。はじめにAクラスが入場し、順に他のクラスが入場した。

ジュリアが椅子にすわると、周りから押し殺したような笑い声がクスクスと聞こえた。

ジュリアがSSランクのスキルを持っているのは、皆に知れ渡っている。

実際なら、たくさんの人に囲まれて揉みくちゃに…と言う感じになるのだが、クラスが真ん中のEクラスということで、完全に皆の笑い者だった。


式が終わって、廊下を歩いていると、


「おい!英雄さんよ。どうしてEクラスなんかにいるのかな?」

だの

「あなたみたいな落ちこぼれにはSSランクスキルなんて勿体無い。わたしによこしなさい。あなたのいじめに使って差し上げますわよ。」

だの言われた。


1学期が終わって、テストの結果も張り出されるとはじめは言葉だけだったいじめは、次第にエスカレートしていって、しまいには魔法を撃たれるようになった。

ジュリアは魔法防御力が大きいので、効かなかったが、精神的に傷が深まっていった。

そんな中、心の支えとなったのは、紛れもなくあの4人だった。

いじめられているジュリアになんの躊躇いもなく、対等に“友達”と接してくれた。

この時心に誓ったのだ。

何があっても命に代えてもあの4人は守ろう、と。




「—ここは?」


見たこともない場所である。


「ここはあなたの意識世界よ。」


そう言ってジュリアに話しかけたのは…


「わ、わたし!?」


「まあ間違いではないかな?」


ジュリアにそっくりな少女が答えた。


「私は、あなたのスキル、無実創造よ。

あなたの姿を借りてるけど私は人ではないわ。あなたの記憶から作った仮の姿。ってこんな話してる場合じゃない。」


そう言って、指を鳴らすと、砂時計が現れた。


「あと30分ってところね。あなた、最後に何をしようとしたか覚えてる?」


「確か、魔法防御力で攻撃力を創造しようとして、きずいたらここにいた。」


「オッケー。じゃあ結論からいうと、ステータスからステータスを直接作ることはできないよ。SSSランクともなれば別だけど。」


「そっか〜。まあダメ元だったんだけどね〜。…うん?“直接”?なら、間接的には作れるの?」


「間違いじゃないけど、あたりじゃない。私の正しい使い方は、魔法を“創造”することよ。どんなものでも作れる。しかも無制限に。これが私の真の価値なの。」


「無制限?確か“創造”には対価が必要なんじゃないの?」


「ええ。このスキルにも対価はいるわよ。」


「じゃあ…」


「このスキルの対価は想像すること。そのイメージを対価として、イメージ通りの現象を起こせるのよ。どう?わかった?なぜ私がSSランクか。」


「ええ。すごい燃費いいもんね。SSランクも納得。でも私、魔力は普通だから、せっかく作っても、あんまり強くないかも。」


「燃費って道具みたいに言わないでほしいけどまあいいわ。それで私の使い方なんだけど

その平凡な魔力の代わりに持て余してる魔法防御力で攻撃するのよ。」


「そ、そんなことができるの?」


「魔法防御力ってのは、相手の魔法に対抗する魔力のことなの。ひと昔前までは『反魔力(アンチマジック)』って呼ばれてた。だから基本は魔力と同じなのよ。だから、あなたは魔力が弱くても問題ないってわけ。相手の魔力を利用すればいいんだから。わかった?」


「ええ。」


「そう?ならよしじゃあ……やっば。あと5分しかない。というわけで、そろそろお別れかな。ドラゴン退治頑張ってね〜気を失ってから0.1秒後に戻るからね。確か、ドラゴンに向かって飛び出したところね。そうだ。1つ試しに魔法を作ってから、戻るといいよ。すぐに戦闘が始まるから。」


そういうと、もう1人の私は消えていった。


「魔法か〜。何を作ろうかな?ええと、確かあの時は炎のブレスを受けようとしてたから…相手の魔力を利用する…うーん…そうだな〜そうだ!よしこれにしよう!」


イメージを完成させると、視界が再び白くなっていった。ジュリアは薄れゆく意識の中で、思い出したように呟いた。

ーありがとう、絶対忘れない。またね!




ドラゴンの口から岩をも溶かす炎が放たれた。


「ジュリア!!!」


ジュシュたち4人の前で、ジュリアはドラゴンの炎のブレスに包まれた。莫大な魔力で作られるドラゴンの炎は決して消えることはないと言われている。


「ジュリア〜!!!」


ソフィエがボロボロの体に鞭を打つように立ち上がろうとした。他の3人も続いて立ち上がろうとしたその時。


反息魔法(アンチ・ブレス)!」


詠唱するジュリアの声が聞こえたと思うと、体を包んでいた炎がジュリアの右手に集まって、ドラゴンに向かって放たれた。もともと高熱だった炎のブレスはさらにさらに加熱され、ドラゴンに跳ね返った。


「ぎやぁぁぁぁぁ」


ジュリアの予想外のカウンターになす術なくドラゴンは自分の炎に包まれてしまった。そしてドラゴンの核である魔石だけを残して消え去った。

このダンジョンの話は1話で終える予定でしたが、ちょっと足りませんでした。

次回もう少し続きます。

次回は5/1です。

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