34.新たな 出会い
帽子屋の課題の 二日目。カナトと兵士長の前に 突如 現れた、奇妙な 青年とは……?
朝食タイムを終えた叶人は、兵士長に連れられて 近くの温泉に来ていた。
着替えも下着も 替えは無いが、とりあえず持っていたハンカチや タオルを駆使して、体を清めることはできる。
「あ~…… こんな気持ちのいい 温泉まであるのに…… 何で、赤い実なんかに 走っちゃうのかしら?」
濡れた体を拭き、身支度を整えながら、叶人は 誰にともなく つぶやく。
この ねじれた世界に来てから、外で寝る…… つまり《野宿》をしたのは、これで何回目であろうか。
「初日から…… いきなり ゴリ子に捕まって、インディアンの集落に連れていかれたのよね。そのあと、ハートの国に来てからは…… あぁ、そうだ、赤ずきんたちに襲撃されて……」
白ウサギに抱っこされながら、迷いの森で 一晩を明かした。
「今日で、確か 世界に来てから六日目のはずなんだけど……」
すでに 三回も野宿とは―――― 野宿の率が 高すぎる。
「別に、ノールが用意してくれるような、あんな高級な宿でなくていいのよ? ただ、普通の 雨風がしのげる宿なら、何だっていいんだけどね?」
「アリスちゃ~ん…… 誰に向かってしゃべってるの~?」
少し離れた茂みの奥から、兵士長の声がした。
「…… ひとり言よ、気にしないでちょうだい」
兵士長は 兵士長で、今 身支度の真っ最中である。
「やっぱり、絶対に 着替えは必要よね。 なんとしてでも、この課題をクリアしなくっちゃ!」
このままでは、いずれ 野宿にも慣れ、元の生活には戻れなくなってしまいそうだ。
「いやいやいやいや…… 私は 立派な現代人なのよ? お風呂に入れないとか、着替えが無いとか、もう金輪際 ご免だわ。文化的な 最低限の生活は、憲法でも保障されているのよ?」
……ん? 憲法ではなく、法律だったっけ?
「君って…… ほんと、おもしろいね~」
「おもしろくなんか ないわ、普通よ フツー。 ところで…… 私は もう支度できたわよ? そっちは どう?」
「え、もう!? …… 何で、男の俺より 君の方が早いわけ?」
…… そんなの 知るか、と叶人は思う。
「…… 別に、本格的に お風呂に入ったわけでもないし、誰かが 覗いて見ている訳ではないし…… こんな森の奥深くなら、人は いないって言ったのは 兵士長でしょう?」
それならば、気兼ねすることなく 豪快に服を脱いで、体を拭いて…… たった それだけのことなのに、時間がかかるというのか。
「…… あ、もしかして、その衣装、実は けっこう面倒な作りだったとか? 私のは、エプロンとワンピースだけだし、ぱぱっと脱いだり 着たりがラクだから――――」
そこまで言いかけて、突如 叶人の声は 途絶えた。
「…… アリスちゃん?」
訝しげに、兵士長が 問う。
「…… …… …… ……」
兵士長――― と、呼びかけたくとも、目の前の光景に 絶句して、言葉は 喉の奥へと引っ込んでしまっていた。
叶人の 目の前に、突如 降って湧いたように現れた、一人の 青年。
青年…… で、合っていると思われる。
腰まで伸びた 超ロングの 艶やかな黒髪が、一瞬 女性かと間違えそうになるが、その 腹が立つほど すらりとした長身は、華奢に見えて 貧弱な感じはない――― 男性のものだった。
気配は、まったく 無い。
目の前に 相対しても、気配が感じられない。
茂みに囲まれた場所にいるのだ、目の前に現れるには、必ず 何か音がするはずなのに。
葉が揺れる音も、一切 しなかった。
本当に、マジックや イリュージョンのように、突如 姿を現した 青年は、夢か 幻か、はたまた 幽霊とかの類いにも 見てとれたのだが………。
ぽかんと 間抜け面をさらして 固まってしまった叶人に向けて、青年は ニヤリと笑う。
「…… そなたが 一人目だな…… うむ、そなたに決めよう」
意味深な言葉を つぶやき、すうっと 風に乗る様な動きで 距離を詰めてくるのを、瞬時に理解した。
