七つ.動き出したるは、思いつき
「よっしゃぁっ! これで試験も終わりだぜっ」
あの日から二日後。僕らは随分久しぶりに感じる開放感に陽気になっていた。
「試験が終わっただけで大げさです、兄さん」
「馬鹿やろうっ! この数日、俺がどんだけストレスと戦ってたと思ってるんだ」
それは自分の責任、と美紀は驚くことはなく受け流す。さすがは手馴れてる。譲治も美紀のとりあえずの突っ込みにも満足そうに力んだ。
「まぁ、良いじゃないか。最近の静けさは僕らには相応しくないよ」
「そうだ。俺たちは騒いでなんぼのユースウォーカーズッ! 俺たちに静けさはいらねぇんだよっ」
琢磨の肩を抱いてすっかり上機嫌な譲治。浮きだった気分を止める気は、今は琢磨もないみたい。
「終わったのですですっ! どっちの意味でも終わったかもしれませんですですが」
有美香、そこは悲しむものだと思うんだけど、どうして君は笑うかな? これも譲治と同じように開放感に浸ってるんだろうけど、その発言は危険じゃない?
「ゆみ公、気にすんじゃねぇよ。俺なんかな、解答用紙埋めた記憶がねぇっ!」
武士の爆弾発言。もう同好会発足に絶望的な暗礁が見えてきたかも。
「けどなっ! 俺はまず赤点はねぇっ!」
武士が豪語する。根拠もないのに。誰も信じてないんだろうな。武士に誰も突っ込まない。
「それで、美紀はどうだったんだい?」
「私は大丈夫だと思います。大樹さんたちに見てもらったおかげで、苦手分野も克服出来ましたから」
「いや、僕は何もしてないよ。琢磨が僕らの先生だったし」
何かしてあげようにも、自分の事で結構手一杯だった。琢磨みたいに聞かれたらすぐに応えられるような頭じゃないから、役に立てたのかも自分じゃよく分からない。
「謙遜はいらないだろう? 大樹がいてくれたから僕の負担が少なかったんだしね」
うぅ、頭のいい人にそう言われると、恥ずかしい。
「とりあえずは美紀と有美香、それに片桐君と妹尾君は大丈夫でしょうね」
湊川さんが腕を組み、譲治と武士を僕らを区別する。そう言えば結局、あの後は僕らは大和さんの監視の目……脅迫と啖呵の目が厳しく見る中で美紀たちが戻ってくるまで食堂ではありえないくらいに緊張した空気の中で勉強をした。僕と琢磨は結局譲治と武士の勉強を見ることになると思っていたんだけど、意外な事実が発覚したことには驚いた。
「譲治と武士も大丈夫だと思うんだけど。大和さん、意外と頭良いんだよ。僕も幾つか教えてもらったし」
「確かに。元総長の肩書きを持つ割の頭脳には今更ながら驚かされたね」
僕は驚いたけど、琢磨もそうだったんだ。それもちょっとびっくり。
「そうなんですか? それは確かに意外ですね」
美紀にしてみれば譲治のお目付け役と思っていただろうから、言葉の割には驚きは少ない。表情が普段からそんなに変わらないからかもしれないけど。
「へぇ、あの人、ただの女好きってわけじゃないのね」
湊川さんには、大和さんのイメージってそこなんだ。まぁ僕らのイメージにある一つでもあるんだけど。
「寮監さんはやっぱり賢くないと勤まらないのですですよ」
それは違うんじゃない? 有美香の言うことは大和さんに当てはまるんだけど、普段から何をしているのか良く知らないし、唐突に現れたりするから賢いのかの判断は難しいんだよね。
「つーかよ。何で奴の方が強ぇんだよ。見てみろよ、俺のこの筋肉。どう考えても俺が強ぇだろうがよ?」
有美香辺りから話が逸れてきたなぁ。いつものことなんだけど。
「筋肉があるから強いってのは、間違いよ。あんたの筋肉は使いどころのない筋トレの賜物なだけでしょ?」
「確かにそうかもね」
「私はよく分かりません」
「暑苦しいだけの筋肉なんざ消えちまえ」
「でもでもぉ、武士さんは強そうに見えないこともないのですですよぉ。私なんてちっぽけつるぺたなのですですから……」
「うおぉぉっ! 虐めかぁっ? 俺の筋肉虐めて楽しいかぁぁ」
武士が叫んだ。ちょっと声が泣いてる。何かそんな武士を久しぶりに見た気がするよ。皆も相変わらず武士には容赦しないところとかも。
「よしっ、決めたぞ」
一人で叫んでる武士を他所に、譲治がテーブルにおいてあった水を飲み干す。
「あ、それ僕のなんだけど……」
僕のコップだった。自分の前にも置いてあるのに、何で人の飲むかなぁ?
