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【超不定期更新】アラフォー女は異世界転生したのでのんびりスローライフしたい!  作者: 猫石
『ルフォート・フォーマ』編

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1-109)圧倒的説明不足の結末

 そこに入った私を絡めとった輪をなす青い光は、あっという間に消えてしまった。


「あれ? 不発?」


 あまりのあっけなさに、何も変わっていないのかときょろきょろ見回し、視界に入った光景に目的地(そこ)についたのだと分かった。


 周囲は音のない瀑布に囲まれたために本当の広さのわからない場所。


 目の前には大きな木の最後になる、天井の方々に広がったつやつやの細い根を集めて丁寧に編んだような綺麗なゆりかごがある。


 時折小さく揺れる()()からは、零れ落ちた黒い髪のひと房が、さらりさらりとゆりかごの揺れに合わせて揺れていた。


 そこにいる人をびっくりさせないように、そぉっとそこに近づいて覗き込むと、想像通り、夢で見たあの女性が小さく胸を上下させて、ただ静かに穏やかに眠っている。 


 この人が……。


「フランさん、だよね。 やっと会えたけど、そっかぁ。」


 彼女を間近に見た私は、ここまで意味もわからないまま色んなことに巻き込まれてきた意味をようやく理解した。


「私のこの姿、この人にそっくりじゃん……」


 色の差異はあれど、髪の質も、顔立ちも、きっと声も。私の希望を聞きながらも神様は彼女の面影を織り交ぜて、私のこの姿を作ったんだろう。


 神様の大切な人に似せて作られたっていうのは光栄かもしれないけど、なんかモヤッとして心中穏やかじゃないし、アル君や、マリアリアさん、それからあの夢を私以外に見ていると思われるラージュ陛下だって、そりゃ私がなんかに関わってくるよぉ! って、すぐに気付くよね、要注意人物って目を付けられるはずだよね。


「神様ってば、ものすごい迂闊なことしてるなぁ……。」


 もう、しみじみと、散々いろんなことに巻き込まれた理由は理解した。


 理解はしたけど、納得はしてないから後でしっかり苦情申し立てるけどねっ! と決心して、よし、と、とりあえず私はあたりを見回した。


「えーっと、それでここからどうするんだっけ?」


 ここで待っている、と言われて辿り着いたけど、その後は…?


 私にできる役割って言ってたけど、私の役割ってどこにあるんだ?


 あれ? 私そういえば「待ってる」と言われたから来てみたけど……クエスト受注内容はなに?


「え? 私、そんな大切なこと忘れた?」


 と、神様に会ったところからここまでの道のりを、怖いところと辛いところをモザイク処理しながら思い返してみる。


 ……が、心当たりにたどり着かない。


「もしかして私、どうすればいいかすら聞かされてないのではっ!」


 うわぁぁ、私の粗忽者っ!


 っていうか、みんなホウレンソウ忘れすぎ!


 いや、その前に本当に! 神様の! 馬鹿っ!


 ラージュ陛下も、もう少しいろいろ最初の頃に詳しく教えてくれてもいいじゃんよ!  私の周りの人、みんな全体的に説明しなさすぎだよ! と、プチパニックになっていると、急に左手の中に熱さを強く感じた。


「あっついっ!」


 吃驚して見て見ると、手に握っていた(忘れていた)白い石が熱を帯び、先ほどよりも強く光っている。


「……これ……なんで?」


『『お疲れ様、フィラン。』』


 誰かに突然頭をポンポンとされ、ふたたび吃驚して飛び跳ねるように顔を上げると、目の前にいたのは虹色の髪で、いつもよりやっぱり大人の姿のヴィゾヴニルで、その傍には別れ時と同じくとても大人な姿の黄金のアルムヘイムもいた。


『ありがとう。 フィランのお仕事はここでおしまいよ。』


 彼女と私を見守るように浮いているアルムヘイムが、優しくそう言ってくれる。


「私のお仕事? おしまい?」


『そう。 フィランの仕事は、ね。』


 そっとヴィゾヴニルが私の頬にキスしてくれて、左手の中の白い石を摘まみ上げる。


『その命の欠片を持って、心を閉ざしてしまったフランの元へ私たちを導き、その命の欠片を彼女に返すお手伝いをすること。』


「これを? どうやって?」


「彼女の体の上に、置いてあげるだけでいいの?」


 ちらっと彼女を見る。


「どこでもいいの?」


 私の手に返された白い石。 にこっと笑ったアルムヘイムとヴィゾヴニルは頷いた。


 え? でもそれって、おでことかおへそだとおかしくない?


