表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/98

攻略対象と悪役令嬢

 薔薇の言の葉、それはアメリアがかつてはまっていた乙女ゲーム。

 アメリア、ブリジット、キャロル、デレインの四人のうち一人のアバターを選び、伯爵家子息二人、第二王子、第三王子、そして王太子といった攻略キャラを落とす。

 そして、その攻略対象に張り付いた悪役令嬢、むろん攻略対象ごとに違うそれと戦うバトルゲームでもあった。

 記憶では茶髪に青い目のアメリアが汎用型、赤毛に緑の目のブリジットが運動神経に優れ、黒髪黒目のキャロルが知性派だった。そして最後のデレイン。明らかにほかの三人とキャラの成り立ちから違う。

 煽情的なドレスからはみ出す乳肉、キュウキュウに絞った腰から張り出す臀部。金髪ロングヘアにけだるげな青いたれ目、ぽってり下唇。色気特化型、しかし知能も運動能力もほかのキャラから一段落ちる。

 何を考えてキャラデザインをしたんだろうとやがてアメリアとなる少女は悩んだ。

 そしてアメリアは悪役令嬢の面々を思い出してみた。

 まず、伯爵子息エドワードの悪役令嬢は妹のビビアン、心を病んだとしか言いようのないブラコンで、兄に近づく女を排除するために努力を惜しまない頑張り屋さんだ。

 そのため嫁の来てが全くなく、入れ食いのもっとも簡単な攻略対象だ。しかし、嫁に行けば確実にビビアンに張り付かれる。

 あのビビアンのホラーゲームのスチルじゃないのかと突っ込みたくなったあれを思い出せば、今エドワードと恋仲になってないし、あきらめたほうがいいよねって気分になる。

 あれは嫁に出しても夫を毒殺してでも戻ってくる。

 確信をもって断言できた。

 もう一人の伯爵令息フレッド。もう一人の悪役令嬢ワンダ。あちらも伯爵家の令嬢で家の事業に関していろいろ言ってくるという設定だった、つまり貧乏男爵家の娘は黙って身を引けと、こちらも考え物だ、何せ家の利権となるとかかわる人間はいろいろだし、相応のお金が絡むと、あの女さえいなければと短絡する馬鹿が出る可能性がある。

 それを考えればフレッドも見送るのがいいのかもしれない。

 そして王子様三人、論外。

 第二王子と第三王子の婚約者は公爵令嬢だ。

 ただでさえ貴族社会など、目下の人間は目上の人間に足をなめろと言われたらはい喜んでと笑顔でこたえなければならない縦社会。

 そんな中男爵令嬢が公爵令嬢を敵に回すとかない。

 アメリア一人ではすまない。両親とまだ幼い弟の命さえ危なくするかもしれない。

 冷静に考えれば、そんな危険は冒せないと思われる。

 そして王太子だが、すでに結婚している。元王太子妃を離婚に追い込むってはっきり言って危ない。いや危ないどころか、確実に消される、家族どころか使用人まで。

 アメリアは考えた、もうすぐデビュタントだ、ゲーム開始までは時間がない、ここはきっちりと決めなければならない。

 そしてアメリアは決めた。

 攻略対象の後ろにいるモブの人達、たぶん男爵家か子爵家の人達よね。

 そう、王子すら惑わしたアメリアの美貌をもってすれば、男爵令息の一人や二人たぶらかして見せましょう。

 アメリアの攻略対象、名前すら付けられなかったモブ、決定。

 上は見ない、下に落ちないことだけを考えて、アメリアは自分と同じ男爵家に狙いを定めることに決めた。

 ひたすら安全パイ。これはゲームじゃない、リセットも効かない。ひたすら地道に生きていきましょう。

 アメリアの誓いは石より硬かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