「はい、どうぞ、大樹さん」
「ありがとう、美紀」
空になったコップに美紀が新たに水を注いでくれた。
「それで何よ、急に?」
「何を決めたのですですかぁ?」
「あまり聞かないほうが良いと思うよ、僕は」
いつもの僕らがそこにはいた。今日は活動をするとか誰からの連絡もなかったのに、気がつけばいつもの面々が何気なく食堂にやってきては、いつものように誰も座らない、僕ら専用と化しているテーブルに集まっていた。それがちょっと嬉しかった。
―――皆、やっぱりここが好きなんだ。
そんなことを思っていた。そして徐々に戻ってくるちょっと懐かしい日常。
「聖生学園男子寮寮監大和武蔵とは何者か捜査本部をここに設置する」
来た。来たよ、譲治の唐突な思いつきが。
「無駄に漢字が多くねぇか?」
うん。でも突っ込みどころはそこじゃないよ、武士。
「ほらね、聞かぬが仏だったね」
仏かどうかは分からないけど、少なくとも悪魔でもないかも。
「試験が終わった途端にまた無茶なことをするのは、同好会発足に関して良い事とは言えませんよ、兄さん?」
そうかもしれない。結果が出るのは早くて明日から。この数日にへんなことを起こせば、赤点がなくても再審議で発足が見送られるかもしれない。
「ふぁぁっ!? それは大変ですですよっ?」
やっと有美香と意見が一致した気がする。
「何なの、それ?」
湊川さん、結構前向きと言うか乗り気なんだ。ちょっと前のことが嘘みたいに誰よりも先を促すね。僕もちょっと気になるけど。
「これからここは捜査本部だ。俺たちは今から捜査員となって、大和武蔵の素性を密偵する」
実に簡潔な説明だ。
「俺たちは三年間奴の治める寮に生活してきた。その中で俺たちは奴の何を知った? はい、武士」
「うおっ! いきなり俺か? そうだなぁ、戦艦ヤローにゃ、まだ一度もこいつで勝てた試しがねぇ。奴ははんぱねぇ強さを持ってやがるな、マジで」
まぁ元総長って噂は武士を見てると本当だろうって思える。でも、その割には僕らの私権の面倒を見てくれる頭の良さには不思議を感じてしまうんだけど。
「それは俺も知ってる。次、琢磨」
「この前知ったのは頭が良いって事じゃないかい?」
「それは何かムカつくから、どうでも良い」
嫉妬っ? 大和さんにそんなものを覚えても年上だし、寮監だから不思議に思っても変には思わないんだけど。
「じゃあ、美紀」
「大和さんは優しい方です。言うことは仰ってくださいますし、兄さんの暴走を止めていただける頼もしい方ですね」
美紀も美紀で言うことは言うよね。譲治、ちょっと傷ついてるよ?
「お前は、兄と奴のどっちが大切なんだ……」
「時と場合によります」
無難な答えに譲治はそれでも良いみたいに視線を移した。
「有美香、お前はどうだ?」
アメリカンじゃないんだ?
「大和さんは格好良いのですですよっ。まいふれんども告白したいという人が入るくらいなのですですよっ」
それも分かる。男の僕から見ても、大和さんは寮監として見た目は少し不真面目。でも基本的には良い人だし、面倒見も良い。人気があるのは分かってるんだよね。
「何であれがモテて俺がモテないのか、何故なんだっ」
譲治って、意外と大和さんをライバル視してる?
