第6話 文化祭 〈まっさー〉
そしていよいよ文化祭当日を迎え、私たち3年生はシンデレラの劇がまもなく始まろうとしていた。
私は、本番5分前になり、緊張感がさらに増して手がすごく震えてながらこう思っていた。
「昨日一生懸命頑張ったけど、上手くできるかな? すごく不安になってきたよ」
すると進行役の人がマイクをもって話始める。
「この度は、お忙しい中来てくださって本当にありがとうございます。まもなく3年生によるシンデレラの劇が始まります。最後まで是非ご覧ください。それでは只今より始まります」
そして進行役の人が、舞台裏に去っていき幕が上がっていき緊張感が高まりあがり症の私だが、序盤の城で舞踏会が開かれることになり姉たちが着ていく服はあるが、シンデレラにはドレスがないところまではスムーズに進んでいく。
「私、ドレスはないけどどうしても舞踏会に行きたいんです。どうか許可してもらえませんか?」
そこで魔法使いさん、ネズミさんたちがやって来た。
「どうしてもそこまでして舞踏会にいきたいなら今から特別な魔法をかけて差し上げましょう」
「良いんですか? ありがとうございます」
「でもその代わり日付が変わる深夜の12時までには必ず帰ってくるんだよ」
「それは何故12時なのですか? 」
「この魔法は、一時的にしかかけることが出来なくて12時になるとその魔法が解けてしまうんじゃ。だから必ず12時までに帰ってくるんだよ」
「分かりました! 必ず深夜の12時までに必ず戻ってきますね」
私は、シンデレラの役をしながら思っていた。
主役だけあって本当にセリフが長いなぁ。それに緊張感のあまりに一部セリフが思い出せないよ!
それに、キツいシンデレラになりきれてない!
そしてシンデレラがお城について中に入っていくシーンに移っていく。
「ここのお城で舞踏会が行われるんだー! すっごいきれいなお城だなぁー」
そこで王子様の役の鳥羽くんが登場してきてシンデレラの可愛らしい姿を見て言った。
「そこの方、ちょっと良いですか? 」
「え? 私ですか? はい! どうされたのですか? 」
「すごく見ていて可愛らしいなって思いまして君のことを気に入りました! 紹介が遅れましたが、わたくしはこの国の王子様です」
「あなたが王子様なんですかー! 私はシンデレラと申します」
「シンデレラさんですかー 何て美しいお方なんでしょう! 良かったら今から一緒に踊りませんか?」
「でも私、踊りはあまり出来ないので…」
「それなら大丈夫ですよ。しっかりとサポートしてあげますので安心してください」
「王子様! ありがとうございますー 」
それからシンデレラと王子様は楽しく手を繋いで踊った。演技でも、うれしい……。
何て鳥羽くんは、演技が上手いんだろう! さすが鳥羽くんだなぁ。ヤバい、この辺りのシーンで次、確か12時の鐘が鳴ってどうすれば良かったのかな? 普通に考えたら分かるはずなのに思い出せない! 私ったら肝心なシーンを忘れちゃったよ。こうなったら取り敢えず頑張って見よう!
ここで12時の鐘が鳴り響く。
「あっ、私そろそろ帰らないと!」
「シンデレラ、いきなり慌ててどうしたのですか?」
「王子様ごめんなさい。私、少し帰りますね」
確か階段のところで何かが起きるはずなんだよね。




