序章3話 18年前
揺りかごには、ジュリアと名付けられた女の子がスヤスヤと眠っている。その隣には、数人のメイドと、ジュリアの母親が寝ているソファがある。ここだけ見れば穏やかなのだが、実際は、ジュリアが不眠不休で丸1日泣き続けてようやく寝た後、つまり嵐のあとな訳なので、穏やかと言うよりは、ぐったりの方がこの状況には合うかもしれない。
すると突然、ジュリアの上のほうが光り出した。その光のあまりの明るさに、そこにいた人は全員—ジュリアを除いて—皆目を覚ました。そしてその光の元を見るとそこには2つの玉が。そしてその玉には「SS」と書かれている。
これを見るや否や、母親は嬉しさのあまり、その場に座り涙を流し、転げるように走ってきた父親は、胴上げをするが如く赤子を持ち上げた。
こんなに家族が喜んでいるのは、やはり例の玉のためである。
この世界では、全ての人に等しく「スキル」が2つずつ与えられる。その詳細は15歳の成人までわからないが、
その強さのランクは産まれてしばらくしてから分かるのだ。最低はランクC、最高はSSSである。
SSSランクは勇者として召喚された者と魔王しか所持しないので、事実上最高ランクはSSである。そのSSスキルを2つも持つのだから、将来が約束されたといっても過言ではない。
………いや少なくともそう思われていた。15年間は。
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