プロローグ 少年の感じた痛み
一応筋道はあるのですが、途中で書けなくなっちゃうことが多々あります;
今回は頑張りたいと思います(汗
7人が取り囲む魔法陣の中心には宝石箱。俺はその前に立っていた。まるで、全てを飲み込むかのような黒に目がチカチカする。恐怖、そんな感情はない。ただ、生物としてその黒が嫌だった。
「成功か? 」
「成功したのだ! 」
周りから聞こえた声の意味はなぜか理解できた。それは、俺の器になっている人物の脳にインプットされていた言語だからであろう。そう、俺はこの体と一緒に全ての記憶を受け継いでいた。人が絶対に持てない記憶、『死』の記憶さえも一緒に……
「どうした? ライド? 聞こえないのか? 」
一言も喋らない俺に不安を感じたのか一人の老魔術師が声をかけた。
「俺はライドじゃない。俺は……俺は誰なんだ? 」
分からない。俺は何者だ? 俺は……俺は……
「ライド……ライドなのだろ! 早く私に『ただいま』って言って……」
「落ち着いてください、シェンド様。多分、ライド様の体に違う者の精神が宿ってしまったのでしょう。私達の術は失敗に終わりました……」
泣き崩れる老魔術師を支えながら、若い魔術師が苦い顔をしながら自分の見解を述べた。
「失敗したというのか」
違う者って誰? 俺は誰?
自分が何者か分からない違和感、それが体の中を駆けめぐる。
『殺すのだ。皆殺しだ。お前を不安定なまま生み出したこいつらに復讐をするんだ』
心の中に深く低い声を感じた。
『私はお前が誰なのかを知っている。私の言うとおりにすれば、そのうち自分が何者かが分かるだろう』
その瞬間何かが吹っ切れた。俺の中から力が濁流のように流れ出す。何もかも飲み込む黒い渦が次第に大きくなり世界を破壊し尽くした。
ただ、荒れ野だけが続く世界。そこに俺は立っている。少しの痛みを感じながら……