表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
期待はずれのチート主人公  作者: イースト ウェル
6/23

一章3話 卒業試験

*

盛大にファンファーレが闘技場に響いた。

ついに卒業試験のスタートだ。

開会式が始まる前に担任の先生がクラスの皆に言った。ちなみに、クラスは10クラスあり1クラス20人。成績順にA〜Jクラスに分けられる。私たちはEクラスだった。


「この中にもう諦めている人もいるのかもしれない。確かに過酷な試験だ。だが、負けてもいいから、持てる力を全て使って相手にぶつかれ!繰り返す。負けてもいい。自分に胸張れる戦いをしてこい!楽しみにしているぞ。」


私はこの先生を気に入っている。

他の人とは違って、まっすぐ私を見てくれた。

少なくとも、この先生に見せて恥じないような戦いをしようと心に誓った。

開会式が終わり皆、試合に向けて準備を始めた。私の相手は自分より下位のクラスだったが、気をぬくことはしない。なんせ、防御力が皆無なのだから。油断すると、足元を掬われる。準備運動をしていると、ピートが歩いてきた。


「あら、ピート。どうしたの?」


「いや、昨日の話のことで」


「昨日の話?」


「ジュリアのスキルのこと」


「ああ、あれね。どうしたの?」


「昨日、寝ようとして横になって気づいたんだけど、」


と言って、ピートは衝撃的なことを告げた。


「多分、ジュリアは勇者よりも強くなれるよ。」


「え?どう言うこと?」


「えっとね、君のスキルは、対価が必要だ。逆にいえば対価があれば、実態のないものを創り出せる。君には持て余した魔法防御力があるだろ?」


「ええ確かにあるわ。ほとんど無駄ね。」


ピートたち5人には、私のパラメータを伝えている。


「その余った魔法防御力で、他のパラメータを“創造”するんだ。」


「え?そんなことできるの?」


「わからない。でももしかしたらできるかもしれない。もっと早く気付けばよかった。ごめんね。もしかしたら、合格できたかもしれないのに。」


「ううん。考えてくれただけでも嬉しい。ありがと!」


こう言うと、ピートは笑顔になって


「うん」


と答えた。

すると、闘技場の方が騒がしくなった。


「そろそろ始まりそうね。とりあえず、今日、試合が終わったら、練習してみるわ。

手伝ってくれる?」


「もちろん。他のみんなにも伝えておくね。」


「うん、よろしく。じゃ、私控え室に行くね。」


こう言ってピートと別れた。


その後歩きながら、ピートのアイディアを試そうとした。でも、この場にパラメータが見えているわけではないから、変化が全く感じられない。これを使うには、もう少し準備が要りそうね。

控え室に着くと、第1試合 1組目の試合が始まろうとしていた。

*

「はじめ!」


と言う審判の合図とともに、選手は魔法を撃ち合った。

しかし、その魔法の玉が向かったのは相手の方でなく、撃った本人の方だった。魔法が選手に命中した。2人とも、吹き飛ばされた。

しばし静寂が会場を支配した後、どよめきが走った。あからさまに、放たれた魔法は不自然な動きをした。誰の目にもそれが理解できた。ー誰かの介入があったのだと。

急いで鑑定士が鑑定すると、選手2人のスキル欄に文字が増えていた。


-----------------------------------------------------------“状態異常:魔王の呪い”

攻撃しようとすると、全て自分に跳ね返る

解呪できない

-----------------------------------------------------------


先代勇者が封印した、魔王が復活したのである。いや、もっと前からしていたのかもしれないが、魔王が動き出したのは間違いない。

先生たちは、自分たちにもこの呪いがかかっていることを知ると、急いで学校関係者全員に鑑定を施した。この魔王の呪いを受けていないのは生徒5人だけだった。


ジュリア・デニス・メサウディ(女)

ジェシュ・エンジェル・マーシュ(女)

ソフィエ・アブド・アクバー(女)

デニス・リー・ロネス(男)

ピート・サムソン・ハインズ(男)


昨夜ジュリアと一緒にいたメンバーである。さらに鑑定士が深く鑑定すると、どうやらジュリアのスキル“聖女の守り”は近くにいる人たちにも効果があるということがわかった。

そして、他の異常状態耐性系のスキル保持者も呪いにかかっているところを見ると、どうやら完全耐性を得た、彼ら5人だけが呪いを防げたと予想される。

5人は教員控え室に呼ばれていた。


「国の一大事だ!」


先生たちは慌ててそう言った。魔王が復活したというのに、戦えるのはたったの5人。絶望的である。先生たちは、急遽卒業試験を中止し、ジュリアたち5人を魔王への対抗策として集中して育てることを決定した。

予想外の展開に、5人は驚くしかない。


「とりあえず、お前たちは観客席で待っていてくれ。追って指示を出す。」


担任にそう言われたが、ポカンとしている5人が我に帰るのはまだまだかかりそうである。


読んでくださり、ありがとうございます。思っていたより沢山の人に読んでもらえて感激です。

評価や感想、意見もお待ちしております。

ジュリアのクラスメイト4人ですが、詳しいパラメータやスキルは、6話の後公開します。もう少しお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