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妖狐と風花の物語  作者: ほろ苦
12/26

風花と狼と陰陽師

読んで頂きありがとうございます!

初夏の夜、風花はコンビニでアルバイトをしていた

一人暮らしの生活費用ぐらいは稼がない仕送りだけではとてもやっていけない


「いらっしゃいませー」


後30分で仕事が終わる頃、会いたくない奴がやって来た

茶髪に片ピアスの背の高いイケメン?大学生が露出度高めの服を着た可愛い女の子の腰に手を回しコンビニに入って来る

風花はすぐに気が付き自分の存在がバレない様にさりげなくしゃがみこみ身を隠す


なんで安倍兄がこんな所にー泣


少し前に思いっきり頭突きして鼻血をださせた上に弟が陰陽師と言ってたので兄もきっとそうだろう


…関わりたくない!!


風花は仕事をしているフリをして、コソコソとバックヤードに向った


「あー矢野さん!ドリンク類補充しといてー」


店長さんから不意に話かけられ風花は焦って返事をする


「は、はーい」


バレてないよね?


バックヤードに入りドリンクを積めているとお店側に人影が映る

ドリンクを取ろうとする安倍兄と見事に目が合った


「…」


バレてる…

安倍兄は風花を軽く睨み連れの女の子を呼んだ

何をするのかと思ったらドリンク売り場の前で風花をチラ見しながらイチャイチャしだした


てめー…嫌がらせか!!


風花は顔を引き攣らせながら心の中で悪態をついた

バカには構ってられないと思い無視して残りのドリンクを積める


ピロリん


レジヘルプの音が鳴ったので、風花は急いでレジに戻ると店長さんがちょっとだけ出かけたいからお留守番よろしくと言われた

店内は風花と安倍兄と女の子…

最悪だ…


わざわざ風花が見える所でイチャイチャ続行中だし…

け!!


すると、大柄のワイルド系のお兄さんが店内に入って辺りをキョロキョロ見ている


「いらっしゃいませー」


風花の声に反応して大柄のお兄さんは風花を見つけると不敵な笑みを浮かべた

その大柄のお兄さんを見た安倍兄は険しい表情になり連れの女の子に何やら話してお店から出した

そして、大柄のお兄さんを警戒している


「あんたが風花っていう人間か?」


「はぁ」


風花は突然名前を出され何処かで会った事あったかな?と考える


「何しに来た…?」


大柄お兄さんの後ろから緊張した面持ちで安倍兄が話かけると大柄お兄さんは安倍兄を睨む


「術者か?俺がわかるとはなー」


ふたりは睨み合い、今にも喧嘩をはじめようとする勢いだ

風花はお店で暴れられては堪らないと思い急いでレジから出る


「ちょ!揉め事とか勘弁して下さい!他でやって下さい!」


と言ってふたりを店の外に押して出した

安倍兄は焦り、大柄お兄さんはキョトンとしている


「おま、バカか?なに俺まで追い出しているんだよ!」


安倍兄が風花を見て怒っているが、風花は「はあ?」と言った具合だ

安倍兄は呆れた顔になり


「こいつ!!妖怪!わかる?」


そう言って大柄お兄さんを指さすと大柄お兄さんは少し偉そうに微笑む

風花は目を丸くして大柄お兄さんを見て少し考え


「人間に見えるけど?」


「だーーーもう!!変幻してるのがわかんないのかよ!?」


安倍兄のイライラが積もっていく

すると、大柄お兄さんの姿が煙の様なモノに包まれ姿が妖狼に変わる

風花はこんな都会のコンビニ前に現れた妖怪を見て驚き固まった


「ほら見ろ!!」


と自慢げ?に言う安倍兄だったが、次の瞬間妖怪の妖力の大きさに気付く

今まで何度も妖怪を見て来たし悪さをする妖怪は退治もしてきた

しかし、今自分の近くにいる妖怪は今まで会ったどの妖怪よりも大きな妖力を持っているのだ

人間の姿の時は抑えていたのか!?

距離をとり、攻撃に構えをする安倍兄に風花は焦る


「待って待って!!妖怪さん何もしてないじゃない?」


「何言ってんだ!?」


「ただ、コンビニに買い物に来ただけかも!」


「はぁ?」


安倍兄はこの緊迫した状態で訳わからない事を言う風花を睨みつける

風花はとりあえずふたりの間に入って妖狼を見ると妖狼は少し間抜け面をしていた


なんだ?この人間俺が怖くないのか??


