風花と花束
風花小学3年生
「うそじゃないもん!!」
風花は小学3年の時に友達と喧嘩をした
田舎のおじいちゃんの所にいる友達の自慢をしてカラかわれた
そんなお化けみたいな奴いない
作り話だと
悔しくて、家に帰って母親に話すと少し困った顔をされた
うそじゃない
本当に狐の凄い友達がいる
夏休みになり、一日でも早く田舎のおじいちゃんの家に行きたかった
毎日親に今日行く?明日行く?っとしつこく聞いて怒られた時もある
田舎のおじいちゃんの家に行く前日はわくわくして眠れない程だ
「ココぉーどこにいるのー?」
森の祠で妖狐を探す
妖狐は岩の上で寝ている事が多かったがその日は居なかった
本当はココなんていないのだろうか…
子供の風花はなんだか不安になってくる
涙目になり俯いていると後ろから優しく暖かい声をかけられた
「風花、待ってたぜ」
振り向くとそこには妖狐が両手いっぱいに花を持って微笑む姿があった
妖狐は色とりどりの花を集めてきたのだ
いつもは花より団子の風花だったが妖狐が取ってきた花と妖狐に会えた事が嬉しくて涙を流した
妖狐はそんな風花を見て焦って泣き止ませようとあたふたする
風花はそんな妖狐を見て笑った
風花と妖狐は1週間毎日遊ぶ
そんなある日
風花は村の畑仕事をしていたおばあさんに話しかけられた
「おやぁ?お嬢ちゃん、狐さんと友達かい?」
風花は妖狐とかくれんぼをしている最中だった
おばあさんが狐さんっと言った事に驚き
「おばあさん、ココ見えるの?」
風花は妖狐が他の人から見えない事を薄々気が付いていた
おばあさんはニッコリと笑い
「昔はね。大人になると見えなくなって今は気配だけ解る程度だよぉ、ここら辺は昔っから狐さんが住んでいたからね」
「そうなんだ。ココっていうの!今かくれんぼしてるんだ」
「そうかい、そうかい。狐さんと仲良しなんだね」
「うん!ずっと友達!」
風花は満面の笑みを浮かべた
おばあさんはそんな風花をみて微笑む
「もし狐さんとずっと一緒にいたいのなら護妖にするといいよぉ」
「ごよう?」
「昔ババさまが言ってたんだよ。妖怪を護妖にすると死ぬまでずっと一緒におれるって、死ぬ時も一緒だってね」
「しぬまで?」
「そう。お嬢ちゃんをずっと守ってくれる神様になるそうじゃ」
おばあさんの言葉に風花は首を傾げる
「…そんなのいいや」
「おや?なんでかい?」
おばあさんは不思議そうに風花を見つめた
「そんな事しなくても、ココは私の友達だもん!」
風花は死っというものがよくわかっていなかった
ずっと友達、それでいい
子供の風花にはそんな繋がりは必要なかったのだ
おばあさんはふぉっふぉっふぉっと笑い
「そうかいそうかい。ほれ、狐さんの気配が近づいてきたよ?」
っといって風花をかくれんぼの鬼から逃がしてくれた
風花は笑顔で小さく手を振って逃げていく
風花と妖狐の夏の一週間はあっという間に終わる
あぁ、夏休み・・・・あのころは楽しかった・・・・