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十つ.密偵大作戦……? 後編(終わりじゃないよ?)

長らくお待たせしましての更新です。


現在本作と他二作品がアルファポリス青春大賞へエントリーされていますので、展開を早める為に少し長めに更新してあります。


それから、本作への投票もよろしくお願いします。

 とは言ったものの、一向に誰も見つけられない。寮から学園に続く道は、軽い散策路になってるから、木陰とかも探してみるけど、野良猫が寝てるだけだった。譲治と琢磨からの通信も喜ばしいものがない。その上、大和さんの姿もない。しかも、今度は大槻先生まで行方不明。何が起きているのか、誰も分からない。

「ねぇ、譲治」

《何だ? 見つけたか?》

「ううん。そうじゃなくてさ。これって、何が目的でこんなことをするのかなって」

《何かしらの痕跡があれば予測もつくんだけど、武士の雄叫びだけって言うのは当てにならないからね。せめて武士に小学生以上の知恵を働かせられる転換力があれば良かったんだけど……》


 ―――シーン。


《返信なし、か。これはもう、何者かにフリートーカーは奪われているね》

 てっきり琢磨の愚痴かと思ったけど、琢磨的の作戦だったみたい。武士を馬鹿にすれば、琢磨と仲が悪いようで良いような悪いような武士なら、大人しくしてない。でも、今回は返事がなかった。こちらから打って出ようにも、特定できる相手が居ない分、策がない。

《とりあえず、ちょっとこっちから仕組んでみるか?》

 譲治の思いつき発言に、僕らは意見を求める。

「例えば?」

《美紀たちにとって憤慨する秘密を暴露してみる》

 またそんな自爆することが目に見えることをするの? 確かにネタとしては不足することはないけど、それはそれで懺悔するべき事実が多いだけなんだけど。

《こっちのチャンネルを変更したのに、また戻すと、かえってこっちの戦略が漏れるよ》

《なら止めとくか》

「決断早いね……」

 譲治の適当もそろそろ慣れてくるよ、さすがに。

《一応、携帯でも連絡してるんだけど、不通って言うのが問題かもしれないね》

 あ、そうなんだ。そっか、別に携帯で連絡を取るって手もあったんだっけ。頭になかった。

《よし。ここいらで一旦集合だ。俺たちのクラスに集合だ》

「うん。分かった」

《了解》

 どこにもいない上に手がかりもなし。一回策を練り直すつもりなんだ、譲治。なら、僕らは従うしかない。

「あれぇ? 大樹くん?」

 通信を切って、教室に向かう。校舎に近づいたその時、背中から声が聞こえた。

「あ、上条さん」

 軽やかと言うか、本当に軽い足取りで駆けてきたのは上条さんだった。そう言えば、さっきから走ってる姿を良く見てたような。

「どうしたの?」

「うん? ん〜、別に?」

 人を呼び止めておいて、理由なし? なら呼び止めなくていいじゃないか。

「大樹君は何してるの?」

 隣に並んで歩くのに、上条さんは息を切らせてない。結構走ってきたと思ったんだけど、体力あるんだ。

「なんて言うかな……大したことじゃないよ」

 どうしてか、この現状を上条さんに素直に言えない僕がいた。

「ん〜? 何々? 何か困り事カナァ?」

 顔を覗きこまれて、思わずそらせてしまう。妙に勘がいいんだから。

「那美ちんに何かお手伝いできることあれば、しちゃうよ?」

 笑顔でそう言われても、何かその後の展開をどうしても予想してしまう。信用してないわけじゃないけど、上条さんは譲治とどこか似ている所があるから、タダでさえ混乱している現状をさらに乱しそうな気がした。

