俺という人間
俺は何一つ得意なことはない---
ただただ平凡な社会を構成する一つの歯車。
―――俺、山ノ手 聖は現在16歳。
代わり映えしない日常。
どうせ大人になっても、体がでかくなるだけで特別な力も得るわけでもない。
社会という流れが出来上がっていて、その流れに船を浮かべ身を任せる。
俺はそんな人生が目の前に広がっているように見えたんだ。
塾の帰り道に、自販機で買った缶コーヒーを飲みながら一人・・・。
自分の今後をそんな風に考えていた。
小さいころには、強い力、正義の心、勇気があればヒーローにだってなれるのだと信じていた。
でもそんなことはなかった。
今ならなぜ人々がああいった創作をするのか少しわかる気がする。
―――こんな現実が嫌だ。
―――もし、別の生が得られたならばああいった夢を・・・。
―――いや、この世界にない可能性のある世界に・・・。
「俺も行ってみたかった。」
叶わぬ夢である。
缶コーヒーが空になる頃に自宅についた。
居間でTVをみて笑いこけている両親に帰宅を告げ、風呂、着替え、学校の用意を済ませる。
ベットに入ったのは22:30を回った頃だった。
かすかに聞こえてくるTVの音と笑い声が煩わしい・・・。
山ノ手 聖:普通の16歳学生♂。平凡な毎日に嫌気が差す。小さいころにはヒーローや特殊な力に憧れもしたが、そんなのはないと冷めてしまった。でも、そんな夢をどこか忘れられない少年。
落ち着いた性格。