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神と俺の可能性~俺が未来で神になる経緯!~  作者: マロニエ
序章 拝啓、新世界
8/23

思惑

馬車の旅が終わり、ついに風神隊本部に到着!

目の前には自分を出迎える100人を超える隊員たち。


俺は自分の背負った重荷の重さを徐々に痛感していく。

そして、七星賢者の面々に紹介されるが・・・?

扉の先にはすごい光景があった。

風神隊の隊員だろうか100人以上が綺麗に整列し、頭を下げている。


馬車を降りて、風神は隊員に向けて言う

「我が親愛なる友たちよ!表を上げろ!いま貴君らの目の前にいるは聖王なり!!

今より我々は世界の平穏と、我々の家族のために刃をとる!!!聖王様とともに魔王を滅し、皆の安心を勝ち取るのだッ!!!

さぁ、同士よ・・・己の覚悟を示せッ!!!」


風神の言葉に続き、隊員たちは言う

「「「この力は聖王に!!我らが刃は魔王にッ!!そして、人々に安寧をッ!!!!!」」」


壮観だった。皆の出す音圧に体が押されるようだ。

この時俺は初めて俺のなす事の意味の大きさを理解した。皆が俺に求めるのだ。魔王を倒して欲しいと、平和を手に入れたいと・・・。

手の震えが止まらない。


「さぁ、聖王様。皆に一言お願い致します。」

風神の無茶振りである。後ろを振り向くとリーゼロッテが「ファイトッ!」とガッツポーズを取ってる。

どうすんのこれ。いや、リーゼロッテは可愛いけどさ・・・。


---腹を決めよう。


「えぇーっと・・・、お、俺はまだこの世界について何も知らない!!力だってまだない!!平凡な学生だっ!!

でも、そんな俺にだってわかる!!みんなの期待がッ!(やっべ、いうこと思い浮かばねぇ)

・・・・・・よろしくお願い致しますっ!!!」

かっこいいこと言おうと頑張ったが無理だった。

女の子にだって告白したことない俺がこんな大勢の前で何を言えと!?

それに最後”よろしくお願いいたします”ってなんだよ・・・・。恥ずかしい・・・。どっかいきたい・・・。

自分の顔が今までにない温度に発熱しているのを感じる。

きっとカオは真っ赤だろう。


「ありがとうございます。聖王様、では中へ参りましょう。」

風神は隊員に合図を送ると、モーゼのように隊員たちを左右に二分する。

その真ん中を歩き、おれは顔をうつむかせたまま本部の中に入った。



◇     ◇     ◇


行くとこ行くところで深々とお辞儀をされる。そして会釈を返す俺をリーゼロッテが見てびっくりしている。

各国首脳が大勢に囲まれてもにこやかに笑い、手を振り返すのが普通に思っていた俺は、その動作が精錬されたものだったんだとこの時気がついた。

絶対に笑って手を振り返すなんて俺にはできなかった。

そんなことを考えて歩いていると、床に魔法陣がある広間についた。


「さぁ、聖王様魔法陣の上に・・・」

風神が手招きする。恐る恐る魔法陣の上に乗ると、目の前の光景が一変した。

さっきまでいた石張り床の部屋と違う赤いカーペットの敷き詰められた部屋に俺は立っている。


「これは転移陣。この転移陣によって風神隊本部の各階を移動することができます。」

ほほぅ、つまりこれが”ワープ”というやつか!一瞬で全く違う部屋に移動したってわけか。

そのまま歩き、風神は言う。


「これより各賢者に聖王様を紹介いたします。聖王様はそのまま私の横についていてください。いいですね?」

コクンと俺は頷く。

つまり、ここに各七星賢者が集まっているということ?

で、早速俺はその人達に紹介されるのか。さっきみたいな無茶振りだけは勘弁してほしいものだ?


