美少年誘拐したら砂糖漬けにされた。
簡単な読み物なので気軽に見てください。
私はただのしがないフリーターだった。
どこにでもいるようなフリーターだったのだが…一つだけ違ったのは…。
「あの男の子可愛い…大好き、舐め回したい」
小学生の男の子に恋をしてしまうような…所謂、ショタコンという性癖を患っていたのであった。
その少年は、私の近所にある豪邸に住んでいる少年でまるでお人形さんのように綺麗な子だった。
時々すれ違う高級車の中でシーベルトを付けてチョコンと座っている姿は可愛いらしく、睫が長くて可愛いく、赤いほっぺが可愛いく……何もかもが私の好みドストライクであった。
そもそも私は少年少女が大好きだ。時々、公園にいっては子供たちの膝小僧を観察してハァハァ言ってるくらいには大好きだし、スーパー銭湯で少女の体を観察するのも大好きなのだ。
ワンパク少年の方が大好きなのだが…どういう訳かあの少年はまた別枠で好きなのだ。
だから、見ているだけでよかったのだが…。
「よし、誘拐しよう」
ビール瓶で運転手の頭と警備員をぶん殴り、車の中でちょこんと座っていた少年を誘拐した。
言い訳をさせてくれるならら
その日は思考がぶっ壊れるくらいに暑い日だったのだ。
☆☆
「本当にごめんなさい!私は…私はなんということを…!」
さて、誘拐した私はというと小汚いホテルの中で少年に向かって土下座をしていた。
なんかカビの匂いがするベッドとかに座らせてしまって罪悪感が半端ない。
というかこの少年も少年である。少しは叫ぶとか抵抗とかしてほしかった。物凄く大人しい上に普通に指示に従って一緒に付いてきてくれたんだ。
いや、はい分かってます。
血塗れのビール瓶もったババアが怖かったんですよね?ごめんなさいごめんなさい死んで詫びを…。
「まずおちつけ、お前の名前はなんだ」
少年は酷く冷たい声を浴びせてきた。
私はハッと顔を上げた。…マジ可愛い。
いやいやヨダレを垂らしている場合ではない。
「ジュルッ……あ、芦錐 稲九菜檸 です。クレちゃんと読んでください…」
「とんでもない名前だな」
ドン引かれた。
「今は亡き父と母がかなりやんちゃな性格だったんです」
殺し合いの末に仲良く心中してドロドロ死体になった位にはやんちゃな性格だった。この世の大人の悪い部分を全て詰め込んだようなやんちゃな大人だった。
私がショタコンロリコンに走る原因となったくらいにはやんちゃな人だった。
とまぁ、そんなことはいい。
「誘拐して…すみませんでした」
「お前、なんでゆうかいしたんだ」
少年は少し舌足らずな口調でいう。
もう、可愛すぎるでありますな!!
「クレは、ずっと俺をみていただろう?」
オーノー!バレているでございます!
え?え?バレてたの?マジ?
ならもういいやと、私は率直に言った。
「貴方を愛してるからでございます」
「ふ…ふ~ん。そ、そうか…俺が好きか」
「はい…はい。大好き、愛してる、そばにいてほしい」
「そ、そうかそうか…ムフン」
嬉しそうなお顔をしている。あぁ、可愛らしい。
「もう、大好き」
「う、うむ」
プクプクほっぺを赤くしてうつむかれた。
なに、その可愛いほっぺた。プ二ッとしてやりたい。
「じゃあ…まぁ、そうだな…だったら結婚でも…してやっていいぞ」
「あ、それはいいです」
「はぁあ!?」
めっちゃキレられた。
先ほどまでの可愛らしい顔とは違い鬼さんみたいな顔をしている。
もう、可愛いな~と感服しながら私は説明した。
「私が好きなのはあくまでも…『少年の君』であって…未来の君には絶望しかない」
「なに…それ」
「えっと、少女と少年をペロペロしてクンカクンカしてやりたい性癖である、ロリショタコンプレックスを患っております故に…しかもコレ、不治の病なんです」
「治せ」
無茶ブリ来た。
直ってたらビール瓶片手に君への誘拐なんて企てないよ!追っ手に対してスプレー缶とチャッカマンで火炎放射とかしないっつーの!
