26.叶人なりの 《誠実》の表し方
ねじれた世界に到着して、四日目の 夜のお話です。
ソファーから崩れ落ち、折り重なるようにして 寝ている三人組を見て、自然に笑みがこぼれた。
「赤ずきんたち…… 寝ちゃったのね」
先程まで 散々騒いでいたのだから、眠くもなるだろう。
「今すぐ、窓から 捨てますから」
「ちょ…… ちょっと、待ちなさいよ?」
今の口調は、本気だ。
白ウサギは本気で、この部屋…… 七階の部屋の窓から 放り投げる気だ。
「いいんですよ、こんな輩。 捨てたって、たいしたことは ありません」
「いやいや、たいしたこと、あるから! ちょっと、落ち着いて?」
赤ずきん達が 部屋に襲来――― 否、訪ねてきてから、白ウサギの《機嫌》は すこぶる悪い。
殺されかけたのだから、当然といえば 当然なのだが。
「…… 本当に、もうすっかり《敵意》が無くなったみたいね……」
「騙されては いけません。 この世界の住人は、そんなに甘くはないんです」
「それは…… そうなんだけど……」
中央のテーブルに広がった、見るも無残な 惨状。
ルームサービスで運ばれてきた、料理に 取り皿に ナイフやフォーク、デザートが山盛りになったワゴン、香りのよい 紅茶のポット、誰が 開け始めたのか 数種類のアルコール瓶の数々。
簡潔に表すならば、《ぐじゃぐじゃ》だ。
食べて 飲んで 騒いで 散らかして…… 張本人たちは、満足そうに ぐ~すか寝ている。
目の前の 無邪気な寝顔を見ていると、さすが叶人も 警戒心が薄れてくるものだ。
『みんなで食べるのって 楽しいね、アリスちゃん!』
赤ずきんは 終始笑顔で 大はしゃぎだったし、その様子を見ていた オオカミさんも嬉しそうだったし、そんな二人に押されて 瑞樹も表情が和らいでいた。
「カナト……」
「あなたが 言おうとしていることは、わかっているつもりよ、これでも」
そんなに、甘くはない この世界で。
そんなに、単純ではない、人の心において。
拒絶するのは、受け入れるより ずっと簡単だ。
ここは、元いた世界とは 訳が違う。 平気で 人が死ぬし、誰もが 騙し合い、奪い合うのが当然な、ねじれた世界≪ローリィヴェルテ≫。
常識も、何もかも 通用しない。 《当然》とか 《確実》なものなんて、おそらく無いだろう。
それは、自分が 身をもって体験している。 今更、知りませんでした…… なんて、言わない。
「少しでも不安のあるモノは、排除する。 近付きそうなら、自分から遠ざかる。 それが一番安全で、利口な行動だって…… 私だって、わかってる。 わかっている、けど……」
「…… けど?」
はっきり言って、信用できるモノなど、無い。
白ウサギだって、叶人が勝手に信じているだけで、保障など どこにもないのだ。
――― ただ、《信じられると思ったから》という、不確定な理由しかない。
一歩間違えば、大ケガしかねない《賭け》と同じだ。
もしかしたら、もうすでに 間違った方向に進み出しているのかもしれない。
けれど―――――。
何が合っているか、わからないのなら。
大ケガを覚悟で、心のままに 選ぶしかない。
「だから…… 赤ずきん達を、《無罪放免》にすると?」
静かな声だが、はっきりとした 非難の色が滲み出ていて…… 叶人は 少し笑った。
今日の白ウサギは、本当に どうかしている。
なんというか…… いつもよりも攻撃的というか、研ぎ澄まされた刃みたいな 鋭さがある。
しかし、この姿こそ、本来の 白ウサギの性質なのかもしれない――― そう考えると、何だか嬉しくなった。
「昼間、言ったでしょう? …… 許したりなんか、しない。 許すわけがない。 命はそんなに 軽くないんだから」
「それなら……」
「昨日、狙撃したことは 許さない。 絶対に。 でも…… 《それ以後》のコトは、また別だと思うわ」
「…… カナト?」