理解して………… 叶人は 咄嗟に 叫んだ。
「よ…… 寄るな、 《変態》!」
「アリスちゃん!?」
叶人の 必殺技――― 《上段 回し蹴り》が 《さく裂》するのと、奥の茂みから 兵士長が 慌てて飛び出してくるのは、ほぼ 同時だった。
「…… それで?」
「何だ、今の話を そなたは聞いていなかったのか?」
元の場所…… イモムシから少し離れた 焚火の所まで戻った 叶人と兵士長は、目の前の 人物と向かい合っていた。
「…… 聞いていたけど、だから? それで、何?」
ニコニコと やたらと笑顔の兵士長だが、身を包む殺気が 彼が《ご機嫌ナナメ》だということを 如実に物語っている。
自慢の 大剣は引き抜いて、わざと目立つように 自分の目の前の地面に突き立てて 威嚇しているようだ。
何か 動きがあれば、すぐさま 首を落としかねない勢いを感じて、叶人の背中に 冷たい汗が流れる。 ほんの少し 忘れかけていたが…… 兵士長という男は、本来 こういった性質の男なのだ。
そんな、敵意丸出しの兵士長に気付いているはずの 青年は、ゆったりとした仕草で足を組み直し、その威圧に負けているようには見えない。
それどころか、たいして 気にも留めないような、そんな印象さえ受ける、涼しげな顔。
叶人の 必殺技は、青年の 左頬に 見事に的中していた。
かすかに 赤くそまった頬を気にすることもなく、青年は 先程と同じ説明を、始めから し直す。
「我の名は、ニコル。 西の果てにある、マルゲリーテの出身で、今は 世のため 人のために、旅をしている最中なのだ」
…… ああ、ピザが恋しくなってきた――― と、毎度のことながら、どうでもいいことを ぼんやりと考えてしまう。
「本来ならば、この世界において、真の名は 大切なもの。 だが、我は 自らの《呼び名》が好きではない。 むしろ、不名誉な呼ばれ方に 憤り感じているので、気にせずに 名を呼んでくれてかまわないぞ。 ほれ、呼びにくいとならば、《にこにこ・ニコル》と 可愛らしく呼んでもらっても よいぞ?」
「………………」
「…… ふむ、いきなりのことで 驚いているようだが、おいおい 慣れてくれれば かまわぬ」
どうやら、青年のいうとおり、彼の名は 《ニコル》というらしい。
それは 《役割名》でもなく、彼個人の 本当の名前だというから、随分と 明け透けな人物だ…… と叶人は思った。
この世界において、名前は とても重要なもの。
アリスや 白ウサギ…… といった《役割名》で通常は呼ばれ、真の名は よほど親しい間柄でないと 呼んではいけないルールが存在しているのだ。
「そなたは…… ふむ、そうか。 そなたが 《この地の エース》なのだな」
「この地の エースって?」
青年が ぽつりと漏らした言葉に、叶人は 弾かれるように尋ねていた。
「おや…… 新米アリスは、まだ かの意味を知らなかったのか。 よし、説明してあげよう。 彼の《役割》は 知っての通り《兵士長》だ。 通常の呼び名は 兵士長で合っているぞ」
「え、じゃあ…… 時々 聞く、エースっていうのは?」
「エースというのは、階級名みたいなものだな」
「階級……?」
ゆっくりと、青年に向けていた視線を、叶人は 兵士長に変える。
兵士長は、面倒くさそうに 続きを口にした。
「―――― その土地、一番の 《剣士》…… という意味なんだよ」
まあ、だから どこの城も 《兵士長》は、結局 全員が 《エース》って呼ばれる人になっちゃうんだけどね~。
「その土地 一番の、剣士……」
なるほど、だから 剣先を向けた瞬間に、ブタさん三人組は ああも簡単に逃げ出したのか…… と、ようやく納得した。
強そうだな、とは思っていたが、まさか それ程とは。
思わず しげしげと見つめていた叶人の視線に気づいて、兵士長は 艶やかな笑顔でささやく。
「…… なになに、惚れ直しちゃった?」
