表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/299

第百一話 期待されているようですが


 俺が改めて追加調査の依頼に関して断りを口にしようとするが、カランが先回りして口を開いた。


「これは調査の件とはまた別の話だ。そもそも、洞窟の追加調査このはなしは現段階では確定している話ではないからな。とはいえ、全くの無関係でもないが」


 つまりは、復興作業の依頼を受ける前の時点で、ということなのだろう。とはいえ、以前と同じでまた急な話で驚きを隠せなかった。


「待って下さい。ユキナ様の昇格そのものは私としても非常に喜ばしく思います。ただ、いささか早すぎませんか? ユキナ様は四級になってからまだ日が浅い。こんな短期間で三級になったという話は聞いたことがありません」


 配下としては嬉しくとも、一介の傭兵としては少しばかり疑問が残るのだろう。


 ミカゲの指摘に、グラムが感慨深そうに呟く。


『コボルトキングを倒したときは「三級に昇格でも良かったのに」とか言ってたのにな。ミカゲもちゃんと成長してるってことだ』


 あの頃のミカゲは主従関係を結んだばかりで、ちょっとテンションがおかしかったからな。昔と言うほど前の話ではないが、何だか懐かしく感じる。


「私もこの組合の職員になってから初めてのことだからな。だが、逆に聞くが彼が四級に昇格してから遭遇した事件を、順序立てて考えてみてくれないか」


 どういうことだろうか。


 言われたとおりに指折りで数えながら確認していく。


 まずは、ゴブリンの襲撃から村を守る。


 この出来事から、付近にある洞窟に設置された召喚の魔法陣の発見に繋がる。


 それから、王都内にある召喚魔法陣や忍び込んだ魔族の存在をいち早く察知。それを王城に知らせて王都への被害を最小限に食い止める。


 で、その後に王城へ突入し、魔族に狙われていた王族やアイナの命を救い、勇者が来るまでの間に魔族の攻勢を引き留めた。


 非公式には、これに魔族が召喚した邪竜をぶった切った件も追加されるが、勇者の名声を保つために箝口令が敷かれている。カランを含めて一般人はこのことを知らないはずだ。


 ただ、世間に知れ渡っているのは勇者が来るまでの時間稼ぎという話だろう。他の件に関しては、調べてようやく分かるといった程度。まぁ、組合の方ではしっかりと把握しているようだが。