 こういう場合は空気を読んでやっぱり心臓の上とかがいいのかな?


 首を捻りながらも、手の中にあるその石を、穏やかに眠るフランさんの胸元に慎重に置くと、()()()()と音がして乳白色の石はそのまま彼女の体の中に吸い込まれていった。


「……?」


 しばらく見ていても何にも起きなくて、2精霊の顔を見ると、本当に心から満足そうに微笑んでいる。


「ねぇ、これで本当にフランさん、起きるの?」


『えぇ、もう大丈夫よ。 さぁフィラン、あとはわたしとヴィゾヴニルが任されるから、早くここから出なさいな。 本当にありがとう、フィラン。』


 そっと、反対の手から青い石の指輪を取り上げたアルムヘイムが額に一つ、キスしてくれる。


『大変だったろうに、フランのために本当にありがとう、フィラン。』


 ヴィゾヴニルも、額にキスを一つ。


『『お迎えが来ているよ。』』


「え? ええ? まってまって、え? なに? ちょっと意味わかんないんだけど、私の仕事って?」


 あまりの展開の早さについていけない私に、アルムヘイムとヴィゾヴニルは顔を見合わせ笑い合うと、そのまま両側からぎゅうぎゅうと抱きしめてくれた。


『私たちの可愛いフィラン。 貴方を心から大切にして、その身を愛してくれている()()()()()()が、もう、すぐそこまで貴方を迎えに来てくれているわ。 気を付けて地上に帰ったら、今度こそ穏やかに暮らすの。 私たちはフィランの幸せを心から祈っているわ。』


『そうはいっても、私たちとの契約は永遠に途切れることはない。 だから、いつでも呼んでくれてかまわない。 次に会うときは()()()()僕たちだからどうか安心して呼んでほしい。』


そんな風に、とても優しく話をしてくれているけれど。違うって、そうじゃないって。


「ちょっと待って、説明! 説明して! こっちに来てからというもの、誰からも本当にいつもちゃんとした説明がなくて、わけわからないまま色々巻き込まれてすごく困ってるんだけど!?」


 私から離れた二人に説明を求めて手を伸ばした時、急に、体が浮かび上がる気がした。


『にゃぁおう!』


「コタロウ!」


『『コタロウ、その子をよろしくね。』』


 いつの間にかコタロウにしっかりと咥えられてじたばたしてた私。


「アルムヘイム! ヴィゾヴニル!」


『『また、上で。私達の可愛いフィラン。』』


「いや、ちょっと、そうじゃなくって、だから説明をしろと……うわぁぁぁぁぁ!!!!」


 言い終わる前に私はコタロウに咥えられたまま、大きな木の幹に沿って急上昇した。


 始まりはスカイダイビングで、終わりはジェットコースターですかー!?


 始まり急落下、終わり急上昇って、バンジージャンプか―い!


 すさまじいスピードで景色が流れ、木の根っこから一気に上昇していく速度にもパニックを続行させながらズボッ! と葉っぱのトンネルを潜り抜けた私の視界いっぱいに広がったのは……。







 薄い膜に囲まれたような、淀んだ世界の真ん中にある枯れた巨木が、今まさに、雷が落ちたように真っ白な光を放ち、枯れた外皮をばらばらと脱ぎ捨てながら、大きく、広く、どんどんと枝を、若葉を広げていく姿だった。


 神の木の脱皮? は、その放出するエネルギー量のせいなのか、そこを中心に、まるで湖に石を投げ込んだかのように大きな波紋を世界へ広げる。


 空気を震わせ


 風を起こし


 熱を吐き出し


 水を孕み


 汚れた大陸を清浄化させながら、どんどん外へと広がって広がって。


 やがて。


 大陸の中央を『魔界』と称す謂れとなったあの大きな瘴気の壁にわずかに触れた時……。


 薄いガラスが割れた音とともに、凝っていた瘴気を浄化し、閉鎖され、()()()()()その国が消え去り、新緑まぶしい光が輝く自然に生まれ変わった姿だった。








「……凄い……って、うわわっ!」


 その光景の変化を呆然と見ていたわたしは、突然コタロウが首を振って口を開いたため、くるんっと一回転してコタロウの背中に放り乗せられると、尻尾でぱしぱしと背中を叩かれた。


「飼い主は私なのに……うぅ、いま鞍に乗れと言うのね……。」


 コタロウの背中には、アル君の騎乗竜・ミレハに乗せてもらってから、あんまりの快適さに兄さまにお願いして新調したのに一度も使わなかった鞍が何故かつけられている。


 ので、この世界に来た日に翼ケンタウロスのブレイブ・ボルハンさんに乗せていただいた時みたいに体勢やバランスに気を付けながら、慎重に手を足と使ってなんとかその鞍に座りなおした。