「フーン」
「その…ごめんなさい」
ひれ伏して許しをこうが少年くんはその可愛らしいおみ足を組んで不機嫌そうだ。
「あ!」
ピンポーン!と何かを思う出したかのように少年は備え付けのティーポットの所に行ってカチャカチャと何かを作り始めた後…。
「ほら、紅茶でも飲めよ」
湯気の立った紅茶を入れてくれた。
そして砂糖と思われる白い粉をダバダバと…ぁぁぁああ!!
「私、砂糖はいらない派で…」
缶コーヒーだってブラック派だしケーキなんか食べたら完璧に吐いてしまう。
昔、少年君ウォッチをしていたときに後輩から貰った激甘卵焼きをうっかり吐いてリバースしたくらいなんだよ。
「知ってる。飲め」
はい、飲みます。
可愛い少年少女に言われたら泥水だろうが砂だろうが食べるのが私の流儀である。
では、いただきまーす!
「ん…ッゴク」
ゴクゴクと飲み干し始め…ん?コレいけるんじゃね?めっちゃ甘いけどなんかスッゴい気持ちいい!!
うわスッゲー!宇宙が見えて来たし眼がバチバチなり始めたぞ!心臓なんてバックバクだ!コレってつまりは頭が凄く綺麗になってそれでまぶたの裏がでdふぇでこんにちわみんな翠色なのはめがねがあごにささってるかfれいう゛ぇfじおvf
ップツ
体が動かなくなった。
「ぇ?…wk?」
視界が反転し、体がピクピクと動かなくなる。
「…強すぎたか」
なんて言葉を聞いたのを最後に…意識を完全に失ってしまったのである。
「んにゃ?」
目覚めると…自分の家の自分の部屋にいた。
へ?なんで?もしかして夢か?
なんて最悪のことを予想したとき…。
「全部、不問にしてあげたからな」
少年くんが私のお腹の上に乗っかっていた。気付よわたし。
「ていうか…え?どういうこと?なんで?えーっと…」
「そういうことだから」
そういって少年は私の口にキスをしてから立ち上がり、何事も無かったかのようにスタスタと出ていった。
「へ?」
なんのこっちゃか分からない。
取り合えず少年とキスしたということだけが分かってジュルジュルと唾液が溢れた。
あれから、どうやら本当に私は警察には通報されなかったらしい。
運転手を撲殺して追手の何人かを焼き殺したのに不思議なものである。
そして、新たな出来事が起きた。
「はい、コーヒーをあげる」
少年が毎日、缶コーヒーをくれるようになったのである。
ドバドバと砂糖が投入された奴ではないが、少し甘いという感じの奴である。しかも、既に開けられてあるという配慮っぷりだ。
なんて優しいのだろうか。
「ありがとうね」
と、私は受け取って飲む。
何故ならば、飲むまで少年は返らないのである。
最後まで飲みきった私を見て、少年はニパッと笑った。
「じゃあね!ちゃんと寝てるんだよ!」
そういって彼は立ち去った。
「うん!バイバイ!」
私は彼に手をヒラヒラとふりながら自身のベッドにもぐる。
「…はぁ」
そうそう、もう一つ変わったことがある。
体が思うように動かなくなった。
病院にもいったが何処にも以上がなくて『ストレスですね』としか言われなかった。いやいやストレスて…一番末期の時だった幼少の頃は何も無かったですよ?
