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恋愛雑談  作者: まよ
2/2

初体験は酒の味



深夜、10時頃だろうかドアを開け玄関で倒れこむ音が聞こえる。

「おかえり、ねーちゃん」

そこには酒臭い姉の姿が。飲み会でさんざん酒を飲まされてこうなったのだろう。

「ねー、おとーと君起こしてよ~」

両手を天に伸ばしへらへらとアピール。嫌々ながら姉を背負い、リビングのソファに寝かせる。

今日は両親が結婚記念日で家におらず、姉と二人きりの弟。間違いなんて起こるはずない。

だが、心のどこかで今夜だけの間違い、とか起きないか期待している自分もいた。ちらりと姉を見つめる。

黒色のさらさらとした長髪、整った顔、綺麗な胸、細い体、タイトなスカートから伸びる健康的な足。

思わず唾を呑む。これからもしかすると・・・、脳内に自分の願望が過る。姉が間違いを望むこと、初めてを奪ってくれること。

「今日は二人きりだね~」

姉のその発言が弟の性欲を煽る。普段の姉は優しく、性に関しては一切の関心を示さない堅い人間。

その姉が色気を帯びて、その気があるような発言をしてくる。だが、姉にその気が無ければ自分はただの強姦野郎だ。

そう思い込ませ、心を落ち着かせた。

「・・・さっさと風呂入って寝ろよ」

「は~い」

覚束ない足で廊下に出る。其の隙に空いたソファに座ってスマホをいじりだす。




「はい、ど~ん」

「うわっ!なにすんだよ!」

スマホに夢中になっていて姉が目の前に来ているのに気づかなかった。大股で座っていた弟に無遠慮に座る。酒臭い。

スーツ姿のままなので風呂に入らずトイレに行ったんだろう。

「い~じゃん。こんくらいさ」

体を弟に預け、体重を押し付ける。酒臭い中で女の匂いがした。香水とかではなく、家の匂いと女の汗が混じった匂いだろう。

それが鼻孔を擽り、抑えている性欲の枷が外れそうになる。

「こーすると足の血行良くなるらしーよ~」

弟の手を取り、姉の内太股を撫でさせる。姉弟だとかセクハラというプレッシャーを物理的な刺激が吹き飛ばす。

自分の筋肉質な太股とは違い、ましゅまろみたくふわふわとした柔らかい感触。女性の太股なんて触ったことのない弟は思わず夢中になり

自分の欲求を満たしていく。だが、満たされない。姉の息遣いが欲情させる。

触られているのが気持ちいいのだろうか、もっと声を聴きたい。弟は色んなリズムで太股を撫でまわす。

「今日、お持ち帰りされそうだったんだ~」

ぴたりと手がとまる。

「・・・だから?」

「お酒い~っぱい飲まされちゃってさ~。それで家近いからって連れ込まれそうだったの~」

自分はモテるアピールだろうか。弟の反応を待たずに言葉を続ける。

「断ってたらゴーインに連れ込まれそうになってさ~、慌てて逃げたよ~」

思わず姉を抱きしめる。これが恋愛感情なのか独占欲なのかは分からなかった。ただ姉を奪われたくない、穢されたくない。

それしか思いつかなかった。

「そんな奴、俺がぶっとばす」

「うれしーな~♪おねーちゃん、おとーと君のこと好きになっちゃいそうだよ~」

「俺は好きだよ」

真剣な告白。それを感じ取ったのかヘラヘラしていた姉がいなくなった。

そもそもこれが恋愛感情なのかは分からないだが、姉として、家族として好きだといったかもしれない。だが「好き」という言葉に嘘はない。

姉からの返事はない。続く言葉を待っているのだろうか、弟が口を開こうとするが

「ありがとう。でもダメだよ」

妥当な回答だろう。

「でもね、でもね・・・。おねーちゃんは弟くんのこと大好きなんだよ」

声が震えている。泣いているのだろうか。

「昔から弟くんがずーーっと好き。イケナイ事だって・・・・・結婚だって、考えた」

「でもね、私たちがよくても世間がそれを許さない・・・」

「仕事に没頭して必死に逃げた、逃げ続けた・・・・。でも弟くんが思い出させた・・・」

泣きじゃくる姉。自分以上に家族に苦しんでいたと知り、自分にショックだった。上っ面の独占欲、性欲に唆されて出た言葉。

それで姉を悲しませたのだから。抱いている腕の力を思わず強める。

「姉ちゃん・・・」

「俺と二人で暮らそう・・・!」

「え・・・・・・・?」

思いもよらない発言。経済力もない人間が何を言っているんだと思われただろう。でも迷いはない、姉を一人の女として幸せにしたい。

ずっと傍にいたい。今はその気持ちでいっぱいだ。

「今は学生だし会社で働けないけど、俺バイトしてお金貯めるからさ」

バカみたいな考え、計画が無謀すぎるし内容が大雑把すぎて説得になってない。あまりにもツッコミ所が多すぎて笑ってしまう。

「あはは!なにそれ面白~」

「なっ・・・!真面目なんだけど!」

「さっきまで太股触って興奮してた弟くんに言われてもねぇ~」

「ぐっ・・・」

「でもまあ・・・考えてあげてもいいかな~」

腕を振りほどきすっと立ち上がる。そしてこちらを見下ろし、満面の笑みで

「よろしくね、未来の旦那さん♪」

しばらく将来同棲するのだからと言われ色々コキ使われたのである。



END ルート1 人生の相棒


今回は拒絶されるルートがもう一つあるくらですかね


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