「うん、ありがとう。でも、本当に大したことじゃないし、上条さんも忙しいでしょ?」

「ううん、暇だよ? 暇暇星人襲来中だもん」

 どうしても聞きたいのか、ずっと僕についてくる。

「ねぇねぇ、大樹君、どこに行くの?」

「え? 教室だけど」

 ふーん。そっかそっか。上条さんは興味があるのかと思ったら、意外とさっぱりした答えだった。

「上条さんは?」

「へ? あたし? うーん、大樹君についていっちゃおうカナ」

 何それ? と聞いたところで大して意味はないんだろうな。上条さんのことだ。何をしてもきっとついてくるんだろうし。

「そういえば、上条さん」

「うん? 何々?」

 ついて来るなら来るで、一応聞いておこう。

「美紀たちを見なかった? 有美香と湊川さんに武士もどこかに行っちゃってさ」

 さっき何か走ってたから、もしかしたら見かけたかもしれない。何てわずかな可能性を聞いてみた。

「へっ? あ、えっとぉ、見てない、カナ?」

「そっか……皆どこに行ったんだろう……」

 さすがに何の音沙汰もないとなると心配にもなってくる。一人だと頑張らなくちゃって思うけど、上条さんがいるとちょっと弱気になってくる。

「……うん、そっかそっか。だいぶ弱くなってるんだ。うん、うん」

「え? 何か言った?」

「う、ううんっ、なんでもないョ、何でも」

 上条さんが何か言ったと思ったけど、良く聞こえなかった。

「ところで大樹君」

 上条さんが上半身をこっちを覗き込むように曲げてくる。横に括ってる髪がだらんと垂れてる。

「それ、何? 新しいオモチャ? ねぇねぇ、ちょっと見せて見せて」

 フリートーカーを見て、上条さんが腕を取ってくる。

「どうやって使うの、これ?」

 僕の事情なんてお構い無しだ。少しくらい皆のことを気に掛けてくれてもいいと思うんだけどなぁ。何だかんだで上条さんだって良く遊んでるんだし。

「えっと、簡単な無線機みたいなので、同じ周波数のフリートーカーなら受信して聞こえるんだよ」

 妙に上条さんが近くにいて、フリートーカーを珍しそうに見てくるから、何となくちょっと恥ずかしかった。

「ねぇねぇ、ちょっとやってみよーよ」

 きらっきらした目で見られる。譲治と一緒だ。結局自分が満足しないと煩いんだろうなぁ。

「少しだけだよ。譲治、聞こえる?」

 試しに譲治を呼んでみる。

《ん? 大樹か? どうした?》

「おぉ、ほんとに聞こえるっ」

 譲治の声が聞こえると、上条さんが僕の腕を自分の口の近くに持っていく。

《おや? その声は上条さんかい?》

「そーだョ。愛しの那美ちんだよっ」

《いや、別に愛しくはないんだけど……》

「えーなんでなんでぇ? あたし可愛いじゃぁん」

 自分でそう言うこと言うかな……。

《で、那美。お前大樹といるのか?》

 珍しく譲治がスルーした。ちょっとびっくり。

「うん、そだよ。ねぇねぇ、新しい遊びしてるの? 那美ちんも参加きぼーっ」

 あぁ、もぉ、ほんとにマイペースなんだから。今は遊んでるわけじゃないのに。

《残念だけど、フリートーカーはもうないんだ》

「えー、つまんなぁーい。私だけなまかはずれぇ?」

 仲間はずれ、ね。なまかって……。ってそうじゃなくて。

《まぁいい。暇なら那美、お前もクラスに来い》

「えっ? いいのっ!? 行く行くぅ」

 何で途端にそんなに嬉しそうにするんだろう。

《じゃあ、大樹、那美と一緒に来い》

「う、うん。分かった」

 そこでようやく腕が解放される。

「そー言えばサ、大樹君。これ、無線機ってことはぁ、チャンネルとかあるの?」

「え? あ、うん、今は十八番で譲治と琢磨と通信出来るよ」

 いきなりどうしてそんなことを聞くのか、不思議だったけど、上条さんのいつもの無意味なことなんだろうね、どうせ。

「へぇ……そなんだ」

 またもやのあっさりした答え。本当、上条産の考えていることはよく分からないなぁ。

「あっ、そうだっ!」

 急に上条さんが閃いたみたいに声を上げた。急な大声だったからちょっとだけびっくりした。

「ど、どうしたの?」

「大樹君、ごめ〜ん。あたし、用事があったの忘れてマシタヨ。ってことで、まったね〜っ!」

「えっ? ちょっ、か、上条さんっ?」

 いきなり上条さんが校舎に向かって走り出した。片手を上げて大きく手を振りながら、駆け出していく。理由を聞く間もなく、僕は思わず伸ばした手を、ゆっくりと引っ込めるしか出来なかった。