◇     ◇     ◇


---広い部屋だ。

赤いカーペットを辿って歩いた先には円状の部屋だった。

緑色に光る大きな石が6つ部屋の床に埋め込まれている。

俺と風神はその中央に立つ。

リーゼロッテは、部屋の入口で待機している。

そうやらここが顔合わせの舞台のようだ。


明るい部屋が黒く暗転する。

それと同時に周りの6つの石が光りだした。


「!?!?!?」

光る石から人が出てきた!!!

いや、でも出てきた人は透けている?

ホログラムみたいなものか!?


「ではここに七星賢者評議を開催いたします。進行は私、風神がれいのごとく執り仕切らせていただきます。

では早速・・・こちらが伝承通り世界樹に降臨なさった聖王様です。」

俺は一礼をした。


「ほほぅ、歳は15,6といったところかのう。」

「おぉ、聖王様ッ!!」

「ふーん・・・」

「結構かわいいじゃない?」

「・・・。」

「フンッ!」

七星賢者の面々はそれぞれが異なる反応をした。

ってか”フンッ!”ってなんだよ!!


「先刻取り決めたとおり、風の国で身柄を保護し、教育、聖王遺物収集などを進めていきます。

本日よりおおよそ魔王復活まで1~3年と予想され、それまでに万全を期すという運びになりますが・・・よろしいですね?」

「ちょっと待ちたまえ!!私は先刻の会議よりそのことについては承服しかねていたと思うのだが、その件についてお聞かせいただこうか!?」

風神が前回行ったと思われる評議のでの決定事項を話していると、30代くらいのおっさんが突っかかってきた。


「あれは光神だ。」

風神は耳元で囁いた。


「前回の評議の際に、聖王様の保護は風の国が行うという運びで閉幕したはずですが、光神様・・・あなたの意見も覚えています。

ですが、決を採った際にそれは否認されたはずですが?」

「確かにそうでしたね。だがっ!我々聖王教は聖王様を保護し、世界に平和を説く義務がある!!

いいかね、我々は悲しいのだ。先代聖王様もその命をとして魔王を打ち破られた・・・。

我々は先代聖王様の命のもと暮らし平和を謳歌してきたのだ。

そんな我々がまたも聖王様を死地に赴かせ魔王を滅せと申すのかッ!!!!

そんなこと神に誓ってできようものか!!ならば、皆で立ち上がり、聖王様を象徴として立ち向かうべきなのだっ!!!

