其の二 御館様(謙信公)との絆の物語(景勝公編)
NHK大河ドラマ「天地人」を参考にして書きました。
この小話は私、喜平次(後の上杉景勝公)と御館様(上杉謙信公)の堅い絆の物語である。私は幼き頃(今で言う小学生くらいの頃)母上(仙桃院さま)と共に御館様の所に来て、母上は住む所を与えられ私は一人御館様の所に養子としてもらわれた。
初め私は、本当はあんなに優しく思いやりがあり、慈悲の心も非常に強い、真の漢、漢の中の漢である、御館様の事が心の底からはどうしても信じ切れていなかった私は御館様にほとんど心を開かずに自分の殻に閉じこもり出来れば、誰とも会わずに暮らせないものだろうかなどとまだ、だいぶ幼かったのにもうこの世の全ての苦い経験を最早経験した者の様なこの戦国の厳しき世界で生き抜いて行く事に何の意味もない事、何の価値もない事の様に思えて只々、辛く厳しく感じられる毎日を(現在で言う子供の鬱病の様な病)に侵され病に苦しみながら自分なりに精一杯に生きて居りました。
そんな私の事を見て、恐らく、とても優しくて愛に溢れたお方だから、きっとどうしても私の事を放って置けなかったのだと思います。とある日の午後、私は御館様に連れられて越後の美しい街並みが一望できる小高い丘の上に行きました。そして、御館様は私にこう言われたのです。
「我が愛する倅よ、何を悩んでおる、元気を出せ、母上も相当心配して居られたぞ。あまりおなごを哀しますでないぞ。それより、わしは近い将来京へ上り、天下泰平の為、尽力する所存だ。その為には、お主を始め沢山の優秀な人材が必要じゃ!! 我が愛する倅よ、お主の力がわしには必要不可欠じゃ、どうかこの先ずっと一緒にわしと戦い抜いてはくれぬか? わしが見る限りお主の剣術や武力には非凡なものを感じておるぞ、その優れた武力をどうじゃ、わしの天下太平の為に存分に発揮してはみぬか?」
「はっ、ありがたき、御言葉、恭悦至極にござりまする」
「そうか、それはなによりじゃ」
「はっ、御館様、私は一生涯御館様に忠誠を誓うておりまする」
「私は微力ながら御館様の天下泰平の為に働きとう存じます」
「そうか、分かった。ありがたきことだ。礼を言うぞ。我が愛する倅よ、崖下を見よ!! この美しい国が我が国、越後ぞ!!」
「ゆくゆくはお主にもっともっと発展させ、日の本の国一の都としてくれてやる!! だから、お主はもっともっと、強くなれ、もっともっと、逞しくなれ!! わしは可能な限りお主の成長をずっとずっとそばで見続けるぞ!!」
「そして、我が精神論 「義」の心を我が愛する倅よお主に全て叩き込んでやる!! そして、わが愛する倅よお主がわしの跡を継ぎ立派な漢、真の漢、漢の中の漢に、お主が成れ!!」
「きっと、大丈夫お主になら必ず出来る筈だ!!」