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恋愛雑談  作者: まよ
1/2

気持ち不明瞭



2月。バレンタインでにぎわうシーズンであり、男の戦場といっても過言ではない。

もらえない人間には人権はなく、数多くもらえる人間にはイケメンという称号が与えられる。・・・イケメンだから貰えるの間違いではないだろうか。

そして14日より前は女の戦場。チョコ誰に作るか、〇〇くんに作るからと言って水面下で高度な情報戦が繰り広げられるのである。

チョコを作り、それを渡し、アタック成功したものが勝者なのだ。そこには友情も上下関係もない無法地帯の恋愛戦争。



「なーんで俺が毒味しなきゃならねーんだよ」

放課後の調理室、仏頂面で調理を眺める男タケル。名誉あるチョコの毒味係に選ばれたと言って連れてこられたのである。

今年もチョコは母親と幼馴染にしかもらえないだろうからこういうイベントは嫌いなわけではないが、イケメン先輩に渡すチョコの毒味というのが気に入らない。

「いいじゃないですかー!先輩どうせもらえないんだし」

うきうきで作るのは後輩のさや。タケルとは今は亡き茶道部の部員で今でも何かといちゃもんつけて一緒に行動したりする。

チョコを渡す相手、サッカー部のイケメンの先輩。タケルの親友でもあり、タケルを伝手にお近づきになろうとしているのだ。

「まあ、そうだが・・・」

「そうやって仏頂面してるからモテないんですよ~」

「あっそ」

後輩のからかいを受け流し、ポケットからスマホを取り出しいじりだす。毎度おなじみの先輩いびりを無視され少々腹を立て、頬を膨らます。だがそれに気付かない。

気付かれないから更に腹を立てわざと作業の音を大きくしたが、チラ見される程度。気まずい雰囲気の中チョコが作られる。




「せ~んぱい!会話しましょ」

チョコレートも完成間近、後は冷やすだけ。冷蔵庫に型に流したチョコを突っ込み。タケルの元に行く。

隣の椅子に座り、またからかいに来た。今度はしぶしぶだがスマホをポケットに突っ込み会話に応じてくれるらしい。

「会話するって言っても話題は」

「バレンタインですし、好きな人のことでも語りましょうよ!」

「いない、以上」

またスマホを取り出そうとしたところを全力で止める。

「ちょ、ちょっと!会話下手糞過ぎません!?」

「悪かったな」

「もっと話しましょうよ!あの子でシコってる~的な!」

「女相手にそんな話題振るかよ」

「いやいやいや!大丈夫です!話題無いよりマシですから!」

会話をするたびスマホを取り出す腕と止める腕がぐいぐい動く。

遠目で見ればカップルに見えなくはないが、実際は会話してほしさにかまってほしだけの後輩と面倒臭がる先輩の図である。

「お前はどうなの」

ピタリとさやの腕が止まる。

「お前、あいつのことかっこいいしか言わねえからどう思ってるのかなって」

あの時の光景が過る。私を穢そうとする手、薄ら笑いの気持ち悪い顔。想像するだけでも悪寒がする。

顔に出すのをぐっと堪え、

「別にかっこいいだけでも良くないですかぁ?というかあの人のこと詳しくないし」

「ふーん」

「はい!話しましたよ!先輩は!?」

肩を揺すりおもちゃを強請る子供の様。そして呆れまじりの溜息。

「はぁ・・・・別に好きなヤツいねえけど、お前ならまだマシ、かな」

どきっ。心臓の鼓動がタケルにも聞こえるくらい大きく感じた。

「まあでもお前はかわいいしあいつとうまく付き合えるから希望はないけどな」

「な、なんで決めつけるんですか!まだ決まったわけでもないのに!」

可愛いと言われテンションが上がり声を大きく出してしまった。相手に不自然だと思われてないだろうか。

でも鈍いタケル特に気にしない。

「ほら!告白するならチャンスですよ!」

じっと見つめられる。先輩は何を考えてるのだろうか。何か怪しまれてるのだろうか、エロい目で見てるのだろうか。

何もされないのが怖く、つい冷汗が垂れる。やっと先輩が動いた。

腕を伸ばし、そっと背中に手を回し優しく抱き寄せ、耳元で

「好きだ、さや」

あいつとは違い、落ち着く。安心感のある抱擁、温かくずっとこうしていたいと思ってしまうほど。

「私も・・・です。先輩」

赤面した顔を胸に埋め、背中に手を回そうとする。だが、引き離される。

「え・・・ちょ、ちょっと待て。あいつのこと好きなんじゃないのか」

きょとんとしてしまう。確かにかっこいいとは言ったが好きとは一言も言っていない。そんなことを思わせるようなこと言ってないか脳みそをフル回転。

「別に。かっこいいだけですし」

「じゃあ、このチョコはなんのために」

「義理ですけど」

「いや、本命に義理の毒味させてどうする」

「そうでもしないと先輩食べてくれなさそうだし」

「なんだこのしまらない告白は」

「いいじゃないですか♪先輩らしくて」

安心感を求め、また抱き着いた。折れそうな細い腕でぎゅっと力強い抱擁。

「あ、私以外でシコるの禁止ですからね」

「しねえよ!!」




END ルート1 灯台下暗し




  因みにルート2は何も起きないエンド、3はタケルの善意で半ば強引に告白させられる羽目になるエンドです。

最後の方に書きましたが

ルート2は好感度がある程度の数値に達してないと強制的に行ってしまいます。

本当にタケルの告白もなくただ会話してるだけ。

ルート3はタケルの告白の時にするかしないかで変動します。

っていう脳内設定

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