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理解力への挑戦

 アメリアは目の前のブリジットを観察した。

 頬が少し赤くはれている。化粧で隠しているが明らかに殴られた跡だ。

 またワンダとやらかしたらしい。

 唇を尖らせて不貞腐れた顔をしている。

「どうして、あんな真似をしたの?」

「あのさ、そっちこそどうして私が変なことしたみたいな態度をとるわけ、私のしたことは当然のことでしょう、ヒロインなんだから、攻略対象をゲットして玉の輿に乗ってなんぼじゃない」

 ブリジットがかみついてきたのをアメリアは受け流した。

「だって、攻略対象ってろくな男がいないじゃない。玉の輿を差っ引いても実際の結婚相手としてどうかしらってもんよ」

 ブリジットは眼をむいた。

「攻略対象はハイリスクハイリターンだってわかっているでしょう」

 アメリアは噛んで含めるように説明した。

「例えば、王子様たちはうかつに近寄れば国家反逆罪とかで処刑もあり得るパターンだし」

 実際バッドエンドでそのケース自体はあった。

 その場合、一族郎党処罰。アメリアとその家族は死刑、そして親戚一同は国外追放。命があるからいいってもんじゃない。何のつてもなく外国に行ったとしても暮らしていけるものじゃない、最終的には野垂れ死にというのがお約束だ。

 それを考えて王子様たちは最初に省いたのだ。

 そのあたりを考えているのかどうかだ。

 いわれてブリジットは不思議そうな顔をした。

「死んだって、生まれ変わればいいでしょう?」

 うわあとアメリアは頭を抱えた。

 一度生まれ変われたのだからもう一度生まれ変われると思っているんだろうか。

 死んでみなければそんなことわかるはずもないのに。

「さっきも言ったようにここに呼んだのは忠告するためと、この場合情報を共有しておいたほうがいいと思われるから伝えるためよ」

 アメリアは極力事務的な口調で相手を見た。

 ブリジットは基本的に体力ゲージが大きく知力ゲージは低かった。それが今どういう影響があるのかはわからないが。

「まず、ほかの悪役令嬢はわからないけれど、たぶん、まあ半分以上確定にしているけど、ゾディークは私たちと同じだと思うわ」

「会ったの?」

「庭園を歩く姿をちらっと見ただけよ」

「それでなんでわかるの?」

 ブリジットは不審そうだ。

「実は、私は攻略対象に王子様を選ばなかったんだけど、なぜか王子さまは私に迫られているって思いこんでいたの、それで状況整理したら、ゾディークが王子様を私たちにけしかけていたってわかったわけ、その内訳は話すと長くなるから省略するわ」

「ええ、そこ話してくれないと意味わかんない」

 だが、詳しく説明する自信がアメリアにはなかった。状況は混沌としているし、相手の理解力もおぼつかない。それにアメリア自身も状況を完全に理解しているとは思っていなかった。

「王子様間の権力闘争よ、まあ一言で説明するとだけど。ゾディークは自分の王子様を勝たせるために、ヒロインを近づけようとしたわけ」

 そう説明してもブリジットは頭にクエスチョンマークを浮かべてきょとんとしている。

「とにかく気を付けて、しばらくおとなしくしていてほしいの、命に係わるかもしれないんだから」

 いっても無駄かなと思いつつアメリアはそう締めくくった。

 できれば理解してもらいたいのだけれど。


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