「な、なんだったの、今の……?」

 今の会話で何か用事を思い出すようなことって、あったのかな……。いつもながらよく分からない人だ。

 結局何が何だかさっぱり分からないまま校舎に入った。部活動生がちらほらいるくらいで、ほとんどの生徒は帰宅したみたいで、賑やかさはなかった。

「お、大樹」

「あ、譲治。ここにいたんだ?」

 靴を履き替えて廊下を歩いてると、階段を上がってきた譲治と出くわした。

「お前、那美と一緒じゃなかったのか?」

「それが、いきなり走り出しちゃって。たぶん先に校舎に入ったと思うけど……」

 その後の行方は分からない。大体、上条さんのことって譲治みたいな女の子ってことくらいしか分からないんだよね、僕。

「まぁあいつがいればいたで煩いだけだからな」

 人のことはそんなに言えないと思うけど、僕から言えることでもないかもしれない。

「とりあえず、あとは琢磨と合流するぞ」

「うん」

 譲治がいるだけで、さっきまでの孤独感も薄れる。譲治がいてくれれば、きっとどうにかなりそうだし。

「にしても、あいつらマジどこ行ったんだか」

「そうだよね、心配だよ」

「くそっ、俺に隠れて面白ぇことしてるんじゃないだろうな……」

 あれ? 何か違わないかな? 心配してるんじゃないの?

「そんなことしてたら、解散するぞ」

「えぇっ?」

 何て身勝手な。そもそもまだ発足してないし。テストも帰ってきてないのに。

《譲治、大樹、聞こえるかい?》

 琢磨から通信が入った。

「どうした? 俺と大樹はもう向かってるぞ」

《僕はもう着いてるよ。それよりもさ、全く話題は変わるんだけど》

「何?」

《今日ってさ、確か……あれ?》

 今日? 何かあったっけ?

「物忘れか、おい。呆けるには早ぇだろ?」

「いや、そうじゃないと思うよ」

 急に琢磨が不思議そうな声を出した。ちょうど僕らが階段を上がろうとした時に。

《え? な、何だい? そんな勇みだって……って、ちょっ、な、何っ?」

《しゃらくせぇっ! 突撃だぁっ!》

《おーっ! なのですっ!》


 ―――プツ。


 そこで通信が突然切れた。

「琢磨? どうかしたの?」

 …………。

「返事がないな」

 またいきなりのことで、今度は琢磨との通信が断絶した。譲治を顔を見合わせる。

「またか」

「みたい、だね」

 立て続けに通信が途絶えていく。

「でも、教室にいるって言ってたし、行ってみようよ。今なら間に合うかもしれないし」

「そうだな」

 何が起きてるのか分からないけど、教室まではそう遠くない。何かが分かりそうな気がした。階段を上がって廊下の角を曲がる。その時だった。

「譲治っ、あれっ?」

 僕らの視界の先、黒ずくめの二人が琢磨を担ぎ上げていた。

「何だ、あいつら?」

 突拍子もないって言うか、予想にもなかったことに、二人して呆然としてしまう。大きな黒ずくめの人が琢磨を担ぎ上げて、小さな黒ずくめがトコトコとそれについて行ってる。何か妙に凸凹な二人だ。

 小さなほうがこっちに振り返った。何か奇妙なお面みたいな顔がこっちを見た。

「何か、変な人たちだね……」

「趣味悪ぃな。あいつ」

 例えようのない、強いて言えば見ていて何故か哀しくなるような、切なさのある顔。

得体の知れないものへの恐怖とかよりも、呆然としてしまう。

「はわぁっ!? 後ろにバレてますですっ!」

「何っ? ちっ、走んぜっ!」 

「は、はいっですですっ!」

 と、いきなり反対側の方へ背中を向けてそれが走り出す。そっちにも階段がある。と言うか、今の声、何か聞いたことがるような気がしたんだけど……まさかね。

「大樹っ、追うぞっ!」

「う、うんっ」

 考える暇もなく、譲治が急かす。慌ててそれに続く。

「どうやら、あいつらみたいだな、美紀たちを連れて行ったのは」

「そうみたいだけど、あれって……」

 どうしてだろう? 何かあの二人の背中と凸凹さを見ていると、さっきまで考えてた不安とか悩みとか不思議と湧いてこない。それに担がれてる琢磨も助けを求めるとか声を上げてない。もしかしたら気絶でもさせられた? そんな危ない人には見えないんだけど、どうしてか。

