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運命の赤い糸。

作者: 雨水 音

ずっと書きたかった運命の赤い糸の話。奏くんは涼ちゃんが思っている以上に涼ちゃんのことが大大大大大好きです。かわいいね、この二人。

え?作者の運命の赤い糸の話?誰も興味ないでしょう、そんなの(笑) 

 登場人物

夏目(なつめ) (すず)

本好き根暗ド陰キャ。引っ込み思案で気が弱く、人と深くかかわることを恐れている。

冬崎(ふゆざき) (そう)

物静かな読書少年。クラスでは目立つタイプではなく、ひっそりと生きている。


運命の赤い糸。誰しも聞いたことがあるであろう、おとぎ話。運命の人の小指と自分の小指を結んでいるという、赤い糸。奏は、自分の小指に赤い糸があるなら、そのもう片方は涼と結ばれているのだろうと、そう考えていた。これは、そんな二人の、ある日の放課後の話。


 「ねえ、奏くん。運命の赤い糸って知ってる?」

涼がおもむろに奏に話しかけた。

 「ああ……、まあ、有名な話だからね」

奏が相槌を打つと、涼は、奏の予想もしなかった言葉を発した。

 「もし、私と奏くんの小指が、運命の赤い糸で結ばれていなかったら、どうする?」

 息をのむ音が、はっきりと聞こえた。その瞬間、涼は己の発言を後悔した。こんなこと、言わなければよかった。そんなことないと、必ず自分たちは運命で結ばれていると、そう言われて安心したかっただけだった。こんなのわたしのエゴだ。失望させてしまっただろうか。嫌いになっただろうか。いやだ。嫌わないで。ずっと好きでいて。わたしの隣にいて。そんなふうに、考えていると、奏が口を開いた。

 「もし、僕と涼が、運命の赤い糸で結ばれていなかったとしたら。そうだね……まず僕の小指の赤い糸をハサミか何かで切って、そのあと涼の小指と繋がっている誰かの小指の赤い糸をほどいて、僕の指に結ぶよ。そもそも運命って、自分たちで創りあげていくものだと、僕は思っているから」

 奏は優しく微笑んで、涼の頭を撫でた。

 「それに、僕は涼以外の女性と結ばれる気はさらさらないしね」

 いたずらっぽく言った奏は、涼の真っ黒で艶やかな髪を手櫛ですいた。瞬間、涼の顔が真っ赤に染まる。表情変化に乏しかった涼の表情筋は、奏と出会ってからだんだんと動くようになってきている。その変化が、奏にとっては堪らなく嬉しかった。

 「そ……そう、ですか……」

 両手で顔を隠して表情を隠そうとする涼を見て、奏はくすりと笑う。愛おしさで満たされていく。かわいい、と柄にもなく思ってしまう。これが運命じゃなければ、なんだというのだろう。



たとえ僕と涼の小指が、赤い糸で結ばれていなかったとしても、そんなことは関係ない。僕が一生涯をかけて愛していくのは、涼が最初で最後なのだから。


尊死注意報って書いといたほうがよかったかな(ひとりごと)

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