昼間には 似つかわしくない、ゾクリとするような 色気に、叶人も 一瞬 心臓が跳ねたが、そこは 顔に出さず 冷たい笑みで答えた。 『え~ 冷たいな~』 とか ぼやいている声は、無視するのが一番だ。
叶人は、もう一度 目の前の青年に 視線を移した。
「…………」
咄嗟に、変態 呼ばわりして、回し蹴りを食らわしてしまったのは 申し訳ないと思うが――― 彼の その《服装》を見れば、自分だけに非があるとは いえないであろう。
艶やかな 黒髪は、近くで見ると 黒ではなく、深い紫色だった。
どんなトリートメント剤を使っても、こんなに 綺麗な光沢は出ないであろう、輝く髪。
少し切れ長で、涼しげな目元。 中心には 髪よりも若干淡い 紫の宝石が埋まっている。
すっと通った鼻筋に、形のよい 唇。 すらりとした長身は きめの細かい真珠色の肌で包まれ、どこも かしこも 輝いて見えるのは 気のせいではない。
叶人の人生で 一番の美形といえば、ぶっちぎりで 白ウサギだった。
美を司る神、といっても過言ではないほど、ウサギの美しさは とびぬけていた。
しかし、目の前に 突然現れた 青年は―――― 負けず劣らず 超絶な美人だったのだ。
その……………… 目を覆いたくなるような、《不可思議な》格好さえ、なければ……。
叶人の頭の中に、一つの 童話が 思い出される。
確か あれは、マントだけを羽織り 『立派な服を着ている』と主張していた 愚かな王様の話。
「もしかして…… はだかの 王様……?」
「…… む、我は 《王様》ではなく、《王子》であるぞ。 まぁ、今となっては 王子という身分も 我にとっては 何の意味も持たぬが」
白ウサギが、キラキラと輝く 真っ赤な《ルビー》だとすると、目の前の 青年は、静かに光る 神秘的な《アメジスト》といったところだろうか。
美しさでいえば、この世のものとは思えない、整い過ぎた 美貌の持ち主であるというのに。
「何で…… マント一枚 なのよ……」
彼は、黒いマントをしっかりと羽織っていたが、その中身は ほぼ裸も同然。
あまり 直視はできないほど、派手な柄の 超ビキニパンツに、黒の編み上げの ロングブーツのみ。
少し 腕を動かしただけで マントがずれて、中の 白く眩しい素肌が ばっちりと見えてしまう。
…… はっきりいって、変態だ。 ただの、《露出狂》以外に、何と呼べというのか。
「素肌こそ、《最高の服》であると思わぬか、アリス?」
「…… ちっとも思わないわ……」
とりあえず、童話の王様とは異なり、《服を着ていない》という 《自覚》はあるらしい。
《立派な服が 見えるだろう?》とは言わない分、童話よりは マシなのかもしれないが…… 裸に近い格好であることには なんら変わりは無い。
いつでも、服をキッチリと着こなしていた 白ウサギが見たら、問答無用で 斬り捨ててしまいそうだ。
はだかの王様ではなく、はだかの王子様 ニコル――――。
ここまでくると、もう さほど 驚かなくなっている自分が 怖い。
「…… あの有名な 《はだかの王子様》が、こんな南方の地で 何をやっているわけ?」
兵士長が 相変わらずのニコニコ顔で 威圧するが、相手は どこ吹く風だ。
「先程も 説明したであろう? 我は すでに 祖国マルゲリーテからは籍を抜いてある。 今は しがない旅人だ。 せっかく旅をするのなら、世のため 人のため、役に立とうという心意気があって当然であろう?」
…… 元 王族の言葉としては、確かに 立派な考え方だと思うのだが。
「…… その格好で言われてもね~」
兵士長の《感想》は、至極 もっともである。
「…… え~と、さっき とても 気になったことを 言っていた気がするんだけど」
青年の 上半身は見ないようにして、叶人は 青年に尋ねた。
「一人目が、何とか…… って……」
「あぁ、そのことか。 その日 一番初めに 出会った人物の、手助けをしようと決めているのだ。 先日、一人の ご老人を助け終ってしまい、次の 依頼人を探していたところだった。 我は 運が良い。 こんなに早く、新しい 依頼人に出会えるとは 思わなかったぞ」