なんて恨み節を叩いても体が動かない。
少年くんの使用人さんたちが現れて世話をやいてくれるので生活に不自由はないが…ロリショタたちにも会えないのが辛い。
「はぁ」
私は再びため息をついて、意識を泥沼に押し入れたのであった。
それからして、私は部屋から出ることが出来なくなった。
そんな私に彼は毎日缶コーヒーを渡しに来る。
「缶コーヒーあげるね」
「缶コーヒーを飲め」
「何をしている、早くそれを飲め」
たった少年から青年へと変化したコイツは喉仏は出ているし身長もデカくなっている。嫌いだ。
しかし、何故だろう…コイツには最早なんの魅力もないのに胸が高鳴るし、会わなければ心臓が痛い。
一目会えればこの心臓の痛さは消えてなくなるので、いつしか彼を待ち望むようになったのだが…
「アレ?なんで…こないの?」
その日、アイツがくることはなかった。
まぁ、そういう日もあるだろうと思って特に気にせずにその日は眠った。
しかし
次の日もその次の日も全然こず…それと同時に私の頭の痛みはピークになっていく。
脳の皮のうらをアイスピックで刺されているし、まぶたはライターで焼かれて喉はピーラーで削り取られているようだ。
そんな痛いのか苦しいのか訳がわからなくなってきた頃…。
「会いにいこう」
私はついにあの青年に会いに行くために部屋を出たのであった。
しかしながら、一年も歩かなかった体は完全に運動機能を失っているわ一歩歩くたびに尿が漏れているような気すらするし、頭は灼熱地獄である、
そんな地獄のフルコースのような苦しさを味わっていた末にようやく…本当にようやく屋敷へとたどり着いた。
「やあ、来たね」
屋敷には地獄の使者みたいな天使がいた。
少年の面影を残したコイツは、しかし美青年で美丈夫である。
「やっぱり僕のことが好きなんだね」
いや、ハッキリいってコイツにはなんの魅力もない。
無いのだが…その思考以外の全てがコイツを追い求めているのである。
アレだ正気以外の全てがオーバーヒート犯しているに近い。
そんな私のことを見て、彼はクスクスと笑いながら1つのペットボトルを渡してきた。
「ほら、お飲み」
ぶんどってゴクゴクと飲み干す。
あぁ…余ったるいしめちゃくちゃに美味しい。
まるで乳飲み子のようにゴクゴクと夢中で飲んでいると、彼は私を引っ張りながら屋敷の中へと招き入れる。
全ての液体を飲み干した後、彼はニッコリとした笑みを浮かべて
テーブルの上に沢山あるお菓子を見せた。
「さあ、美味しいお菓子でも食べなよ」
テーブルの上にはシュークリームに甘いクリームが挟んであるクッキー、生クリームタップリのケーキ。
どれもコレもが美味しそうである。
「い、いただきます」
パクりと一口食べる。
美味しい…なんて甘くて素晴らしい味なんだ!
しかも体調もよくなってきた。
アレだけ頭が痛くて気持ち悪くてフラフラしていたのに、この甘いお菓子を食べたら体調がよくなった!!ていうか美味しい!!この甘さ…が… っう
「ッゥボォエエ!!…ゲボ…ぅ」
吐いた。
ドロドロのそれを思いっきり床にぶちまけた。
なんという粗相をしてしまったんだ!?
「あぁ、吐いちゃったな。ほら、その分お食べ」
気にした様子を見せずに更にケーキやらクリームの固まりやらを手渡してきた。
「ぁ…うわ…ッゴク…ング」
無理矢理に口のなかに突っ込んでゴックンと飲み干す。
「俺のこと好きになった?」
「ぁあ…ぁあ!」
口のなかに詰め込んだ状態でコクコクと頷く。
すると彼はよしよしと頭を撫でながらまた新たな菓子を差し出した。
私は知るよしもなかった。
この砂糖と呼ばれるものが一体何なのかも。
実は前からずっと蝕まれていて体がボロボロになっているということも。
全ての真実を知った時には既に何処にも行けなくなっていることなど…。
そもそも何も分からぬままに私は脳をトロかせながら何とかの犬のようにお菓子をバクバクと食べたのであった。
アレはハッピーホワイトパウダーじゃないですよ。めっちゃ美味しい砂糖なだけです。