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第百二十一話 旅行に行くのですが

新章開始です。

今回はプロローグなお話しなのでちょっと短め。


後書きに重要なことが書いてありますので、最後まで読んでいただけると幸いです。


 国内の状況がようやく落ち着きを見せた頃。


 いよいよ時が満ちた。


 そう――勇者の旅立ちだ。


 噂では魔族の暗躍はこの国のみならず、他国においても囁かれ始めていた。その真偽はともかく、魔王復活の時が刻々と迫ってきているのは間違いない。


 まずは隣国に赴き、そこから先は魔族の情報を得ながら各地を巡ることになる。各国を訪れて見聞を広め、かつ可能であれば国家の君主と顔を合わせ有事の際の団結を促す目的もある。


 古くから伝わる魔王とその配下や率いられる軍勢は、一国が相手にできるような規模では無い。それこそ多くの国々が力を合わせなければ対抗できないのだ。


 かつての魔王襲来も、こうして勇者が各国の繋がりを形成し、共に肩を並べた事によって対抗したのだ。


 勇者の出立を見送ろうと、王都は国内各所から訪れた民たちで大賑わい。どこかしこも来訪者を目当てにした出店や大道芸人達が品や芸を披露している。


「これから過酷な旅に出る勇者の見送りにしちゃぁ、不謹慎な気もするねぇ」


 馬車に揺られながら、俺はふとぼやく。荷台の外に広がる晴天の空。とてもこの下で魔族やら魔王やらが色々と企んでいるようには見えない天気だ。 


「……それを言っちゃうと、私たちもあまり人のことを言えない気がするわよ?」


 隣の座席にいるキュネイが呆れた顔になる。だが馬鹿を言っちゃぁいけないよ。


「俺たちは別に勇者を出汁ダシなんかにしちゃいない。休みたいと思ったから休んでるんだ」

「なるほど。周囲の騒ぎに流されることなく、己の意志を持ってして行動を起こす。さすがはユキナ様」

「あはははは…………」


 妙に深読みし感じ入っているミカゲは俺とは対面の席に。彼女の隣りにはアイナが座り、口を挟むか否かを迷ったあげくに愛想笑いを浮かべていた。


 お気づきの事かとは思うが、俺たちは今、馬車で移動中である。それも、仕事で遠征するときのようなちゃっちな物では無い。座ってもあまり疲れない客席付きの馬車だ。


 ――盗賊団討伐を終えてから数日後のこと。


 最後の最後で強烈に疲れた事を除けば、非の打ち所のない結果であろう。傭兵側に犠牲者はおらず、捕虜たちも全員救出。理想的な依頼達成の形となった。


 そして、王都に戻ってから数日。疲労が完全に抜けた頃、俺はいつも通りに組合に赴き依頼を探そうと思ったのだが、ふと俺は気が付いたのだ。


 最近、ちょっと頑張りすぎじゃねぇかと。


 今現在の俺の目標は二級傭兵となり、恋人達に見合う男になること。だがそれは、恋人達を蔑ろにしてよいという意味では無い。


 度々休暇日を設けては、キュネイ達と思い思いの一日を過ごしたりはしたが、なんだかんだでせわしない日がかなり続いていたと思う。もしかしたら彼女たちに心労を掛けているのではと不安になってきていた。


 おそらく彼女たちは、俺と一緒に居られることに満足している。その辺りは俺もそこそこ自信を持って言える。


 けれども、俺に付いてきてくれていることを改めて感謝したい。彼女たちの献身に報いたいと思ったのだ。


『相棒のそう言った気配りできるところは大きな美点だと思うぜ、俺は』


 グラムからのお墨付きもあることだし、俺たちは一度仕事のことは完全に忘れ、観光旅行に赴くことにしたのだ。


 幸いにも、先日の依頼では、組合の調査不足で当初の想定よりも一段階は危険度の高い盗賊団とやり合うこととなった。それに伴い、本来の支払われる報酬に、危険手当も追加された。これまでの蓄えと合わされば、恋人達を旅行に連れて行く分には十分すぎる資金があった。


 そんなわけで、向かう先は王国辺境にある観光地である。「でも何だか新鮮だな。馬車での移動ってのは慣れたつもりだが、完全にお客様ってのはなかったからなあ」


 いつもなら、馬車での移動中というのは依頼の前準備や情報のすりあわせや事前の打ち合わせなどの時間になる。純粋に娯楽目的での移動というのはこれまでほとんどなかった。


「ああでも、あるにはあったか……」


 思いを馳せるのは、レリクスと共に初めて王都を訪れたときのこと。教会の用意した馬車に乗せられて王都に向かっていたのが、もうずっと昔に思えた。


 あれから本当にいろいろなことがあった。

 

 それがあったからこそキュネイ、ミカゲ、アイナといった素晴らしい女性たちと出会えたのだから、悪いことばかりでもなかったのだろう。


『おいおい、俺のことも忘れないでくれよ』


 今は客席後部の荷台に埋れているグラムが、存在をアピールするかのように念話チャンネルで語りかけてきた。確かに、今の俺があるのはグラムと出会えたからこそだ。それがなければ、俺は今頃、王都で騒いでいる者たちの一部になっていたに違いない。


 グラムとの巡り合わせは俺の人生にとって最大の転機であったのは紛れもない事実であった。


どうもこんにちわ。ナカノムラです。


三月三十日の『王道殺しの英雄譚』第二巻の発売が近づいてまいりました。


すでに書影に関しましては活動報告にて公開してありますのでそちらをご覧ください。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/604944/blogkey/2525991/


さて、今回はさらにもう一歩進んだ情報公開です、


なんと編集さんから許可をいただき、本書に収録されている口絵の一部を公開させていただけることになりました。


はっきり言って、凄いです。ちょっと覚悟が必要です。

具体的には確実にR-15です。


それではご覧ください!


ドンッ!


挿絵(By みてみん)


をんさんに絵師を頼めて本当によかったと、この絵を見た瞬間に改めて思い知りました。


もちろん、書籍版では警告マークは取れます。

ここではお見せできませんが、他にもあんなシーンやこんなシーンも挿絵として収録されておりますのでお楽しみに。


では以上、ナカノムラでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ツノ結構デカかったのね
[一言] ふぅ……スッキリ
[一言] んん??エロゲの1枚絵かな?(すっとぼけ)
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