表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

執事シリーズ

ごめんあそばせ召しませ執事?2(千文字小説)

作者: りったん

 有栖川ありすがわ亜梨沙ありさは大富豪の令嬢です。


 まだ十七歳ですが、お金持ちの上に美少女なので、通学しているインターナショナルハイスクールではモテモテです。


 しかし、亜梨沙は同級生のイケメンの告白にも落ちませんし、耳も貸しません。


 何故なら亜梨沙は、事もあろうに自分の邸で働いている執事に恋をしているからです。


 執事の名前はトーマス・バトラー。世界執事協会所属の執事です。


 亜梨沙は見かけは高飛車ですが、本当は恥ずかしがり屋です。


 ですから、トーマスに自分の気持ちを伝えられません。


「トム、庭にゴミが落ちていたわ。お掃除きちんとしているの?」


などと、自分で散らかしておきながらそんな事を言ってしまいます。


「申し訳ありません、お嬢様。すぐに片づけます」


 トーマスは慇懃いんぎんにお辞儀をし、クルッときびすを返して歩き去ります。


(ああん、大好き、トムゥッ!)


 心の中で絶叫する亜梨沙です。もう意味不明です。


(このままでは、私は本当にトムに愛想をつかされてしまう。どうしたらいいの?)


 悩む亜梨沙です。しかし、実際にトーマスが目の前に現れると、


「トム、今日の紅茶、ちょっとかび臭かったわ。古いものを使ったんじゃなくて?」


などとほとんど言いがかりに近い事を言ってしまいます。


「申し訳ありません、お嬢様。早速現地に連絡して、新しい紅茶を取り寄せます」


 トーマスは華麗に頭を下げます。


(ああん、どうにでもして、トムゥッ!)


 また心の中で雄叫びをあげる亜梨沙です。


「そうね。できるだけ早くね。来週、お友達を招いて、お茶会をするのだから」


 それでも高慢ちきな仮面を被り続けてしまう亜梨沙です。


「畏まりました」


 トーマスはクルリと身を翻し、歩き去ります。


(もうダメェッ!)


 自分を偽り続ける事に堪えられなくなった亜梨沙は、


「待って、トム」


とトーマスを呼び止めます。


「如何なさいましたか、お嬢様?」


 トーマスは笑顔で振り返りました。


 亜梨沙はドキンとしました。


「お茶会には奇麗な方がたくさんいらっしゃるけど、私以外に優しくしたら許さないわよ」


 亜梨沙は顔を火照らせながら言います。


「仰せのままに」


 トーマスはまたスッとお辞儀をしました。


「別に貴方の事なんか、好きでも何でもないのよ、トム。 勘違いしないでね!」


 亜梨沙はもう自分が何を言っているのかわからなくなっています。


「はい、お嬢様」


 トーマスは微笑んで応じました。


 


 もう少しだけ、続く……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