 手綱を掴み、ぴんと背を伸ばして見下ろした世界。


「わぁお……これは絶景っ!」


 眼下に広がるのは地球とは違う、血や息遣いを感じない建築物など一切ない、自然溢れた美しい世界。


 ルフォート・フォーマと魔界との境界にあたる国境付近は以前、魔界側はタールの様な瘴気の壁、ルフォート・フォーマ側は魔法をかけられた高い城壁で隔たれていたらしいが、今はその城壁と柔らかな光のカーテンのようなもので覆われている。


「世界が生まれ変わった、って、こういうことを言うんだろうなぁ。」


 まぁ、生まれ変わる前の世界をこうして見たことはないけれど、不思議な感動に胸がいっぱいになったまま世界を見下ろしている時だった。


『すまんかったな、フィラン。』


「うをぉいっ! びっくりしたぁ!」


『随分と色気のない驚き方だなぁ。』


 コタロウと空の旅をしていたのに突然声を掛けられて飛び上がった私に、横にいたラージュ陛下……の姿をした、声だけは神様が立っていた。


「こんな上空で突然声かけられたら、そりゃ吃驚するでしょ!? 色気も何もないでしょ!」


『まぁそれもそうか。 すまんかったな。』


「はんっ! すまないで済むなら神様いらないんですよっ! いや、神様は神様ですけどねっ!」


 呑気に答える神様にちょっとイラッとした為、手綱をもっていた右手だけを離し、ブンブンと振り回しながら猛抗議する。


「そもそも! 全てにおいて最初から圧倒的に説明不足なんですよっ! 圧倒的ホウレンソウ不足っ! スリルとサスペンス不要って言ったじゃないですか!」


『……それに関しては本当に悪かった。 しかしフィランよ、最初にあの場所で会った時に、今回の事を説明していたらお前、絶対に全部ノーサンキューですって叫んで逃げていたか、もしくは転生自体を断っていたであろう?』


「はい!」


『即答か。』


 そんなもん当たり前じゃい! と鼻息も荒く返答した私に、神様はやれやれと肩をすくめながら面白そうに私を見ている。


『この世界を創造した神に向かってその様な不遜な態度を取って許されるのは、フィラン(おまえ)と、ラージュ(こいつ)と、フラン(あの娘)だけだぞ?。 ……まぁしかし、これでこの世界に作ってしまった淀みを正す事が出来た。 お前には心から礼を言う。 ありがとう。』


 静かに微笑み、軽くではあるが頭を下げた神様。


 わぁぁ!


 神様が一般人に頭下げましたよっ!


 神様がっ!


 あぁ、でも、私みたいな一人間に対して、神様がそこまでするって事は……つまり。


「神様は本当に、フランさんの事が大好きなんですねぇ。」


 するっと、私の口から出てしまった。


 あ、しまった、神様の色恋に口出しちゃったよ、とあわてて口を押さえると、神様はきょとんとした顔をして、それからふんわりと少しだけ微笑むと、眼下でしっかりと大きく枝葉を広げ、本来の姿を取り戻した神の木に視線を向けた。


『……そうだな、最初はわからなかったが、長い時間の、ここまでの道のりの中でそれは理解し、認めることができたな。』


 あ、認めちゃったよ、神様。


 っていうか今の今まで、ず~っとずっと無自覚のまま、フランさんを助けようとしてたのか。


 う~ん、ヒトと神様の恋かぁ……ラノベみたいだよね、巻き込んだものが大きすぎて、若干神様それでいいんですかね? と思ってるけどね。


「そうですか。 で、私は見届けることは出来ませんでしたけど、フランさんはちゃんと目が覚めましたか?」


 そう聞けば、神様は少しだけ、困った顔をした。


『……これまで寝ていた時間が長すぎて、あれが目が覚めるにはまだもう少し時間がかかるだろう。 だがあれを悪用されることはもう無くなったからな……気が済むまで寝かせておくさ。 なに、さほど長くはかからんだろうし、ここまで待ったのだ、あれの心の傷が癒えて起きる気になるまで気長に待つことにするさ。 ……神の木を見るがいい。』


 あそこだ、と、杖で指し示された先。


 神様の木に、何かまん丸い葉っぱの塊がくっついていた。


「……ヤドリギ?」


『神の木は私自身の力の象徴……。 兄の管理する世界から、星を伝ってヤドリギとしてやってきたあの子は、まだ命が存在しなかった世界で私に寄り添い続けてくれた。 私がいつか一人になっても寂しくないように、と。 それが嫌で私の欠片をやったのだが……な。 それも取り戻した今、昔の約束通り、これからもあれと共にこの世界のために在ろうと思っている。』


 すこし穏やかな眼差しといい話っぽくしたけれど、ここまでホウレンソウのどれもをちゃんとされたことがなく、なのにさんざん振り回されっぱなしだった私はちょっとだけモヤッとしたわけですよ。


 えぇ、ちょっとだけですけどね!


