第3話 緊急事態発生 〈まっさー〉
その頃、鳥羽くんは、舞桜さんと話し終わってから一人で台詞せりふをもう一度頭の中で、覚える練習をしていた。
「やっぱり、僕は記憶力が良くないからなかなか覚えられないんだよな。本番の時に間違えたくないからね」
それから何度も練習を繰り返してから私たち3年が準備している劇のところに少し遅れながらやって来た。
「みんな、遅れてごめんなさい。少し友達と話をしてから準備する時間帯の時に僕って台詞せりふとか覚えるのに時間が、かかるからみんなに迷惑をかけないように一人で勝手に覚える練習をしてたんです。勝手にごめんなさい! 遅れた分今からしっかり頑張りますので許してください」
幸い鳥羽くんは、普段回りの人たちから優しくしてもらえるため誰一人怒ってる人はいなかったためほっとしながらみんなと練習を続けていく。
本来であれば彼は王子様役のため、遅れたことについて回りから勝手な事をしたことについて怒られても可笑しくないのである。
鳥羽くんが戻ってきたのを見て私は、こう思いながら何故か少しほっとしていた。
「舞桜さんに話しているときに文化祭の準備かなり進んでいるって話してたけど、カッコつけてたんだ。まぁ、鳥羽くんは生徒会長だからいくら仲良さそうにしている舞桜さんと話していたとはいえ、一年生だから心配をかけたくなかったんだろうな。一人で覚える練習をしてたんだ。別に普通にみんなと一緒に練習したら良かったのに。でもやっぱり迷惑をかけたくないって言う気持ちがそれだけ強かったんだろうな」
そして文化祭の練習を行い、いよいよ文化祭前日になり『現代風シンデレラ』は良い感じに皆さん台詞も完璧に覚えて本番に間に合ったと誰もが思っていたその時にまさか緊急事態が発生するとは誰一人予測していなかった出来事が起こる。
シンデレラ役の人が学校に登校してきておらず、私は小道具の設定ではあるが不安な気持ちが強くあった。
「シンデレラ役の人が来ていないけど、どうしたんだろう? 高熱とか明日の本番に影響がない体調不良なら幸いなんだけど、この練習は朝の練習(以下、朝練)のため出席なども当然ながら取っていないし、休んだ理由が発表されていないから大丈夫なのかが心配だなぁ」
すると生徒会長である鳥羽くんが連絡帳と手にしながらやって来てみんなに話す。
「先程、連絡帳を預かってきまして休まれた理由が分かりました。『昨日の夜に高熱が出て38.5℃と高くて今朝になっても38.1℃あって学校にはいけないため休みます』と書かれてありました」
この話を聞いて私を含めて回りの人全員が不安になってしまったのであった。