赤ずきんは、言った。 自分の行動は、何かが違う。 間違っている、と。
ねじれた世界で育ったのに、少しでも そう思う事ができたというのは、とても大きな変化だ。
「彼女たちの《明日》が、今日と同じだとは限らない…… なんて、カッコつけた言い方かしら?」
「カナト…… あなたという人は……」
人は、行動がすべてだ。
どんなに 口では《イイ事》を言ったって、行動を見ていれば、いずれ わかる。
「許すことはできないけど、これから先の《未来の行動》まで、否定することだって できないわ。 私に、そんな権利は無いし」
「…… 変われる、と…… 期待を込めて、受け入れると?」
「う~ん…… 受け入れるっていうよりも――― 《見守る》が、近いかな」
「見守る…… ですか……」
白ウサギは、復唱したまま 難しい顔をしていた。
叶人より この世界に詳しく、ましてや護衛の立場なら、反対するのが普通だ。
そこを、叶人の意志を尊重して、何とか可能にできないか――― 思案しているのだろう。
「これも、私の 単なるワガママだわ」
「あなたの幸せのためなら、僕は何だってします。 ワガママだとしても、すべて叶えてあげたい。それは いつでも変わりありません」
「ノールは…… やっぱり反対?」
「僕が、反対しないと思いますか?」
「それは、そうよね……」
叶人ひとりの 問題ではないから。
やっぱり無理かな…… と、思っていると。
白ウサギは、ソファに腰かけた 叶人の前に移動し、床に膝をついて 見上げてきた。
「…… ノール?」
こんな時でも白い手袋を外さない、ウサギの手は どうなっているのだろう――― なんとなく、どうでもいい事を 考えてしまうが、白ウサギの顔は 真剣だった。
そもそも、白ウサギは 常に真面目だし、真剣だ。
おかしな言動をしたりはするが、本人にとっては ふざけているつもりは毛頭ない。 ジョークなんかも、聞いたことがない。
そんな 超まじめなウサギさんは、叶人の手を 両手でそっと包んだ。
「…… あなたが傷付くのが、僕はイヤです。 あなたが傷付くかもしれないと思うだけで、僕は 平静ではいられなくなる」
「ええと…… それは、私自身にも ちょっと問題があったわよね」
白ウサギに対しては、けっこう《泣きごと》を言った記憶がある。
過剰に心配をかけさせている自分を 振り返り、反省しなければ。
「私、もっと頑張るわ。 多少のことでは動じないくらい、強くなるわ。 あなたに、余計な心配をかけなくていいように、これから もっと……」
《もっと 頑張る》と言おうとしたが、言葉は 最後まで続かなかった。
白ウサギの手が、叶人の唇を そっと覆っている。
「…… 僕に、もっと 分けて下さい」
「…… え?」
「あなたは、一人で何でも 抱え込み過ぎです。 これでは、あなたは いずれ壊れてしまう…… 僕は、そうなるのが 何よりも《怖い》」
「…… 壊れたりなんか、しないわよ。 人間て、こう見えても けっこう図々しい生き物なんだから」
《大丈夫》という意味を込めて。
叶人は、腕を伸ばして 白ウサギの髪を 優しく撫でた。
「…… カナト……」
「私、けっこう思ったことは 何でも口に出して言っているわよね?」
「それは……」
「だから、大丈夫よ。 それとも、私の言うことが 信じられない?」
白ウサギが《いいえ》としか答えられないように、叶人は わざとそういう言い方をした。
「…… あなたは、ずるいです」
「あら、今頃気付いたの? 最初に 自己申告しといたじゃない」
意地悪く 笑ってみせると、白ウサギは 小さくため息をついた。 …… 負けた、という合図だろう。
「ねぇ、ノール」
「はい、カナト」
叶人は 手を離して、白ウサギの瞳を まっすぐに見つめた。
「私…… 基本的に、ウソは嫌いよ」
「知っています」
「それでも、必要になったら ウソをつくこともあるし、汚い手段だって 選ぶ時がくると思うわ」