 だ・か・ら。


「……へ~、そうなんですねぇ……。 あ、ところで神様、知ってますか? 地球の、しかも私の生まれた土地では、ヤドリギは本体の木を枯らすって、ものっそ嫌われてるんですよねぇ。」


 ニヤッと笑ってそういうと、とたんに渋い顔をした神様。


 に、畳みかけるようにその謂れを説明する。


「なんでも、わる~い菌類が木全体にまわって、本体は腐っちゃうんですって。 いやぁ、怖いですねぇ~。」


 正直、とっても意地悪を言ってるのはわかってる。


 けれど、今まで振り回された分の意趣返しはしても許されるだろうとニヤニヤしながら私が神様を見ると、意図が分かったのであろう、神様は額を押さえ唸った。


『実はお前、意地の悪い奴だったんだな。』


「は? 私のせいですか? お言葉ですが、状況が何もわからないまま、貴方達にどれだけ振り回されたと思ってるんですか。 ぶっちゃけざまぁみろですよ。」


 確かにそうだが、と、少しだけ考えて……額から手を離しながら溜息をついた神様。


『手を出してみろ。』


「ほい。」


 これ以上は何もないだろうからとおとなしく手を差し出しだすと、神様は白い実を一つ付けたヤドリギの一枝を私の掌に乗せた。


「ヤドリギの枝?」


『そうだ。』


 間近に見ようと反対の手をのばすと、触れる前にその姿は溶け落ち、小さな光の粒になって私の胸にいまだにちゃんとついていた後ろ盾ブローチの、水晶のチャームの中に入っていった。


『さんざん振り回した詫びだ。 それがあれば魔界――これからは楽園と呼ばれるであろうあの中央の神の木の地にいつでも入ることができる。 ヤドリギはその他の世界では愛の象徴ともいうらしいが、この世界でもそうあることを()()()努めよう。 巻き込んで悪かったな。 これからは、お前が思うスローライフとやらをするがいい。』


 なんと! と、いうことは!?


「え!? 無罪放免ですか!? やったぁっ!」


 ばんざーい! とコタロウの上で両手を上げた私に、やっぱり呆れた顔をした神様は、あぁそうだった、と私に言った。


『最後に一つ、頼まれてくれんか?』


「え? またですか? これ以上の面倒ごとは嫌ですよ? 例えば世界を救うとか、悪人退治するとか、世直し旅に出るとか。」


 頭の中に色んな時代劇の効果音や音楽が流れ出して、断固拒否の姿勢で即答した私に、深く深くため息をついた神様。


『そんなことは言わんが……これを預かってくれんか。』


 私達の頭上に影が落ちてきたかと思うと、何かが大きな羽音を立てて上からゆっくり降りてくる。


 なに? と思って顔を上げてみると、そこにいたのは。


「ミレハ!」


 アル君が乗っていた小型竜の姿があった。


『この子こそが、精霊とも魔人とも違う、失われた国の血の末裔。 魔女の土塊人形(あれ)に本当の姿を奪われてしまった哀れな子だ……。 その呪いが解けるまで、お前のそばに置いてくれるだけで良い。 頼まれてくれないか?』


 おいおい、またなんかさらっと大事を押し付けられそうだぞ、わたし。


「なんですか? それ。 後始末を私にやれと? 嫌ですよそんなビンボ……。」


『きゅうぅぅ~~~。』


 お断りするつもりでミレハをみると、それを察したのだろうか、小さく口を開けてか細く鳴いた。


 なんやかんやと奪われ、騙されていたとはいえ、今まで可愛がってくれていた飼い主を失って心細いのだろう。


 つぶらな瞳が私を見ています。


 何ならプルプル震えて……やめろ、前世の金融機関のコマーシャル思い出しちゃうじゃん!


 あぁ、可愛い、可愛いすがるような青いお目目……そんな目で見ないでよぅ!


 あぁ! もう! 完敗っ!


