出会い
昨日のさんま美味しかったなー、と思いながら、俺は乗ってるいる車の窓から外の景色を眺めていた。
まぁ、これからじいちゃんの墓参りに行くのに通る山道の景色を見ているので、木が多めだが、緑溢れる景色を観るのは別に嫌いではない。むしろ少し癒される。
自宅がある麓も盆地なので、遠くに山が見えるけど、やはり山の中から見る景色は違う。
まぁ恥ずかしくてそんな事他人には言えないけど。
ただここ数年で熊の目撃が一気に増えたので、少し怖い事は家族にも内職にしとかないと。
大丈夫、熊よけの鈴と熊撃退スプレーがあるから。。。
とそんな事を考え外を眺めていた。
親父は運転、母さんは助手席で運転中の親父と何気ない日常会話をしてる。
事故だけは気をつけてくれよ、俺は内心そう思った。
それから数分後、お墓があるじいちゃんご生前に住んでいた家に着いた。
じいちゃんの家、まぁ母さんの実家と言った方が今はいいのだろう。
お墓はその家の敷地内にある。田舎の方だと意外に珍しくない光景だ。
ただこの数十年でこの辺に住んでる人も少なくなっており、皆市街地の方に降りて行ったらしい。
それに伴い、お墓を街の共同墓地などに移す人もいるとの事だ。
俺も大きくなったらお墓移した方がいいのかなぁー。お墓参りに来て熊に襲われてもやだし。
でも、そんな事を思ったら不謹慎かな? とそんな風に思っていると、
「私は家の中を見て来るから2人は先にお墓の掃除をお願い」
「あぁ!わかったよ」
母さんはそう言うと、家の方に向けていった。
父さんは母さんに返事を返すと、俺の方を見て、
「よしー息子よ張り切っていくぞ」
そう言い張り切りながらお墓に向かっていった。
返事は返さないが、さてやるか、俺もそう思いながら掃除に向かった。
父さんとお墓掃除をしていると、家の中から母さんが家から出てきて、
「水道から出る水が濁ってるからどっちか水の水源まで行ってフィルターを綺麗にして来てくれない?」
「じゃあ俺がいくよ、昔良くじいちゃんと行ってたし」
俺は母さんの言葉にそう返した。
「ならお願い」
「この辺で熊を見た事が内が一応これ持って行け」
母さんの返事の後、父さんが熊よけスプレーを渡してきた。
父さんもこの辺の生まれなので、この近辺の事には詳しかった。
たく、お墓の掃除して熊のこと忘れてたのに、俺はそう思い、渡されたスプレーと鈴をつけ水源へ向かった。
山に住んでる家の水道は水道水でなく、山の湧き水だったり川や沢から引いて来てる家が多いみたいだ。そのため砂利などが入らない用にフィルターを通したりする事もある、そして定期的に掃除しないとフィルターが詰まるのだ。
水道水この辺には来ないのかな、そんな事を思いながら俺はじいちゃん家に来ると良く山で遊んでいた事を思い出す。
今回みたいにフィルター掃除をじいちゃんと何回も行ったけ、そんないく途中にいろいろな話を聞いたけ。
じいちゃんのその又じいちゃん位の時には、この辺には神様がいて陰ながら村を見守ってる伝承があるとか、街からでも見える地元の大きな山にも神様がおり、信仰されていた、だが、人々がその山を削り始めてからは居なくなってしまった。
ここから、少し離れた街で毎年行われる自作ロケットを打ち上げるお祭りも、以前は参加者がおおかったし、昔はもっと川に魚がおり、じいちゃんの小さい時は魚のつかみ取りまで出来など、いろんな話をしてくれたけ、そんな思いでに浸りながらじいちゃんの家の裏にある山道を登って行く。
途中から水源に行くには獣道みたいな道を通らないと行けなくなる。
俺は木の枝や木や岩に昔の人が括り付けたのだろうロープを手に取り登っていくと、水源が見えてきた。
「お。結構砂利が詰まってるな」
俺はフィルターをじいちゃんが昔やっていた用に綺麗にした。まぁ、砂利などを取る位なのでそんなにかからないが、数分で終わらせ、帰ろうと屈んでいた体勢から立ちあがった時、
「は」
咄嗟に声が出そうになったので、口を手で覆った。
あ、どうしよう、そう数メール先に熊が2頭いたのだ。恐らく1頭は子熊だと思う。
そうだ、スプレーを。俺はフィルターの掃除をする時に手に持っていた熊撃退スプレーを足元に置いていたので、それを取るためにゆっくり手を伸ばしながら足を屈伸させていった。だがその時、
チャリン〜
熊除けに持って来ていた鈴に手にあたり、さっきフィルタ掃除していた時以上に音が大きく鳴ってしまった。
その音が聞こえたのだろう、二匹の熊がこちらに振り向いた。
さっきまで揺れる位だったから音が小さく川の音で掻き消えてたのかぉーー、そんな感想に浸ったていると、母親らしき熊がこっち目掛けて走ってきた。
俺も向かって来る熊めがけスプレーを噴射した。
しかし、母熊は後つ去りするかと思えたが、スプレーから出た赤い粉末が子熊にかかり子熊が鳴き声を上げて逃げ出すのを見たのだろう母熊が後つ去りを止め、こちらに再度向かってきた。
やばい。
俺はとっさにもう何も出なくなったスプレーを熊に投げつけ、後ろを向いて逃げようとしたが、
「うわー」
足が濡れていたのもあり、滑って斜面を転がり落ちていった。
これが走馬灯か。そう今までの事が鮮明に、しかもスローモーションで脳内に移しだされた。
本当にあるんだな。
母さん、今までありがとう。
父さん、少し強く当たることもあったけど感謝してました。
妹ともうゲーム一緒にしてやれないなぁ。
あとは学校の友人とはもっと遊びたかったな。
あ、彼女も作りたかった。
どのくらい転び落ちたのだろう。もしかしたら体験時間ほど転んでなかったのかもしれない。
ダメだ、体の全身が痛くて起き上がれない。
やっぱり死ぬのか、、。
熊は転び落ちた俺の方にゆっくりと近づいて来ていた。
「くっ、死ぬのか」
悲しみなのか、悔しさなのか、後悔なのか、今まで感じた事の無いような感情を混ぜて呟いた。
もうダメだ。
本当に諦めかけた時、じいちゃんが小さい頃に話してくれてた神様が陰ながら見守ってる話しを思い出し、俺は
「神様、、どうか、、助けて、、ください」
途切れ途切れに呟いた。
熊が既に目の前に来ていた。
四足歩行していた熊が立ち上がり、俺にトドメを刺そうと前足を振りかざした。
その時だった、突然、声がした。
「私を呼んだのは、貴方ね」
そう聞こえたのと一緒に、今俺に襲い掛かろうとしていた熊が吹き飛んだのが見えた。
冷たい、これは水?
「あら、ひどい怪我ね。どうしましょうか私人間を回復させるやり方知らないだけど まぁ、病院て所に運んであげれば良いか」
おれは消えゆく意識の中、黒髪ロングヘアーの女の子が川の上に立っていて、こちらにそう言いながら向かってくるのを見ていた。