「カナト……?」
白ウサギは、叶人が何を言おうとしているのか、いまいち掴めていない様子だった。
「だからね――― ううん、だからこそ、なんだけど……」
じっと、次の言葉を おとなしく待っている、従順なウサギに向かって。
「あなたにだけは、絶対に ウソは言わない。 たとえ、どんな状況でも」
ウソをついた方が 相手には優しい時だって、ある。
傷付けることが 予想できたとしても。
「私の護衛は、ノールだけだから」
ウソをつかない――― それは すなわち、心をさらけ出すこと。
《誠実》の表し方を、叶人は この方法以外、知らないから。
「面倒くさい…… というか、迷惑かもしれないけど……」
言いながら、多少は不安になりつつ、白ウサギの顔を 観察してみると。
「…… 僕、だけ……」
赤い おめめを見開いて、不思議そうな表情をしていた。
まるで、はじめて教えられた言葉の意味を、ゆっくりと 脳内で繰り返しているように。
「僕だけ……」
もう一度、白ウサギは 同じ言葉を 呟いて――― それから、ぱっと 花が咲いたように 微笑んだ。
「…… ノール?」
「そうか…… これが いわゆる《相思相愛》というヤツですね!」
………… 違うんだけどな~ とは、とても言いだせない雰囲気ではある。
「あのねぇ、ノール…… 私たちの場合はね……」
「いいですね、相思相愛! ココが ぽかぽかと暖かい気がします!」
ココ――― 自分の胸のあたりを指して、白ウサギは ご満悦だった。
「そう…… それは、なによりね……」
結局、叶人は それ以上何も言わなかった。
言っても ムダだと思ったのと――― 目の前の笑顔を 曇らせたくないと思ったのが原因である。
「私ってば…… はぁ~……」
きっちり しっかりと、妄想男を教育すべきと考えていたのに、いつの間にか 白ウサギのペースに流されているような…… 気がする。
「カナト? はっ…… 疲れたんですね? 今日は 朝から忙しかったから、無理もありません。 さあ、奥の部屋で早く横になって下さい!」
ぐいぐいと背中を押してくる 白ウサギの勢いに負け、叶人は 渋々 奥のベッドルームに向かった。
確かに、迷いの森から出て、黒い刺客集団と戦って、それから 町を二つほど 移動して。
疲れていない、わけがない。
「安心して下さい。 あの連中が 悪さをしないように、しっかり見張っていますから」
「…… じゃあ、ノールはどうするの? いつ、寝るの? あなた、昨夜だって ほとんど寝ていないでしょう?」
森の中で、叶人を 抱っこした状態だったのだ。
周囲を警戒して、寝ていなかったにちがいない。
「ねぇ、交代しましょう? 途中で 起こしてくれたら、その後は 私が見張りをするわ」
「とんでもない! 僕は 護衛ですよ?」
「護衛だからって、寝てはいけないなんて…… おかしいじゃないの」
叶人は、ごく普通に 普通の事を言ったつもりだが、白ウサギは またしても驚いているようだった。
「何で、そんなに驚くの?」
「驚きますよ! だって…… これは、あなたからの……」
「…… ん?」
「…… 《添い寝》のお誘い、でしょう?」
「……」
頬を染めて どうしたかと思いきや。
どこを どう聞き間違えたら、そういう解釈になるのだ。 前向きにも、程がある。
頭に生えている 長いお耳は、いったい何のためにあるのだ。
「そんな…… あなたからの《お誘い》なら、断る理由がありません。 ですが、そんな、あまりにも急で、僕は どうしたらいいのか……」
「どうもしなくて いいから。 …… っていうか、違うから。 いい加減、人の話を ちゃんと聞きなさい」
問答無用で、白いお耳を ぎゅむっと掴んでやった。
「いっ…… 痛い、痛いです、カナト!」
「おかしなことばかり言っていると、今度から こうするからね?」