「…… 何だか、この世界においての 《アリスの人助け》と、同じように聞こえるわね」
思わぬところに 《商売敵》を見つけてしまったような、何ともいえない 微妙~ な感覚。
ましてや、視界に入れてはいけないような 《際どい姿》の男に出くわすなんて、誰が 想像できるだろうか。
唯一の 救いは、今のところ ニコルからは、《敵意》というものが 感じられないところだ。
本人の言う通り、世のため 人のために 何か役立ちたい――― という思いは、信じてもいいような気がする。
そのことだけは、素直に 認めたくなった。 たとえ…… 格好に 少々難があったとしても。
「…… まさかとは思うけど、アリスちゃん? 君は 性懲りもなく、この王子様を 信じて受け入れるとか、言わないよね?」
「ダメなの?」
「ダメなのって…… ちょっと、常識で考えようよ? 目の前の この 《個性的な姿》、見えてるよね?」
――― バッチリと 見えてはいるが、見たくはない…… というのが 正直なところだ。
君は 慎重派じゃなかったの――― と、兵士長が 瞳で 訴えてきているのがわかる。
言われなくとも、もちろん 慎重派に 決まっているではないか。
ただ、それと同じ位、したたかであることは 忘れてもらっては困る。
「使えるものは、何でも 使う主義なのよ。 …… と、いうことで、ニコルさん?」
「ん、ニコルで 結構。 何かな、アリス?」
「今の この森の状況は、ご存じかしら?」
「…… ちょっと、アリスちゃん、本気!?」
本気で、ニコルと行動を共にすることを 検討するつもりなのか、という意味だろう。
「驚くことはないでしょ、兵士長? あなたの方こそ、冷静に考えて? 今の 私たちには、《手札》が少なすぎるわ」
イモムシとの 静かなる戦いは、すでに 始まっているのだから。
「序盤のうちは、まだ 今のままでもいいわ。 でも、中盤から 終盤にかけては、正直 このままでは 打つ手無しよ?」
「…… そもそも、君は 何を狙っているの? 俺にも教えてくれて いいんじゃない?」
「あら…… 言っていなかった? まずは、無言のまま 相手を監視して、こちらに 注意を引くのよ」
「ふむ…… それには、どんな 《効果》が期待できるのだ?」
兵士長の 横から、ニコルも興味津津といった感じで、身を乗り出してくる。
叶人は イモムシに聞こえないように、声をひそめて 目の前の 男二人に 打ち明けた。
「兵士長からの情報だと、イモムシさんて 行動派というよりは、理論派よね。 物事を 先の先まで考えられて、賢いけれど その分 頑固で 融通が利かないタイプ。 …… そんなところかしら?」
だから、未来に 悲観した。
楽観的に 考えられないからこそ、絶望に 飲まれやすくなる。
叶人だって、その気持ちは わからなくは ない。
「そういうタイプの人は、多分 今頃ドキドキ そわそわしているはずよ。 だって、いきなり 見知らぬアリスが現れて、近くに 居座ろうとしているんだもの。 明らかに 自分に用があって…… ましてや、戦おうとしているのが想像できるのに、何も 仕掛けてはこない。 相手は 何を考えているんだろう、何を するつもりなんだろうって――― かなり、神経過敏になる状況だと 思わない?」
「………… 確かに」
「俺なら、速攻で 斬り殺しに行くね」
「でしょう? 行動的な人なら、真っ先に 行動を起こしているはずよ…… 昨夜のうちにね」
けれど、夜が空けて 今になっても、イモムシは 動く気配はない。
「…… 無視されているとか、考えられない?」
「それなら それで かまわないわ。 私が 待っているのは――― 向こうからの、アクションよ」
「向こうからって……」
「イモムシが、自ら 動き出す、と?」
まさか…… という表情の二人だが、叶人は 大真面目に 肯定を示した。