「えっと、妖怪さん!何もしませんよね?ね?」


風花が妖狼にぐいっと顔を近づけ必死に訴える

妖狼は風花を殺すつもりはないにしても、多少脅すぐらいはしようと思って来たのだがそんな自分(妖怪)を庇って?いるのか、あまりの必死さがちょっと面白くなってきた


「え、ああ」


妖狼が薄ら笑いながら返事をすると、風花はパッと目を輝かせ安倍兄に詰め寄る


「ほらみて!!安倍兄!だから退治とかしないで!」


安倍兄はむぐぐっと言った感じで気押されしている


「嘘を言ってるかもしれないぞ…」


苦し紛れに安倍兄が言うと風花は口を尖らせ安倍兄と睨み合う


「ぷ、あはははは!!!」


突然妖狼が爆笑しだした

風花と安倍兄は何が起きたのかと妖狼をきょとんと見る


「いやー面白い!!そうかー人間、俺が怖くないのか?」


風花は怖くないか?と聞かれて、妖狼を観察するが…

大柄で焦げ茶色の長い髪をポニーテールにして目つきが悪く褐色肌で笑うと牙が見えて爪が尖っていて痛そうだが…まったく怖くない…

首を傾げて不思議そうな顔をする風花にますます妖狼は笑いが止まらない


「バカか?あの妖怪は凄い妖力がある古妖怪だ。おそらく何人も人間を殺している…」


安倍兄が妖狼を警戒しながら風花に向かって言ったが風花は顔色をまったく変えず妖狼を見つめる


「そうなの?私には妖力とかそういったのわからないけど…今見てる限りには全く怖くない」


「そこの術者のガキよりも、風花お前の方が肝がすわってるって事だ」


妖狼が安倍兄を小ばかにしたように鼻で笑う

安倍兄は顔を歪ませ不愉快という顔をした


そんなやり取りをしていると、店長が帰ってきた

風花は急いで仕事に戻らなければと思い二人をみて


「あと10分で仕事終わるから!騒ぎ起こさないでよ!!」


っと店の中に戻って行く

二人は呆気にとられた


まさか、この状況で待たされるとか…?

ありえなくない?


安倍兄はチラッと妖狼を見ると妖狼も同じような事を考えてると解った

なんだか、さっきまでの緊張がバカみたいだ

ふっと小さく笑いが込み上がる

妖狼が安倍兄に話しかける


「お前、風花のなんだ?」


「え?別になんでもないけど…」


「何でもないのに庇うのか?」


「偶然その場にいたからだよ!」


安倍兄はなんだか恥ずかしくなってきて声を荒げる

妖狼はふーんっと言った感じでほくそ笑んでいた

今度は安倍兄が妖狼に質問をした


「アイツに何しに来たんだ…?」


ピリピリとした空気が漂った

妖狼はしばらく黙っていたがゆっくり口を開く


「…ある方の命令で見に来たって所だ」


嘘は言ってない

ただ、全部本当でもない

安倍兄はさらに深く知りたいと思った


「アイツから感じられる妖力の主からか?友達っとか言ってたが」


「残念。違う方だ、可哀想だよなー狐も」


「狐?」


「風花の友達?だ。所詮人間と妖怪なんて、相容れぬモノよ…」


妖狼は少し哀れむような目でお店の中の風花を眺める


風花は狐に憑りつかれているのか?

なにか腑に落ちない…

安倍兄も風花に興味が湧いてきた


妖狼が突然フラフラと歩き出した


「お、おい?」


安倍兄が焦って妖狼に声をかけ止めよう追いかけたが足を止めない


「俺帰るわ、ガキお前名前なんていうんだ?」


妖狼は安倍兄の方を見ないで聞いた

なんだ?この妖怪…

名前を答える義理はない

しかし、安倍兄もこの妖怪の名前を知りたいと思っていた

今までなかった恐怖を感じたこの妖怪


「俺は陰陽師、安倍靖(あべやすし)だ、お前はなんという?」


「知りたいか?」


意地悪にニヤッと笑う妖狼にムッとしたが無言で言い返さなった


「…妖狼だ、陰陽師か。きっとまた会うだろうなぁーめんどくせー」


妖狼は深くため息をついていたが口元は笑っている

また会う?風花を狙いに来るのだろうか?

靖は妖狼の少し後ろを歩いて考えていた

すると妖狼は足を止め鋭い眼光で靖を見下ろした


「靖、風花に狐に関わるなと伝えろ。そしてお前も関わらせるな。狐はもうある方のモノだ」


そう言い捨てると妖狼は飛び跳ね駆けて行った

靖はもの凄いスピードで去っていく妖狼に何も出来ずただ見送った

あんな動きをする妖怪に勝てるわけない…

戦わずして敗北感がいっぱいになり、自分の未熟さを思い知った

靖は重たい足取りで風花の元に戻ると仕事を終えた風花は着替えてコンビニ前で妖狼と靖を探していた


「あ!安倍兄!!妖怪さんは?」


「…帰った。てか安倍兄って止めろ。俺は安倍靖(あべやすし)だ」


靖はノー天気な風花を見てため息が漏れる

妖怪さんって、どんだけ友好的なやつなんだ…

こいつ、自分の身ぎ危険だった事全然わかってねー

だんだんと風花を見てるとムカムカしてきた…

靖は風花を睨みつけると風花は不機嫌な顔になり


「な、なによ!別に安倍兄でもいいじゃない!」


「そこじゃねーよ!!」


風花が「なに?じゃーどこよ!?」とぶーぶー文句を言っているので靖も言い返えす会話が一時続く


風花は天然入ってます。

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