なぜわからぬのだ!!!」


すごい剣幕だ・・・。


「光神様、それでは共倒れにございます。あなたなら知っているはずです。先代聖王様は初代賢者らに命じたことを・・・。

”これからはお前たちが人々を護れ”と・・・。

民とともに・・・というのは聖王様の命とは違います。それに、聖王様の遺した手記にもあるように、我々のちからでは魔王には届かない。

聖王が神より賜る力でなければ打倒することは不可能なのです。そのゆえに自ら命をかけて魔王を滅した。

確かに、今回も同じ結果となれば悲しいことです。ですが、そうさせるつもりは毛頭ないと私を含めた他の賢者も申したはず。

我々七星は、神の力を賜った聖王だけではなく、我々自身も魔王に対して一矢報いると・・・。その方法を代々模索してきたはずです。

それに、光神様。それ以前に昨日、世界樹に向けて聖王教の神官を差し向けた。それは評議の決定事項をないがしろにする行為だということがわかりませぬか?」


「・・・確かに、私としたことが聖王教上部を暴走させてしまい止められなかったことは謝罪する。

だが、もう一度言う。われわれ聖王教は聖王様に先代様と同じ結果を辿らせたくないだけなのだ。

これまで各七星は代々魔王に対して有効だと思われることを研究し続けてきた。だが、その研究は今のところ成果もない。

なぜなら対象がまだこの世にいないがゆえに検証できないからだ。このような状態では、私のように”現在の聖王も先代のように・・・”と危惧するものが出るだろう。

・・・だが、聖王教徒や神官の強行を止められなかった私の不手際もある。ここは折れよう。

だが一つだけ頼みがある。聖王様・・・落ち着いた頃には光の国におとずれてほしい。それで救われる者も多数いるのです。

ぜひ皆のためにご検討を・・・・。」


”はい”と答えようとした俺の口に風神は指をあてた。

たぶん、俺自身が答えなくていいということなのだろう。


「かしこまりました。では、ある一定の教育をした際には光の国へ使者とともに聖王様をお連れいたします。

ですが、それまで聖王教からの接触は避けていただきたい。

もちろん、聖王教徒が嫌いなわけではない。崇め奉る対象が現れたのです。普通の流れなのでしょう。

しかし、今は聖王様には力をつけていただきたいのです。

昨今、魔物の行動も活発化し、さらには異教徒集団による暴動、野党による町村の襲撃などが報告されています。

聖王様にはせめて自分の身を守る力が必要なのです。ですから、聖王教内での混乱に聖王様を巻き込むのは避けていただきたい。

そのように、聖王教内をまとめ上げていただけるようご助力いただけますね?」


「善処しよう」



どうやら話を聞く限り”俺”という存在は重要なのだというのが嫌でもわかる。

主に聖王教の中では俺は崇め奉られる神の二代目。一般人から見ても、言い伝えられる伝承のとおりに降臨した”聖王”その人なのだ。

俺は大丈夫なのだろうか。確かに異世界、異能を求め、代り映えしない世界を否定した。

でもこれはあまりにも重く流れの早い世界だ。どんどん自分の背中にかかる重荷の重さが重くなっていく。


俺の時代の偉い奴らもこんな気持ちで人々を引っ張っていたのだろうか。

だとすれば、それはすごいことなんだ。俺は何も知らなかった。いや、知ろうとしなかった。

上に立つものの気苦労を、そして、そのものを取り巻く環境を。


評議は光神の発言を過ぎると、特に発言する他の賢者もなく滞り無く終わった。



◇     ◇     ◇



「聖王様、お疲れ様です。途中、清王様に対して指図してしまったことお許し下さい。」

「いや、いいんです。私が発言しても多分、場を混乱させる結果になるだけでしょうし・・・なにより、風神様が大変になるのではないですか?」


「恥ずかしながら仰るとおりです。光神以外の賢者ならばなんとかなるのですが・・・。相手が光神となれば話は別です。

光神は聖王教の法王を襲名されているお方で、なによりも聖王教のことを考えている。そんな光神には、私の言う言葉と聖王様の言う言葉の重要さが違うのです。

あの場で聖王様自身が”わかった”といえば、彼は鵜呑みにするでしょう。

何かあって聖王様の光の国行きをを渋れば、”聖王様の申したことをないがしろにするのか!”と反発されては何も反論できません。

そうなればこちらが不利な立場になります。残念ながら七政賢者も一枚岩ではないのです。

連盟は組んでいても、違う思惑で動く賢者もいるのが事実です。ですから、あの場では指図してしまいました。

・・・私事に巻き込んでしまって申し訳ありません。」


深々と頭を下げる風神を見て、風神が複雑な立場にいることを理解した。


「頭を上げてください。多分ですけど、私のいた世界の国々にもそんなことはありました。

私もそれは理解できています。だから、そんなに頭を下げないでください。

大丈夫ですよ。全然気にしてないですから!」

「ありがとうございます。そう言っていただけると気が楽になります。

・・・・・・・・・すこし疲れましたね。私の私室で少し休みましょうか・・・。」


どうも七政賢者にも複雑な事情があるようだ。

この時見た風神はつかれていた・・・そう感じた。

光神:七星賢者が一人。光属性を得意とし、聖王教の総本山のある光の国の国主。聖王教の法王を襲名。

転移陣:広大な風神隊本部の各階を移動するための魔法陣


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