表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
snow crystal  作者: まっさー&ゆくらみんゆい
3/36

第2話 文化祭準備 〈ゆくらみんゆい〉

 文化祭の準備って、毎年思うことだけど、大変。

 3年である私たちは劇をすることになっているのだが、その中でも私は小道具などの準備に当たっている。劇自体には最後のキャスト紹介にしか出ないのだけど、準備だって大切な仕事。なるべく小物を落として傷つけないように気を引き締めようとした。


 私が教室の隅っこで小道具の作成や傷ついたころを直したりしていると、教室の中心で劇の練習をしていた子たちが声を張り上げていた。


「『なんでそーゆーことするんですかぁー!』」


「『はー? 聞こえませーん。パードゥーン?』」


 ちなみに、劇の題名は『現代風シンデレラ』で、今練習しているシーンはシンデレラが義理のお姉さんにいじめられているシーンなんだけど、シンデレラがすごい気の強い子で、パードゥンとかって挑発されたら暴れ出すという横暴っぷり。みなさん、演技上手いですね……。


「『シンデレラ、掃除をしなさい!』」


 継母登場。しかしシンデレラと何故か何も言われていないお姉さまたちは超反抗する。


「『クソババアは黙ってろ!』」


 いや、待って。なにこの台本。私は誰かが突っ込んでくれることを待った。けれど、誰も突っ込むことなく劇が続けられる。待って、ねえ。


はるか、ちょっと来てよ!」


 私は劇の見物をしていた親友の遥を呼んだ。彼女は背景の係りなのだが、どうやらもう作業は終わったらしい。劇の練習を見て時折笑い声をあげていた。


「どうしたの、麻友? 小道具手伝おうか?」


「あ、違う違う。そういうことじゃないの。劇の話」


 私はそう言いながら、さっき自分が思ったことを説明する。すると遥はうなずきながら「まあいいんじゃない? 面白ければ」と笑った。そういうものなのかな……。

 まあでも、みんな楽しそうだし、いいのかもしれない。でも、やっぱり台詞がちょっとひどかったりする。ちなみに継母役は男子がやっている。こういう劇って、大体女装男子が現れるものなんだよね。


「『これは私への招待状!? やったわ、舞踏会へ行ける!』」


 シンデレラはすごく喜んでいるけど、実はそれはお姉さんのうちの一人に宛てられた招待状。それで勝手に一人で舞踏会に行ってしまう。魔法使いとかかぼちゃの馬車とか、無視。

 結果的には物好きな王子様がシンデレラにプロポーズするという話なんだけど……。普通、初対面の人にいきなりプロポーズするか? って、私は思う。

 やっぱり、おとぎ話の住人の考えることは分からない。なんで初対面の人と結婚しようって考えられるんだろう? 出会ってすぐにその人の性格とか思ってることが分かるならいいけど、そんなの超能力者でもないとできないよ。

 そう考えながら、私は同時にこうも思った。


「私、初対面の人に恋しちゃったじゃない」


 鳥羽君、今何してるのかな? 教室にいないから、また、舞桜さんと話してるのかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