「…… あなたの《愛》は、いつも 過激です…… でも、そんなところが、また たまらなく可愛らしくて……」
「あ~ はいはい、わかったわ、ありがとう。 お言葉に甘えて、寝かせてもらうわ」
強制的に 会話を打ち切り、叶人は ベッドにもぐりこんだ。
天蓋つきの お姫様仕様のベッドは、寝るのがもったいないほど 可愛らしい。
「…… さっき言ったこと、本心だからね?」
あっさりと 聞き流されてしまうほど、軽い気持ちで 言ったつもりはない。
そのことを、少しでも わかってほしかった。
「あなたの言葉を、僕が忘れるわけがありません。 あなたの《愛》は、ちゃんと受け止めましたから」
…… 愛って、何だ。 自分は、そんな話をした覚えはないぞ。
相変わらずツッコミどころが多くて、どこから指摘していいのやら。
「おやすみなさい、カナト。 良い夢を」
部屋から出ていく 白ウサギの背を見ながら、本当に 大丈夫かと不安になるが。
眠気には、勝てない。
「あ…… ダメだ…… これ以上、起きてられない……」
まるで魔法にかかったかのように、叶人は 深い眠りに落ちていった。
白ウサギが 扉を閉めると。
寝ていたはずの 赤ずきんが、むっくりと体を起こす。
「アリスちゃん…… ちゃんと寝た?」
「…… ……」
「あ、ちょっと、何で無視するの? 返事くらいしてくれたって いいじゃない」
「…… カナトを傷付けておいて、何を言いますか」
「…… だから、それは ゴメンて謝ってるのに~」
「謝罪しようが、自害しようが、カナトが傷付いたことは事実です。 かわいそうに…… 涙を我慢している姿なんて、もう 可愛くて 可愛くて 可愛くて……」
「ウサギちゃん、結局 何が言いたいの? 可愛いしか 言ってないんだけど」
「実際に カナトは誰よりも可愛いのだから、仕方がないでしょう。 何か 反論がありますか?」
「…… ありませんよ~。 アリスちゃんてば、本当に 可愛かったもん。 それなのに……」
――― あたし、あんな優しい人を、傷付けてたんだね。
寝ている オオカミの髪をいじくりながら、赤ずきんは ふと遠い目をした。
「…… 後悔、していると?」
「ん~ 後悔っていうか…… うん、後悔なのかも。 だって、本当なら、敗者である あたし達は、この場に生きてはいられないはずだからね」
敗者は、そこで終り。
勝者のみ、この世界では 生きる権利を持つことができる。 それが、世界のルール。
「ずっと、当たり前だって思ってたことが…… 何かね、アリスちゃんの背中見てたら、違うかもって。 信じられないかもしれないけど」
「僕には 到底信じられませんが…… 少なくとも カナトは、違うようですね」
「うん…… あり得ないよね、びっくりしちゃうよね、今までのアリス達だって、そんな人は 誰もいなかったのに」
「…… そうですね、それが――― 僕が選んだ、《アリス》。 僕だけの、カナトなんです」
愚かでも。 甘くても。
卑怯だとか、汚いとか、散々 自身を卑下しているが、実際は 誰よりも キレイな心の持ち主で。
《あなたにだけは、ウソをつかない》と言われた時の、衝撃は すさまじかった。
「彼女だからこそ、僕も 変われたんです」
「…… そうだよね~ ウサギちゃん、前は こんなじゃなかったもん」
「失礼ですね、僕のナニを 知っていると言うのですか」
「え~ だって、短剣で バサバサ 斬りまくってたの、そんなに昔じゃないでしょ? あの時は ホント怖かったよね~ 容赦ないっていうかさ~」
「…… 今だって、容赦はしませんよ? ――― カナトを、傷付けるのなら」
白ウサギは、赤ずきんを 見据えた。
「僕は、ウソは言いません。 白ウサギですからね。 だから、忠告しておきます。 次に 僕のカナトを傷付けるようなことがあれば……」
生かしては、おかない。 たとえ、カナトが 止めたとしても。