「……改めて考えてみると凄まじいですね、これは。まだ傭兵になって日も浅い私にも分かります」


 アイナがしみじみと呟くと、カランはゆっくりと頷いた。


「ハッキリ言って、どれか一つだけ欠けていても王都の甚大な被害を及ぼしていた恐れがある。その阻止に大きく貢献したともなれば、評価しないわけにもいくまい」


 本来、傭兵の実績とは依頼の達成と共に得られるものだが、今回は話の規模が違う。下手をすれば国家が崩壊する恐れもあったのだ。無理もないだろう。


 と、他人事のように思いつつも、実はその当事者が俺自身というのが妙な話だ。特に王城へと突入した件は、国家云々ではなくアイナの事で頭が一杯だったからな。


 ただ、我がことながら客観的に見たら凄いなこれ。本当に俺がやったのかと言いたくなる。これを〝大したことない〟なんて言えるほど俺も世の中を知らないわけではない。


「実は、この話は君が他の依頼を幾つか重ねてもう少し実績を重ねて貰ってから、というつもりだったんだがね」

「なるほど。今回の件がその実績に足るものだと判断したわけですか」


 国家を揺るがせた事件に関わる手掛かりを得られるチャンス。その取っ掛かりを作ったともなれば、たとえ本来の依頼から外れたものだとしても十分すぎるくらいの結果だろう。


「それに、偶然とはいうが、話を聞いた限りでの彼の判断は的確だ。三級傭兵としての心構えはすでに身につけていると私は判断した。これで納得してくれたか、銀閃」

「ええもちろんです。そもそも、私としては不満を抱いていたわけではありません。先ほども言ったとおり、ユキナ様の昇格は非常に喜ばしい話です。ただ──」


 ミカゲは頷きはしたものの、眉をひそめたままだ。


「それにしても、あなたにしてはいささか横紙破りだと疑問に思いまして」

「だろうな。私としてもその通りだと思っているよ」


 けれど、俺の昇格を組合に持ち上げたのはそもそもカランだ。その辺りがミカゲも気になったのだろう。


「私も一時いっときは傭兵として活動し、引退してからも組合の職員として長らく傭兵に関わってきている。だからこそ知っているのだよ」


 まるで俺を射貫くような視線を向けてくるカラン。


「ユキナ君。君は先ほどどうくつの一件を偶然と言ったね。だが、君は傭兵となってから……いや、この王都に来てからいくつの〝偶然〟を引き当てた?」


 ぶるりと、背筋が震えたような気がした。


 恐怖したわけではない。威圧されたわけでもない。


 目の前にいる気の良さそうな職員が、この時ばかりは数多の修羅場をくぐり抜けた歴戦の戦士に見えたのだ。


「世の中にはいるのだよ。その〝偶然〟を本人の意思に関わらず引き寄せる類いの人種が。そして、二級を初めとした一流の傭兵たちは、間違いなくその資質を持ち合わせている。君の隣りにいる銀閃も含めてね」


 ミカゲに聞いたことがあった。


 カランも過去には数々の功績を挙げた二級傭兵であったと。もしかすれば一級にさえ手が届いたとされているほどの凄腕であったらしい。


 彼の言葉には、数々の結果とその経験に裏打ちされた重みがあった。 


「私はね、ユキナ君。君に期待しているのだよ。この王都に来てから立て続けに功績を重ねてきている君の才能をね。だからこその昇格だ。君はもっと上の階級で活躍してほしいんだよ」


 人にこう言われて嬉しくないわけではないのだが、俺は感じ入る一方で微妙な気持ちにさせられた。


『厄介事を引き当てる才能を評価されてるみたいだからなぁ。相棒にとっちゃぁちょいと複雑か』


 雰囲気をぶち壊しそうなのであえて口にはしないが、グラムにはバッチリ伝わっていた。


 なんにせよ、三級への昇格は俺も望むところだ。


 以前の俺ならここで足踏みをしているところだが、今の俺には幸せにしたいひとたちがいる。


 彼女たちに恥じない男になるという目標がある。


 三級への昇格はその足掛かりだ。目指すはミカゲと同じ二級になること。


 その旨をカランに伝えると、彼は快く頷いた。


「では、正式に君の昇格を組合の上層部に進言しよう。もしかしたら試験代わりに依頼をこなしてもらう必要があるかもしれないが、今の君の実力なら問題ないだろう」

「とりあえず、その期待を裏切らないように頑張りますよ」


 差し出されたカランの手を、俺は握り返したのだった。


はいどうもナカノムラです。


では皆さんお待ちかね。キャラデザ公開(後半)でございます。


まずは麗しのあのお方

キュネイです!


挿絵(By みてみん)


デケェ……。

そしてエロい。

いや、絵師さんにキャラデザの設定を送りはしたんですがね。

まさかイメージ寸分違わない色気満点お姉さまを創造していただけるとは思っていませんでしたよ。

いや本当に……デケェ。

ちなみに、夜のお仕事の他に、昼間は町医者を営んでいるのでその時は白衣を着てらっしゃいます。

……何このゲームに出てきそうな保健室のお姉さん。デカすぎでしょ(褒め言葉)


さぁ、次に行きましょう!


書籍の後半あたりから登場する凄腕傭兵。


銀閃です!


挿絵(By みてみん)


着物に刀って栄えますよね。それが特に胸の大きな方だと特に。

これもね、キャラデザを頂いたときに感動してしばらく興奮が収まらなかったっすよ。

ぶっちゃけ、この瞬間のために作家をしてると言っても過言ではないです。

マジでこんな麗しの美女剣士たわわが私の書いた作品の登場人物なの? 

くそ、ちょっと罵られたいじゃねぇか(錯乱)。

こんなおっぱい大きい子が、初登場時はあれだったのに、今ではこれですからね(意味深)。

小説家やっててよかったわ。


さぁ最後!


レリクス&聖剣レイヴァ!


挿絵(By みてみん)


イケメン勇者!

……これ以上の説明が必要か?

とはいえ、昨今流行りのゲス勇者ではありません。

今時珍しいくらい、心身ともに素晴らしい好青年で女性に対しても紳士的。

人の役に立つことを是とするまさに勇者!

彼の今後の活躍にご期待ください!


では、彼らが活躍する様を是非に書籍でご確認ください!


『勇者伝説の裏側で俺は英雄伝説を作ります 〜王道殺しの英雄譚〜』

 十月三十日に発売予定です!


 では以上、ナカノムラでした! 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] めっちゃ面白い。 [一言] コミック読んで、はまって小説見つけ一気に読みました(^^) 続きが早く読みたいです。
[気になる点] 銀閃で…左利きなの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