月の女神は家出中。

　――私はただ、人間になりたかった。強過ぎる力なんて、欲しくなかった。

　或る時、一人の少女が家出した。
その日十歳になった少女は、念願の冒険者として人生を歩み始めた。

　或る日、途轍もなく強い冒険者が現れた。
並み外れた強さを持つその少女は、ルミナと名乗った。

　或る所に、月の女神と呼ばれる者がいた。
月の色をその身に宿す美しき少女は、その強さ故に周囲から恐れられ、いつも孤独だった。

　最強の力と美貌を生まれつき兼ね備えている、心優しき少女。
　ドラゴンですら一撃で屠る最強の少女にも、一つだけ――恐れていることがある。

　或る遠い世界の片隅に、前例のない混血が生まれた。
心に大きな傷を負った少女は、自らが生きる為に、憧れを追い求めて家出した。

　冒険者として、
　沢山の人と出逢い、別れを経験した。
　数多くの命を救い、数多くの命を奪った。

　何度も笑って、泣いて、怒って、傷ついて、苦しみながら成長してゆく。

　これは、ひとりの少女が冒険者になって、愛を知ったり、仲間を手に入れたりする、世界を巻き込んだ壮大な家出のお話。

　かもしれない。




※18時～20時に投稿します！
※このお話は、カクヨムでも同名義で公開しています。