「って、待てっ、大樹っ」

「えっ? な、何?」

 急に譲治が僕の腕を引張って止める。ぐりんと体が半回転した。

「あれを見ろ」

 腕を掴まれたまま、校舎の窓を譲治が見る。

「あ、大和さん。……ん? 何だろう? あの箱?」

 校舎にいたって連絡があった大和さんが、両手に白い箱を抱えて寮の方に歩いていた。

「よし、追うか」

「えぇっ? 琢磨は? それに皆のことはどうするのさ?」

 興味の移り変わりが速すぎる。目の前に琢磨が連れ去られてるって言うのに、よくそんなことを言えるね……。

「俺たちのもともとの任務は何だ?」

「え? えっと……大和さんの素性調査?」

 いきなり譲治が真剣な眼差しで僕を見てくる。思わず息を呑むくらいに真剣だった。

「だろ? よし、追うぞ」

「って、待ってよっ! そうじゃないよねっ今はっ」

 意味が分からない。それとこれとは別じゃないか。って言うより、そんな状況じゃなくなってるんだし。

「……じゃあ、大樹、お前に琢磨は任せる。俺は奴を追う」

「え? えぇっ? む、無理だってっ! 僕一人でどうにか出来るわけないよっ」

 少なくとも、琢磨を担いでいる人には体格差がありすぎる。

「大樹、よく聞け」

「え? うん……?」

 譲治が肩に手を置いてくる。

「人生、何事も無理と思った時点でそれ以上、何も出来なくなるもんだ、人間」

 突然始まる譲治劇場。僕は聞くしかない。

「自分の限界を決めると、そこで何もかもが終わっちまう。でもな、人間、そうそう限界なんて来るもんじゃない。それ以上はやりたくない、面倒臭い、疲れる。ただ、そんなちっぽけな理由で人間は勝手に限界と勘違いしちまう」

 真剣に語られると、言い返す言葉が浮かんでこない。いや、その前にこんな所でそんな話をされても、そう言う状況じゃないと思うんだけど。

「つまりだ。人間の限界を決めていいのは、自分じゃない。自分を良く知る奴こそが、そいつの本当の限界を知ってる。諦めたらそこで終わりなんだよ。負けてもいい。勝てなくてもいい。追いつけなくてもいい。ただ、そこに食いついて、最後までやり通すことこそが、真に自分の力になるんだ」

 ……そう言われると、そうなの、かな。確かに自分で限界だと思うと、それ以上はやる気もなくなっちゃうし、映画とか漫画でも、周りが励ましてくれるからやり遂げられたりするよね、確か。

「大和を相手にできるのは、この俺だ。だから大樹、俺はたとえこの身が滅ぼうとも、奴を追う。お前は仲間のことを信じてやれば良い。俺の分まで仲間を信じて、最後まで闘え。お前が闘う限り、俺たちはいつまでもお前の為に闘えるんだ」

 うっ、そう言われると、何か恥ずかしい。でも、僕が頑張らないと皆も頑張れないってことだよね? 逃げてばかりじゃない。少しでも頑張るんだ。皆が待っているなら、僕にだって出来ることがあるってことなんだよね。

