一章1話 成人式
さて、ファンタジー定番の主人公補正を受けたジュリアだったが、彼女の人生は、たった1日でひっくり返るのである。
待ちに待った成人式で、ジュリアたちは待望のスキルを手にした。
「楽しみねー。どんなスキルがもらえるのかしら?」
ジュリアは心を踊らせている。
「ジュリア・デニス・メサウディ」
ついに彼女の番だ。
そして指示されるまま水晶に手をかざす。
すると、横に置かれた紙に、文字が浮かび上がる。そこにはこう記されていた。
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鑑定書 ID 239163
名前: ジュリア・デニス・メサウディ
スキル1
“聖女の守り”
あらゆる異常状態を無効化し、HPが2以上ある時、即死級のダメージを受けた時、HP1で止まる。
スキルⅡ
“無実創造”
実体がないものならどんなものでも作れる。
パラメータ
名称:value
HP:1380(b)
MP: 396(a)
攻撃力:1(c)
防御力:1(c)
魔法防御:100000(ex)
魔力:574(a)
素早さ:176(b)
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「“聖女の守り”はそこそこすごいですが、他の人のSSランクのスキルには劣りますね。“無実創造”に関しては、強いのか弱いのか全くわかりません。あなた次第ってところでしょう。パラメータはHP(無くなったら死ぬ)、MP(無くなったら、動けなくなる)、魔力、素早さは平均値程度ですが、魔法防御力は、異常な数値ですね。これなら、魔王レベルの人が本気で魔法を繰り出しても、痛くも痒くもありませんよ。対して、攻撃力と防御力は壊滅的に低いですね。まあ、魔法使い向けの能力だと思います。」
神父はこのように説明した。
ジュリア自身もスキルに関しては、不満がある。特に“聖女の守り”はAランク程度のスキル2つをつなげたくらいだ。それぞれAランクよりは使いやすくなっているが、SSランクとは言い難い。パラメータに関しては、心当たりがないわけでもない。
「昔っから、すぐに怪我してたしなー」
こうしてジュリアは奇跡の子供から凡人に転落してしまった。未だに期待してくれているのは、両親くらいのものだ。
そして、魔法師になるため魔法学校に入ったわけである。
で時は冒頭に戻る。
読んでいただき、ありがとうございます。
また明日の5話もよろしくお願いします。