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わたしを救った百合迫る後輩との同居生活は想像よりもずっと甘い。  作者: 藤白ぺるか


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第14話 看病

 体が熱くて、ぽわぽわする。


 濃厚なキスをされたからか、それとも彼女の体の温度を感じたからか。


 あ……冷たい。

 頭が重たい……ガンガンする。


 私、どうなってるの?



「ん……んぅ…………」


 ぼやけた視界。

 明るい蛍光灯の光が差し込み、目を細める。


「あ、先輩。起きましたか?」

「え……あ……おちあい、さん……」

「はーい。そうですよー。可愛い可愛い落合さんですよー」


 軽い口調で近づいてきたのは、落合さんだ。


 ああ、そうか。私は彼女の家で夕食を食べて、そのあと煽られてトランプをして……それで――


「う、うぅ……痛い……」

「先輩。熱あるんですから、動いちゃだめです」


 起き上がろうとするも、頭に痛みが走り起き上がれなかった。

 落合さんの言った通りに風邪を引いたようだった。


「この薬飲んだらしばらく寝ていてくださいね。明日は会社お休みしましょう。私から言っておきますから」

「え…………」

「三十八度五分――この熱で出社する人なんていませんよ」


 ああ。だめだ。また落合さんに頼ってしまう。

 もう、かなり彼女に生活を侵食されているけど、というか私が彼女の生活を侵食しているようなものだけど、弱っている時は特にだめだ。


「わかった…………」


 落合さんに支えられながら水で薬を飲んだあと、私はまた眠りに落ちた。


 ◇ ◇ ◇


「先輩……」


 自分の欲望が抑えきれなくて、先輩がこんなにも熱が出ていることに気が付かなかった。

 大失敗だ。


 先輩の面倒は私がちゃんと見るはずだったのに、こんなささいな変化もわからないなんて、恋人になれるわけなんて……。


 いや、今はそんな落ち込んでいる暇はない。

 とにかく一生懸命看病して、体調を回復させる。これが今の私ができること。


「楪、しっかりしろ」


 小さく自分を鼓舞し、私は先輩のための行動をとった。


 ◇ ◇ ◇


「――おはようございます、先輩っ」


 目覚めると目の前には既に仕事着の落合さんがいた。


「あ、う……」

「体はどうですか? さっき勝手に計らせてもらいましたけど、七度台には下がっているみたいです」


 軽く体を起こしてみた。

 ちょっとまだ体がだるくて熱い……さすがにこの状態では会社は無理だ。

 それでも昨日よりは大分良い。


「ありがとう。少し良くなったみたい」

「それなら良かったですっ。私、会社行っちゃいますけど……おかゆだけ用意してるので、温めてから食べてくださいね?」

「何から何まで……ありがとう」

「いえいえー! それじゃあ私は会社に行ってきますけど、淋しいからって、外に出ちゃだめですからねーっ」

「……うん。わかったよ。ここにいるから」

「じゃあ、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」


 私はベッドの上から元気に手を振る落合さんを見送った。



 それから私は再び寝て、お昼ごろにやっと起きた。


「これか……」


 コンロの上には土鍋に入ったおかゆがあった。

 私はそれを火で温め、お椀にすくってテーブルの前に座って食べた。


「うますぎだろ……」


 朝食を食べていないからか、空腹によく染みる味だった。

 卵、しょうが、青ネギ、小さく切られた鶏肉……体に良さそうな材料がいくつか入っていた。

 彼女は本当に料理がうまい。


「食べたら薬飲んでくださいね。市販の薬でも私のお気に入りです。洗顔とか使いたかったら好きに使ってください。歯ブラシも新しいもの洗面台にあります……か」


 そう書かれたメモと薬が一緒にテーブルの上に置いてあった。


 私はおかゆを食べたあと、メモの通りに薬を飲むと、洗面台へ向かった。


「うわ……髪もすごいことになってる……」


 仕事終わりだったからか、お風呂にも入っていない。

 私の髪は爆発していて、そして落合さんのものと思われるパジャマを着ていた。


「とりあえず使わせてもらおうかな」


 メイクは私が寝ている間に落合さんが落としてくれたらしい。

 私は用意されていた歯ブラシや洗顔などで顔まわりだけ綺麗にした。

 


「――――静かだ。落合さんが帰ってくるまで、長いなぁ……」


 淋しいというのはこういうことだろうか。

 私は落合さんがいないとダメな体になっていっているらしい。


 彼女の家にいてもやることがない。

 だから結局眠ることにした。


 ◇ ◇ ◇


「――ぱい……せんぱい……橘先輩」

「う、あ………………おかえりなさい」


 カーテンの外は真っ暗。

 いつの間にかかなり遅い時間まで眠っていたらしい。


 目の前には仕事着の落合さんがいた。


「お熱どうですか?」

「うん……かなり良くなったかも。落合さんのお勧めの薬のおかげかも」

「ふふ。所詮は市販薬ですけどね。でも、効果があったなら良かったです」


 仕事で疲れているだろうに、落合さんは優しい笑みをくれた。

 私だったら、疲れてそんな顔はできないだろう。


「今、夜ご飯用意しますからね」

「え……帰ってきたばっかりなのに……悪いよ」

「大丈夫です。作り置きしておいたので、温めるだけですよ」

「そ、そう……」


 結局、最後まで落合さんにお世話になることになり、夕食を食べてからやっと自分の部屋に戻ることになった。



 そうして静かな自分の部屋に戻ってやっと気づいた。


 ――落合さんは私がベッドに眠っている間、どこで眠っていたんだろう?

 




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