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悪役令嬢が現れた。悪役令嬢は仲間を呼んだ

 悪役令嬢ユーフェミア、第三王子の婚約者。ストレートの銀髪に緑の目、楚々とした外見だが出るところは出、引っ込むところは引っ込んでいる美女。しかし、その体型を隠すかのようにどこかたっぷりとした衣装を身にまとっているが、体勢を変えたり風に当たると、衣装が体に張り付いてその見事なプロポーションがあらわになる。どういうユーザーを想定してのサービスなんだろう。

 楚々としたその外見とは裏腹に、ヒロインにとんでもない毒舌を吐いてくれる。

 そして画面上ではヒロインに悪口雑言を食らわせている際に某漫画のスタンドのように水着鎧を着こんだ影が現れ、ヒロインの影からは魔女っ娘スタイルのスタンドのようなものが現れる。

 そして、バトルスタート。舌戦はアクションゲームと化す。

 悪役令嬢の必殺技は親の権力。

 はっきり言ってこれを繰り出されればヒロインのライフはどんどん削られる。

 そしてヒロインの必殺技は、どうせ親の決めたこと。これで相手のライフを削る。

 そしてこのユーフェミアは質の悪いことに第二王子の婚約者、エクストラとタッグを組んで攻撃してくるのだ。

 初歩の攻略対象、エドワードとフレッドの二人の場合その張り付いた悪役令嬢は、自分の縄張りに入らなければヒロインをスルーしてくれるが、王子様兄弟の悪役令嬢はそれぞれの王子様に手を出されたほうが主体になり、もう片方が補助に回る。

 はっきり言ってそのコンビネーションは見事だとしか言えない。

 いやな予感は当たるものだ。

 呼び出された先には、ユーフェミアとエクストラが二人でたたずんでいた。

 エクストラはユーフェミアと違いクルクル縦ロールの絢爛豪華な女性だ。

 吊り上がった目にくっきり塗られたアイシャドウ、ややぽってりとした唇を赤く染め着ている衣装もどこか挑発的だ。

 胸元はぎりぎりまできわどくカットされているし、腰にぴったり張り付いたタイトなスカートはスリットが入っている。

 それでも品位を失わず楚々とした所作だけは見事だ。

「二人とも覚えがあるわね」

 言われてもアメリアには何を言われているかさっぱりわからない。

 今のところ第三王子も第二王子も顔すら拝んだことはない。

 アメリアはちらちらと隣にいるキャロルの様子をうかがう。

 キャロルは果たして自分と同じように生まれる前の記憶のある人なのだろうか。

 キャロルの顔には何も表情らしきものは浮かんでいない。無感動に二人の公爵令嬢を見つめている。

 挙動不審なアメリアに悪役令嬢の顔も強張る。

「貴女は覚えがあるようね」

 ぶんぶんと顔を横に振る。

「何をもって呼び出されたか全くわからないと?」

 こくこくと首を前に振った。

「では、貴女がわたくしの婚約者、ジョージと不貞を働いた事実はないと?」

 アメリアはもう一度こくこくと首を前に振る。

 そんなことはしていない、絶対そんな事実はなかったのだ、これは声を大にして言いたい。

 ようやく極度の緊張から強張っていた声帯が動き始めた。

「私は何故そのような事実無根の疑いを受けたのかそれがわからず狼狽えていただけですわ、私ジョージ様と顔を合わせたこともありませんわ」

 そこまで一息に行って大きく深呼吸をした。狼狽えた時は深呼吸。誰に教えてもらったのか忘れたけれどたぶんこれが有効。

「私は何を疑われているんですの?」

 不意にキャロルが口を開いた。

「まさか私が王子様と不貞を?そんなはずありませんわ、私、昼間はたまに王宮で過ごしておりますが、夜にはちゃんと家に帰っておりますのよ。昼間王子様方が私と過ごす暇がありますかしら」

 落ち着いて話せばわかるかどうかだ。相手は相当頭に血が上っている。

「私、婚約者がおりますの、たとえ王子様だとしても浮気なんかしませんわ」

 言ってしまった、これでスティーブンが認めればアメリアの縁談はまとまってしまう。しかしこんな疑いをかけられるような状況ではさっさと田舎に引っ込んだほうがいいだろう。


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