「兄さんが増しになればいいだけでは?」
「じゃあ諦めるか」
早っ! 別にモテるとかそう言うのは重要じゃないんだ……。
「もう少し努力するとかしないさいよ……」
「お前こそ人のことは言えんだろ?」
「なっ! う、うるさいわねっ! 関係ないでしょっ」
「じゃあ、お前はどう思うんだ?」
「あ、あたしっ? そ、そうねぇ……女好き?」
慌てたと思った湊川さんが、首を傾げながら言う。湊川さんは入寮から時間が経ってないし、大和さんとの交流もそうあるわけじゃないから、やっぱりその認識が強いみたい。
「ありゃ女好きってもんじゃねぇだろ」
「ああ、変態だな」
なぜか武士と譲治の二人は食いつく。僕としてはそこまでじゃないと思うことの方が強い。
「最後に大樹、お前はどう思う?」
最後に僕なんだ。何かみんなの視線が集まってる。
「えっと、良い寮監じゃないのかな?」
僕の知ってる大和さんのイメージは、皆が言った。僕が言えるのは結局はその程度しか残ってないよ。
「あれがかぁ?」
「どう考えても暴力寮監だろ」
「悪い寮監じゃ、ないけどね」
あれ、武士と譲治と琢磨は渋ってる。僕はちょっと恐いけど寮監としてなら問題ないと思うのに。
「私はまだよく分からないから何とも言えないわ」
「女子には優しい方ですよ」
「はいなのですですっ。で、でもでもぉ、時々ちょっぴりえっちなこともあるのですですよぉ」
あれあれ? 何だか美紀以外も反応が鈍い。
「まぁお前らの意見は分かった。これはやっぱり奴のことを調べる必要が出てきたな」
譲治が肯きながら話を戻す。意見は聞くだけ聞いてそれで終わり、みたいな場の空気に他のみんなはあまり気にしてないみたいだけど、今の時間は何? って思うのは僕だけ?
「つーわけで、これより男子量寮監大和武蔵についての情報収集大作戦を決行する」
さっきと言ってることが変わってた。誰も突っ込まない。と言うよりも皆それをすることの意味の方が疑問な顔をしてる。
「譲治、どうしてそんなことをするの?」
思い切って聞いてみた。一応普通で突っ込み担当とか言われたし。
「青春だ」
だと思ったよ。想像してたから驚きはしないよ。皆も同じなんだろうね。あぁ……って感じだし。
「それで兄さん、具体的にはどのようなことをするのですか? 場合によっては大和さんへの失礼になりますよ?」
「問題ない。堂々といったところで奴は素性を見せると思うか?」
譲治が聞いてくる。
「ありゃいつも素だろ?」
武士が腕を組んで首を鳴らしながら言う。それに皆の首が縦に揺れた。
「違うな。人間誰しもが心に闇を抱えている」
出た。譲治のことを知る僕と美紀と琢磨と武士は同じような顔をしてた。有美香と湊川さんは口調の変わる譲治に話を聞こうと、表情がきょとんとなった。
「どんな人間にだって顔には出さない感情を持っている。他人を批判する愛情の裏に持つ嫉み、他人を励ます裏にある見下し、善意の裏にある悪意。上げればきりがない。それを批判する人間にある偽善。そんなものがない人間はまずいない。お前らにもあるだろう?」
僕らは話半ばしか聞いてない。間違ってはないけど、要は自分の意見を通す為の前説でしかない。それなのに有美香と湊川さんは譲治を驚いたように見てる。
「そ、それはっ……」
「あぅあぅ〜……」
二人に思い当たる節があるのも気になるけど、それは別の話として、美紀が反対を大きく示さないから、きっと今回の件は賛成多数で実行されるんだろうな、なんて思った。
「それは誰しもある本能の一つだ。そして俺たちの顧問は誰だ? 寮監だ」
聞いておいて答えるなら、聞かないでよ。
「俺たちのことは奴は知っている。でもな、俺たちは奴のことは意外と知らない。これはおかしいだろ? ユースウォーカーズたる者、青春を往くやつらには教師だろうと生徒だろうと、それは仲間でしかない」
「だから自分たちの知らないことは認めない、とでも言うのかい?」
「その通りだ」
「要は奴の弱みを握れって事で良いのか?」
武士が自分なりの解釈を口にする。その通りだよ、譲治の言ってることって。
「それを見つけてどうするつもりですか?」
呆れたように美紀が問う。
「無論。奴に対抗する為だ」
青春の為じゃなかったっけ?
