寝付けぬ夜
良い宴でしたね
夜、外の轟音で目を覚ます聖。
何かと思えば聖王登場で外では酒席が!
俺が世界樹に現れた日の夜。
詰め所では盛大な宴が開かれた。
寝室で爆睡していた俺は外から聞こえる賑やかな声に叩き起こされた。
まさか、俺を狙う奴らが・・・!?っと慌てて部屋を出るとリーゼロッテは俺に言った。
「みなさん聖王様の降臨を聞いて大衆や隊員が酒席を開いているんです。騒がしくて寝付けませんよね・・・。」
どうやら聖王の登場を大衆は喜んでいるらしい。
風神が俺に聞かせた伝承は、大衆の間ではポピュラーな話であったようで
皆が知っているし、そのとおりに現れた俺を歓迎している・・・いや、喜んでいるようだ。
リーゼロッテは風神から俺の世話係を任されているらしい。
俺が酒席を見たいとせがむと、同行することを許可すれば・・・という条件付きでOKが出た。
ウキウキ気分で向かった広場では風神隊の隊員や住民が馬鹿騒ぎしていた。
そんな光景を見て回っているとリーゼロッテがいろいろと教えてくれた。
地、水、火、風、闇、光、無の7属性があり、それぞれ一つの属性を収めた賢者を七星賢者ということ。
風神は12歳にして亡き先代にかわり王位と賢者を襲名したこと。
魔王は現在主だった活動をしてはいないが、魔物の行動が活発になり、復活の兆しを見せていること。
先代聖王が魔王を討伐したのは約600年前の話。
これから行く風の都”エアロヒル”は七星連合の国の中でも魔法研究に秀でており、教育のまちでもあること。
風神様は若いながらも、七星賢者のメンバーの中で最大の魔力保有量をもっており、七属性すべての魔法を会得した。
と、いろいろ教えてくれた。
とりあえず、リーゼロッテさんは風神様命って感じだった・・・。
聞いた話の大半は風神様のこと・・・。
途中、風神も加わり、今後のことや世界のことも話してくれた。
まず、聖王としての力をつけなくてはいけない。
魔法は適正があるらしく、全ての人間がぼんぼん魔法を使えるわけではないらしい。
昔は「持たざるもの(ノッツ)」という魔法を使えない人々もいたらしいが、適正活性剤が登場したおかげで少なからず使えるようになったから、使えなかったとしても安心して欲しいということ。
首都についたら、各七星賢者の前で紹介する会議を行うということ。
風神は七星賢者七名の中で議長的立場を就任していること。
覚えることが多い・・・。これくらいしか頭に入らなかった。
でもなんでだろう、ファンタジーと思っていたことが現実になってわくわくしている自分もいる。
聞いたことすべてが新鮮で、興奮が止まることはなかった。
だって考えてみろ、魔法、魔法だぜ!?
夢にまで見た異能が使える日が来る!!
その酒席は朝方まで続いた・・・・。
不思議と疲れてはなかった。
俺も床についたのは外が明るくなり始める頃だった。
魔力:魔法を使うための力・エネルギー。地、水、火、風、闇、光、無の7属性がある
魔王:約600年前に聖王に倒された。復活の兆しがある。
風神2:先代風神(父)が亡くなり、12歳で襲名した。七星賢者の中でも最大の魔力保有量を誇り、7属性すべての魔法を習得したと言われている。
持たざるもの(ノッツ):魔法を使えない者達の総称
適正活性剤:魔法を行使できないものにも扱えるようにするための薬