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一蓮托生

 キャロルとジョゼフが今後の見通しについて語り合っていると、いつの間にか来たのかエクストラが腕を組んで仁王立ちしていた。

「仲が良くてよろしいわね」

 嫣然と微笑みながらそう言うとそばに控えていた執事が一礼して、椅子を持ってくる。

「でも、お見合いは今日はおしまいにしてもらえて? これからキャロルにお話があるの」

 そちらからねじ込んだお見合いを中止にしろとは相も変わらず傲慢なお嬢様だが、それがデフォルトの状態だと二人ともわかっていたのでおとなしく言うことを聞くことにした。

「大体の話し合いは済んだの?」

「まあ」

 キャロルがどうしようかとジョゼフを見た。

「お見合いは中断したが、お話し合いは俺も聞いていていいのですかね、お嬢様」

「そうね、キャロルに残念なお話があるの」

 キャロルは思わず唾液を飲み込んだ。こんな風に持って回った物言いはろくなことじゃない気がしたのだ。

「アメリアが襲撃されたわ」

 きわめて淡々とした口調で不穏なことを断言してくださった。

「アメリアが?」

 アメリアがなぜ襲撃されたのか、心当たりはやはりあれか?

 口に出すのも忌まわしいどこぞの妃殿下のことを思い出しつつキャロルはエクストラの次の言葉を待った。

「アメリアは、結婚を控えた娘として、適当な宗教施設に献金をしに行ったわけ、そこでお祈りをしていたら矢を射かけられたそうよ」

 これは完全に殺しに行っているとキャロルは血の気が引いた。

「その矢だけど、毒矢だったわ」

「それで、アメリアは無事だったんですか」

「無事よ、矢は誰にも当たらなかったの」

 キャロルは大きく息を吐いた。どこの誰か知らないが、へたくそで本当に良かった。

「それで、こころあたりはある?」

 その問いかけに答えられることは一つしかなかった。

「あるといえばあります」

 あの日、アメリアと二人で遊びに行った野外コンサート、そこであの少年に絡まれたのだ。

「あの、王太子様のご子息の」

 キャロルはぼそぼそとあの日の出来事を話した。

 エクストラの眉が大きく跳ね上がる。

「なんですって?」

 思わずキャロルは椅子ごと後ろに飛びのいた。

「でも、私にも何が何だか」

「まあいいわ、アメリアの家には今も監視がつけれらているから」

 そうエクストラが言うところをみると、知りえた情報をユーフェミアと共有しに行くのかもしれない。

「アメリアは大丈夫でしょうか」

「これを見る限りでは大丈夫のようね」

 エクストラが取り出したのはアメリアがかかわった調書だった。

 あちらも大口献金先には融通を利かせるらしい。

「アメリアのところに明日あたり行ってみます」

 しょっちゅう入り浸っているのですでに勝手知ったる他人の家になりつつある。

「貴女も狙われるかもしれないのよ」

「今更です」

 すでにかもしれないという時期は過ぎている。狙われているに決まっているのだ。

 だとすれば毒を食らえば皿までの心でキャロルは行動することにした。


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