「ちょっと待って。他人を探るのは問題あるでしょ? 相手は私たちを監督する立場の人よ?」
「そうなのですです。でも、ちょっと興味もあるあるですよぉ」
有美香、君はいったいどっちの味方なんだい?
「別に気にすることはない。奴は俺たちのあらゆる秘密を知っている。その対価を折れた違えて何が悪い」
言い切る譲治は、確かに大和さんにあらゆる秘密を握られてるんだろうね。どんな秘密かは僕は分からないけど。
「おっしゃっ! 俺はやっぜっ! 戦艦ヤローに一度くらいは勝ちてぇからな」
不意に武士がテーブルに腕を出す。
「賛成はしかねますが、兄さんが万が一失礼を働いた時は謝罪をしなければなりませんね」
その手に美紀が同じように重ねた。
「美紀一人じゃ止められないこともあるからね、男子として二人を監督しないといけないかな?」
誰にでもなく聞きながら琢磨も手を重ねる。
「楽しそうですですっ。私も仲間に入れて欲しいのですですよ」
有美香はきっと場の空気に流されるように決めたんだと思う。彼女らしいけど。
「あなたたちがするなら、それが活動内容なんでしょ? だったらそ、その、私もやる、わよ……」
少しだけ皆がテーブルに手を出しているのが恥ずかしいみたいで、湊川さんは手を差し出すか少し迷ってた。
「皆がやるならもう止められないんでしょ、譲治?」
「当然だ。それが俺たちの創意だからな」
譲治が笑う。もうやる気の目だ。だったら僕には止められない。僕はいつだってそのやる気の譲治の目を追うのが好きだったんだから。
「じゃあやるよ。でも、変なことはしないようにしてよ?」
「任せとけ」
譲治の言葉は力がある。きっとどうしようもないことを引き起こすのかもしれない。それでもそれは楽しいんだ。いつもそうだったから。だから僕は湊川さんに肯いた。
それを見て、僕の手の上に少し冷たい手が添えられた。まだ恥ずかしさは取れないみたいだけど、きっと湊川さんも僕らみたいになるような気がした。
「よしっ、じゃあ始めるぞっ! 俺たちの青春をっ」
譲治が一番上に手を載せて押し付けてきた。普通ならオーの掛け声と同時に手を上げるんだろうけど、テーブルに置かれたては、譲治に押し付けられて、ちょっと痛いだけだった。
〜ユースウォーカーズのユースウォーカーズによるユースウォーカーズのための予告〜
「なぁ譲治よぉ」
「何だ、武士?」
「ここの題名ってよぉ、やたら長くねぇか?」
「そう言えば、名言のパクリだよね」
「もう少し分かりやすいものでも良いと思います」
「私は好きなのですですよぉ。アメリカにいた時はがーばめんとおぶざぴーぽーはべりーべりーふぇいますわーどだったのですですよ」
「え? 何何? カレー麺オンザブービー? 新しいラーメン?」
「上条さん、そのボケは相当外れてると思うわ。と言うよりも馬鹿に聞こえるわよ」
「むぅ、麗ぴょんが虐めるぅ〜。てかさぁ、ほんとに試験あっさり終わっちゃったんだね?」
「言われてみればそうね。と言うか、面倒になっただけじゃないの?」
「著者横暴ってやつですですかぁ?」
「色々事情と言うものもあるんじゃないですか?」
「ほらみろ。著者は俺を裏切らない」
「へっ、ダンベルとプロテインはくれてやるぜ」
「この二人に肩入れしたわけじゃないと思うんだけどね」
「と言うか、予告しようよ。今のところまともに予告になってないよ?」
「よしっ。じゃあこのコーナーは譲治とゆかいな仲間たちに改名だ」
「それもパクリじゃねぇかよっ」
「ネーミングセンスは譲治にはないんだね」
「普通に予告で良いじゃないですか」
「じゃあじゃあ、那美ちゃんの聞け! この愚弄共! とかどうどう?」
「完全にあなた一人じゃないのよ、それ」
