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第三話 王都に到着したようですが


 面目としては勇者として神様に選ばれたレリクスの子守役おもりとして同道したわけなのだが、ぶっちゃけ野郎同士の二週間など語ってもあまり面白みに欠けるだろう。


 世話係と言っても、衣食住の世話はほとんどは教会の人間がやってくれたし、厄獣モンスターも途中で何度か出現したが、これも瞬く間に武装した教会の人間が殲滅。


 俺に出来ることと言えば、レリクスと世間話をすることくらいだった。対して仲が良いわけでも無いので当たり障りの無い話をする程度だ。


 ただどうしてか、俺がつい最近に厄獣モンスターの駆除をしていた事については強い興味を示していたな。


 あの日、何やら村長が村人を集めて話があるとか抜かしていたが、それよりも農場の付近に出没した厄獣モンスターの方が問題だ。あいつら、とにかく植物であれば何でも食べてしまうので、放置していると折角育てた作物が壊滅してしまうのだ。しかも、他の農場にまで被害が及びそうだったので、一日中厄獣モンスターの駆除に奔走していた。


 幸い、今回出没した厄獣モンスターの肉は食べられる類いだったので、それから数日間俺の食卓は豪華になったのが救いだ。


 その後、レリクスと王都に行く事が決定したので、消費しきれなくなった肉はご近所さんに金銭と交換してもらった。王都に行くまでの食卓事情は教会が請け負ってくれるし、だったら王都で扱えるお金に換えてしまった方が良いと考えたからだ。 おかげで、俺の懐事情は結構温かいわけであり、野望を叶えるには十分な金額が揃ったと思って良いだろう。


 ついでに、王都に行く際に村人の一人から頼み事をされたのだが、それは後で良いだろう。


 まぁ、そんなわけで特に目立った問題アクシデントも起こらずに、無事に王都『ブレスティア』に到着した次第である。


 あ、言い忘れていたが俺たちが住んでいるこの国は『アークス』という名前だ。名前の由来は知らんが、世界有数の国家だとかなんとか。今まで興味なかったのでそれ以上は知らない。 ──ともあれ、ブレスティアは俺の想像が具現化したかのように煌びやかで壮大な場所であった。


 もうね、とにかく人が多いの。多すぎるのよこれが。あと建物がデカい。二階建てを越える建造物なんて初めて見たよ。


 馬車の中から王都の街並みを眺めて圧倒されていた俺だったが、ここに来て俺の本懐を思い出した。


「では早速、勇者様には王との謁見をお願い──」

「あ、悪い。俺ここで降りるわ」

「「…………は?」」


 首を傾げるレリクスとペインをよそに、俺は馬車の扉を開いた。


「別に王様との謁見なんぞ、村人である俺がいなくても問題ないだろ」


 あいにくと礼儀作法とは無縁の生活を送ってきた。勇者であるレリクスならともかく、俺が問題を起こしたら色々と面倒くさい事になるのは目に見えていた。


 なので、王都に着いたらさっさと別行動をしようと決めていたのだ。


「なんかあったらこの街にある教会に顔を出すから」

「ちょ、ま──」


 ペインが何やら口にするが、俺は気にせず馬車から飛び降りて街の人混みに紛れた。




 さて、王都に着いたわけであるが、俺は早速俺の目的を果たすとしよう。


 俺が王都に来たかった理由は、王との華やかさに憧れていただけでは無い。そう、全てはこの時のため。


「いざ──『色街』へ!」


 ──言っておくが冗談では無く、大真面目だ。


 俺が王都を目指した一番の目的は、噂に聞く色街で『娼婦』を買うためだ。


 一人の男として、素晴らしい〝初体験〟を済ませるためである。


 可能な限り、下調べはした。


 王都への道中で、ペインに同行していた者の一人(男性)から色々と聞き出し情報は仕入れた。


 いくら聖職者とはいえ男は男だ。彼によると、堪りに堪った性欲を解消するために金で女性を買っている者は意外といるようだった。


 教会の生臭い性事情はこの際どうでも良い。


 重要なのは、色街で綺麗な娼婦おねーさんとやんやんする事である。


 俺の懐事情は結構暖かい。


 元々の貯蓄に加えて、厄獣モンスターを狩った肉をご近所さんへとわけて金銭に換え、ついでにレリクスの子守役としての報酬も既に王都に着く前日にもらっている。


 王都で暫く生活する関係上、全額をつぎ込むことは出来ないが、生活費を差っ引いた額だけでもかなりのもの。俺の調べに寄れば、結構良いかんじの娼婦が買えるはず。


 そして、〝初体験〟を済ませた後は、レリクスが魔王討伐の旅に出発するまで適当に王都で暮らし、頃合いを見て村へと帰るのだ。


 そんなわけでして、早速話に聞いた色街へと向かう。


 表通りの華やかな空間から路地裏に曲がり、奥へと進む。煌びやかさと距離が離れるにつれて、どことなくひんやりとした空気が肌に触れる。


 奥へと進むと、少し開けた空間に出た。言っては悪いがかなり小汚い空間だ。よく見ると、道の端に座り込み、真昼間から酒を飲んだくれている者や、寝転がっている者がちらほらと。 噂にはよく聞くが、表の華やかさと打って変わってかなり暗い雰囲気だ。


 それで足踏みをしているわけにもいくまい。俺は壮大な野望を胸に秘めている。


 目的地──色街はここからもっと先に進んだ場所。ここはまだまだ街の裏側への『入り口』に過ぎないのだ。


 俺は「ふんす」と鼻息を強くして気合いを入れた。


 ──男は度胸だ! ビビってる暇はない! 


「やめてください!」


 ──なんてことを考えていたら、女性の叫び声が聞こえてきた。


「ん?」


 俺の前方暫くの場所で、柄の悪そうな男に絡まれている、フードを被った女性を発見した。


 ──とりあえず野郎は折檻しボコった。


 え、前置きがなさ過ぎる?


 だって、明らかに女性が野郎に襲われている状況だっただろうに。


 それが顔面が崩壊しているような不細工でも、呪われているとしか言い様がない不細工でも、むしろ性別間違ってません? というくらいに不細工でも、女性が困っていれば助けるというのが男の本来あるべき姿だ。少なくとも俺はそう教えられたし俺自身もそう思っている。


 もしそれが野郎おとこであれば──多分、助けるとは思うがモチベーションが段違いになるのは確実だ。


 だって、どうせ助けるなら女の子の方がいいでしょうよ。


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