「あぁっ! もうっ! しょうがないですね! いいですよっ! でもコタロウだけでもデカいのは手一杯なので、超小型竜にしてくれませんか? それが条件です!」


 うちの店は狭いんだからね!


『まぁ街で暮らすにはその方がいいだろう。』


 ぽんっと、神様が杖の先でミレハの頭に触れると、するするとあっという間に小さくなったミレハは嬉しそうにひとつ鳴いて、そのまま私の方に勢いよく滑空してきた。


「ごふっ!」


 そのまま、まさに鳩尾あたりに激突。


 私の口と鼻から変な声と汁がもれた。


『だ……大丈夫か?』


「だ……大丈夫に見えたらそんな悠長な声、掛けませんよね……?」


 つらっ!


 慌てて何かの魔法をかけてくれて痛みと辛さを取ってくれた神様を睨みながら、ぐりぐりと頭を押し付けてくるミレハを見た。


 銀色の鱗に、青い瞳。


 それにしても。


 魔女の土塊人形って、きっと、アル君の事だろう。


 彼は、どうなってしまったのかな……。


 いや、ものすごく腹は立っている、立っているけれど……彼だって、周りに勝手に振り回されてあぁなったんだ。


 私と、一緒じゃない?


 いやいや、そもそも根本が違うからね! と、考えないように頭を振って、まだ私にぐりぐりと頭を押し付けてくるミレハを抱き上げる。


 両腕で抱えるのにちょうどいい大きさ……と言うか、前世のコタロウくらいの大きさになったミレハ。


「これからよろしくね、ミレハ?」


『ぎゃう!』


 うーん、可愛い。


 前世でいろんな本を読んだけど、ドラゴン飼うの夢だったから実はちょっと嬉しいな。


 そ・れ・に……。


「……これで特級万能薬の素材採集し放題……。」


『ぎゃうっ! ぎゃうぅ~!』


 ニヤッと笑った私に、ミレハは潰れたような声を上げて哀れみを買うように私を見、ラージュ陛下姿の神様は、うわぁぁぁ……みたいな顔をした。


『お主、本人相手になかなかえげつないこと言うな……。 頼むから生身の鱗や羽をむしってやるなよ。』


 何それ、私が悪徳業者みたいじゃん。


「いくら私でも、さすがにそんなことはしないですよ! 私的にはミレハの脱皮した殻でいいんです! 竜の鱗1gで特級ポーションが10本はつくれるんで! それに。」


 と、うんと力を込めて神様を睨みつける


「世界を巻き込んだ愛憎渦巻く壮絶な痴話喧嘩に巻き込む人よりは、断然に優しいですよっ!」


 ふん! と鼻息も荒く言い返すと、むぐっと黙り込んだ神様。


『ぐっ……うっ……。 しつこいな、それはすまなかったとさっきから言っているだろう。』


 粘着質上等なんですよ!


 わたし、餅をつきすぎたような性格なんです。


「私がこの世界で生きている限り、ずっと言い続けますから、ずっと反省してくださいね。」


 そう! 私は()()()()()()()()()()()()()()()()タイプのジャパニーズ、だからね!


 しかし、子々孫々、末代まで恨むって言ってるけど、子孫できちゃってるから呪ってるのか分からないな。


 まぁ、一代限り思いっきりぃ! って一気に行くよりは真綿で首絞めてる感じでジャパニーズホラーらしいか。


 なんて考えながら、なぜか口論? し始めたコタロウとミレハを見ていた私はえへっと笑った。


「神様、今度こそ、しっかりぬるま湯環境の極上甘々スローライフ、お願いしますよっ!」


『……分かっておる。 この世界の民に、それが叶うように神として努力し、皆に尽くすと約束しよう。 さて、そろそろ時間だな。 また相見えるときがないように祈っておるよ。』


「それは私のセリフです。 フランさんとお幸せに!  あと、絶対約束守ってくださいね!」


『……善処しよう。』


「何ですか、その間。 本当に頼みますよ?」


『善処すると言っている。』


「はい、約束!」


 小指を差し出した私に、神様はこうか? と真似してくれたので重いっきり指切りげんまんを歌いました。


 ジャパニーズの執念深さを思い知れ!






 そうして、私と神様は指切りを終えると、お互いが生きる場所へと戻ったのでした。

いつもお読みいただきありがとうございます m(_ _"m)

誤字脱字・誤変換・誤用報告、感想もありがとうございます。


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めちゃくちゃやる気でます( *˙ω˙*)و


少々体調を崩しておりますので、反応が遅く成りますがご容赦ください。

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