静かな室内を、殺気が埋め尽くす。
寒くもないのに、赤ずきんは ぶるっと身震いした。
「…… あたしだって、そんなにバカじゃありませんよ~だ! それに…… あたし、アリスちゃんのこと、すっかり好きになったもん! 好きな人には、意地悪しないもん!」
「勝手に、好きにならないで下さい。 僕のカナトです。 迷惑です」
「勝手なこと言ってるの、ウサギちゃんの方でしょ~? 知らないよ~、そういう 強引な男って、すぐに嫌われちゃうんだからね!」
「僕たちの《愛》に、死角はありません!」
「げ~…… 何クサイこと言ってるの…… 鳥肌がたっちゃう」
「仕方ないよ、チャッキー。 白ウサギ殿は、真剣なんだから」
「真剣ていうより…… ただの 《妄想男》……」
「あれ、ミズキも 起きてたの?」
タヌキ寝入りをしていたのは、赤ずきんだけではなかったらしい。
「こんな 強烈な殺気がしてるのに、寝てなんかいらんない。 俺だって、一年も生き延びてるんだからさ」
カナトとは真逆に、逃げて 逃げて 逃げて――― ようやく繋いできた、命。
「チャッキーの真似じゃないけど…… 俺も、やり直したい。 信じてはもらえなくても、今度こそ、俺はちゃんと戦いたい。 だから、叶人さんに 付いていくって決めたんだから」
白ウサギに 睨まれようが 引かないという、瑞樹なりの 意志表示だった。
「どうして…… カナトの周りには、こんな変な輩ばかり 寄ってくるんでしょう」
「…… 変な輩の 《筆頭》は、どう考えても ウサギちゃんだけど?」
「僕は、ただの 《愛ある護衛》です」
「その時点で、すでに 普通じゃなくなってるのに、気付いていないのかな……」
控えめに 漏らしたオオカミの言葉が正しいと、白ウサギ以外の 誰もが思っていた。
ねじれた世界に来てから、五日目。
帽子屋に 今日こそ会おうと、叶人たちは 店の前に並んでいた。
「あたし、会うのは初めてだよ~」
「ボクも」
「俺も…… 会う機会なんて、一年いたって そうそう あるもんじゃないし」
「え? みんな そうなの? ノールも?」
「僕は…… 面識はありますよ、一応。 腕の良い職人であることも認めます。 でも……」
言い淀む 白ウサギの態度に、叶人は いっきに不安になった。
「何だか…… 問題アリの、人物みたいね?」
フック船長は、ひと言も そんなことは言っていなかった。
紹介状は、まあ飾りみたいなもので、会えばわかる――― ただ、それだけを繰り返していた。
「何にせよ、会わないと始まらないわ。 いい、店に入るわよ?」
叶人が先頭に立ち、店の扉を開くと――――。
「あらぁ~ん、いらっしゃぁ~い!」
深い緑の ベルベットのジャケットに、レース襟のブラウス、下はマーメイドスカートに、白いレザーブーツ。
金髪に、赤や緑のメッシュが入って、髪の長さはおかっぱ程度。
ファッションはバランスのとれた、オシャレな《お姉さん》、なのだが。
野太い声といい、けっこう筋肉のついた ガッチリ体型といい…… どう見ても、男性であることは間違えないだろう。
「…… ……」
「…… ……」
「…… ……」
「…… あ、あの服 カワイイ~」
まともな反応をしたのは、赤ずきんだけであった。
立て続けに起こる、人生のピンチ――― オロオロするばかりで、時間だけが無情にも過ぎていきます。
時間が解決することなら、いい。 しかし実際は、それ以外のことの方が 圧倒的に 多い気がする。 時間が 経過するほど、状況は悪化するという……。
そんな時は。 頑張っている 《誰か》の姿を見て、自分を 奮い立たせるのがイチバンですね。
私にとって、この物語は その一つでもあります。 架空の話であっても。
次回、オネェな帽子屋から出される、奇妙な《依頼》とは―――。
頑張っている、すべての方に。 白ウサギのような 強烈な味方が 現れますように。