《先手必勝》という言葉があるように、戦いの 主導権を握るためには、相手よりも先に 行動することが 望ましいといわれている。
しかし、それは あくまでも 《一例》にすぎない。
そのときの 状況、相手の性質によって、戦い方など 何百通りもあるはずなのだ。
「私だって、まだ イモムシさんについての 《情報》が足りないわ。 こちらの想像だけで 戦うなんて無謀よ」
「だから、相手の動きを見つつ、対策を練るって言うの?」
「それでは、後手後手に なってしまうのではないか?」
気付いたときには、追い詰められて 手遅れに…… なんてことも、充分あり得る話だとは思う。
「――― そもそも 最初から、こちらの方が 不利なのよね」
「…… アリスちゃん?」
「だって、そうでしょう? 難攻不落の 《要塞》に攻め入るのと、同じことじゃない?」
他人の言葉を否定し、攻撃も 退けて、森を 異常な地帯へと 変え続けてきた、イモムシ。
要塞とは、イモムシ自身の 閉じたままの 《心》のような気がする。
そんな 鉄壁の守りを崩し、イモムシを 引きずり出さねば、いつまでたっても 勝利には辿り着けないだろう。
「だからね、私…… あなたのことが、知りたいわ」
叶人は、ニコルの 紫の瞳を見つめながら、意味ありげに 笑った。
「む…… なかなか 心を揺さぶられるセリフであるな。 可愛い顔で、あまり そういうことを 男に言ってはならぬぞ、アリス」
「え、どうして?」
言われた意味が わからないが、兵士長が 盛大な ため息をついているのは 聞こえる。
げふんと、ニコルは わざとらしく 咳払いをして、やれやれといった表情で 肩をすくめていた。
「まぁ、よい。 そなたは、我の 何を知りたいと?」
「――――― あなたの、《強み》は 何?」
「強み…… とな。 ふむ…… 直球だが、案外 難しい質問だな」
「だって、特徴とか 特性とか 知っておかないと、手を組めるか 組めないかの判断が できないわ」
「………… だったら、最初から そういうふうに 言えばいいのに……」
非難めいた 口調の兵士長は、面倒だから しばらく放置しておこう。
「我は、《賢者》である」
ニコルの 淡々とした声に、兵士長の顔色が 変わった。
「《魔法使い》は、知っているな? その 魔法使いを 教え導くのが 《魔導師》。 つまり、師匠だ。 そして、その 魔導師たちを束ね、監督し、すべての 魔法使いたちの 頂点に立つもの――――」
「…… それが、《賢者》だよ、アリスちゃん」
「え…………」
今の 説明は、何だ。
とっても重大なことを、あっさり 告げられた気がするのだが。
「ちょっと待って…… 今の話だと…… その、ニコルって……」
「魔法に関しては 《超一流》、ってヤツだろうね~。 ………… なるほど、どうりで 最初から 気配が 《気に食わない》わけだ……」
「でも、それなら、もしかして…… いろいろ 作戦が立てられるかもっ……」
魔法という 《戦力》が追加されるのなら、戦い方にも 広がりが見えてくる。
…… と、いっきに 期待が膨らんだのだが。
「む、あらかじめ 伝えておくが」
そんな 前置きを入れてから。
「この森では、現在 魔法は一切 《無効》な状態であるぞ?」
至極 当然のように――― 王子様は 言い放ちましたとさ。
「…………」
「………… やっぱ、そうだよね~」
つまり、早い話が。
――――― ふり出しに、戻る。
うだるような暑さが続いていますが、それに負けないくらい、濃厚な 人物の登場です。
黒いマントに、黒の 編み上げブーツ。
中身は、派手な柄の 超ビキニパンツ…… という 彼の姿は、想像できたでしょうか。
超絶美形なのに、その スタイルというギャップを楽しんで頂けたらと思います。
やっぱり、戦闘までは いけませんでした。
次回、ニコルが 戦力に加入するのか? お払い箱になるのか?
イライラしている兵士長が、何かを起こすのか?
男 二人を振り回す、主人公カナトにも ご期待下さい(笑)