「あ、あの、あのののの、それよりもですですね……」
「もぉ、皆自分勝手過ぎるよ……」
「じゃあ、面倒だ。ユースウォーカーズの団員募集中で決定な」
「予告とかどうでも良いネーミングじゃねぇか……」
「と言うか宣伝だよね、それ」
「まだ増やすおつもりなんですか?」
「あんまり多くても誰が誰か分かんないよねぇ」
「と言うよりも、上条さん、あなた部員だったの?」
「ン〜ン。違うよ? 暇だったから遊びに来ただけぇ」
「自由すぎるよ、皆、本当に」
「イッツふりーだむですですよっ」
「……お前ら、予告する気あんのかぁ?」
「うおっ! 出たっ!?」
「何でてめぇがここにいんだよ?」
「武蔵さん、どうかしたんですか?」
「もしかしてうるさかったですか? すみません」
「違う違う。てめぇらにまとまりがなさ過ぎてつい出てきちまっただけだ」
「まとめ役って、誰かいたの、ここ?」
「私には無理無理ですです」
「僕も、一人じゃ無理、かな」
「だろ? だから俺が来てやった。で、予告っつーんは、何言や良いんだ?」
…………。
「おい、何だてめぇら。誰か何か言えよ。何だ? この妙は空気は?」
「いや、だってよぉ……」
「ちょっと、ね……ははっ」
「えっと、それは、その、ですね……」
「あぅ〜、えと、えとえとえと……」
「ん? どったの? 何で顔見合わせてるの、みんな?」
「……本人目の前に、言えるわけないわよね……」
「うん、そうだね……」
「まっ、てめぇには関係ない。さっさと失せろ」
「あん? おい一ノ宮。てめぇ、今のこと、もう一回言ってみ、こら?」
「いででででっ……すんませんっすんませんっ、すんませんっ」
「馬鹿だな」
「馬鹿ですから」
「馬鹿としか言えないわね」
「あぅ〜、ぼ、ぼぼうりょくはだめだめですですよぉ」
「ま、まぁまぁ、大和さん。予告は僕がしますから。大和さん、お仕事がありますよね?」
「お? おぉ、そういやそろそろ飯の時間だったな、風呂の準備しねぇとな」
「は、はい。後は僕がしますから」
「……ま、良いだろ。じゃあ大樹、後は任せるぞ」
「は、はい」
「いつつ……あのやろー、マジ絞めやがったな」
「自業自得だろ、てめぇはよ」
「まぁ、感づかれたかもしれないけどね」
「恐らくはそうでしょう」
「こわこわでしたですですよぉ〜」
「加減しないのね、あの人」
「愛の鞭も強すぎると恐いよねぇ。さすがのあたしも逆らえないもん」
「えっと、じゃあ、予告するよ?」
「……次回、こいつらがくっだらねぇ暇つぶしを、しやがるってよ」
「あっ」
「……と神からの祝電披露でした。……それでは、また、会いたくありません」
「祝電なんだ、それ……」
「神路祈さん、あなたその登場の仕方もどうかと思うわよ」
「びっくしたのですですよぉ」
「おい、待て。大樹が沈んでるぞ、お前ら」
「おぉ? 大樹が遠い目してやがるぜ」
「あっ、す、すみません、大樹さん」
「うわわぁ、大樹君、悩みすぎると胃潰瘍になっちゃうよ?」
「そうさせてるのは誰よ……大丈夫?」
「大樹さん、ふぁいといっぱーつっ! なのですよっ」
「大樹、これが僕らだって知ってるだろう? もっと君も気楽にやらないと体壊すよ?」
「……がん、ばれ。……と、神は耳を掃除してました」
「うぅ……僕、真面目過ぎたのかな……」
拝読ありがとうございました。
更新日予定に関してですが、これからは今まで連載中で連載を停止していた作品を少しずつ更新していく予定なので、本作に限らず他の作品も同様に定期的に更新していくつもりなので、月一更新になるかもしれません。
一応本作の更新予定日は7月30日です。遅くなりますがご了承下さいませ。