「よし、大樹、やってくれるな?」

「う、うんっ。僕、やってみるよ」

「さすがは大樹だ。だから俺はお前が好きだぜ」

「ぼ、僕もだよ」

 面と向かって言われると、恥ずかしい。そんなつもりじゃないって分かってるけど、どうしてか、照れる。

「よしっ、後で落ち合うぞ、大樹」

「わ、分かった。譲治も気をつけてね」

「ああ。任せろ」

 そして僕らはお互いに背を向けて走り出す。振り返ることなく、ただ、仲間と言うお互いを信じて、また笑顔で再び集えることだけを考えて。

「あ、あれ……?」

 でも、僕の足はすぐに止まった。振り返ってみたけど、もう譲治の姿はない。そして、もう一度振り返る。そこにはもう、あの凸凹の黒ずくめの人もいない。訪れる静かな時間に、高ぶった感情が、急速に冷たくなってきた。

「も、もしかして、僕、乗せられた、だけ?」

 ぽつんと一人取り残された。いつの間にか誰も生徒がいない。遠くの吹奏楽の演奏と運動部の掛け声が、夕陽に寂しさを醸す。

「うぅ、ひどいよ、譲治……」

 よく考えれば、ただ譲治は興味が向いたほうに、いつも通りに行っただけじゃないか。余計なことを僕に押し付けて。

「どうして皆、こんなにマイペースなのさ……」

 何かもう、走る気力がなくなった。

「はぁ、行くしかないんだよね、どうせ……」

 熱い気持ちもどこへやら。出てくるのは、また填められたというため息だけだった。

 廊下を歩く。何かもう、走る気力がなかった。とりあえずあの黒ずくめの二人組みが連れ去った琢磨を呼んでみた。

「琢磨、聞こえる? 聞こえたら応答して」

 でも、案の定、何も返答はない。琢磨なら何かしら手がかりを残してくれてそうな気がしたんだけど、下りていく階段には、何も残ってなかった。

「譲治、そっちに琢磨はいない?」

 譲治の話術のせいで時間を浪費した。もう手がかりはない。ひとまず譲治の方にも何かないか聞いてみる。

「譲治?」

 でも、聞こえているはずなんだけど、返事はない。

「譲治、聞こえてる?」

 何度か譲治を呼んでみるけど、何も返事がなくて、ただデジタル時計が時を刻んでいるだけ。

「もしかして、譲治も……?」

 連れ去られた? こっちに連絡する暇もないままに拉致されたのかな? 

「譲治、応答してっ」

 そんなはずがない。だってあの譲治だ。いつも人より何歩の先を読んでいるのかどうかよく分からない考えを持ってる譲治があっさり捕まるはずがない。

《ガガー……ピー……》

 その時、返事の変わりにあからさまな人の声が聞こえた。この通信機でそんな雑音は流れてこないし。

「譲治?」

《チャラリチャッチャリーン》

 え? 何? 今度は変な声になった。もしかして、からかわれてる?

《ふぁっふぁっふぁっ。聞こえているか? チャンネルはあっているか?》

「え? 誰?」

 普通はしないような笑い声の後、女の人の声でそう無線が入ってきた。

《ふむ、聞こえているな、片桐大樹君》

「だ、誰?」

 いきなり名指しで呼ばれてその場で立ち止まってしまう。

《た、大樹っ! 俺だっ! 聞こえてるのかっ!》

「え? 譲治? 譲治なの?」

 少しだけ遠い声で譲治の声も聞こえた。

《煩い奴め。おい》

《へい。静かにしてやがれっ》

 また別の声が聞こえた。

《ぐあああああぁぁぁぁっ!》

「じょ、譲治っ!?」

 でも、誰かと考える間もなく、譲治の叫び声が響く。階段の踊り場で余計に響いた。

「譲治っ? どうしたの? 何があったの?」

 大和さんを追っていたはずなのに、聞こえてくる中に大和さんの声は聞こえない。

《やれやれ。やっと静かになったか》

「譲治っ? どうしたの? 返事してってばっ」

 女の人の声だけが聞こえてくる。譲治の身に何が起きているのか、僕は何度も呼びかけるけど、譲治の声は返ってこない。

《さて、片桐大樹君。もはや君を残すのみとなってしまったのだよ》

 僕の呼び声は無視されて、一方的に話が入ってくる。

「だ、誰なの? 譲治は? 譲治は無事なの?」

 さっきの黒ずくめの二人組みといい、譲治のことが心配になってきた。

《奴には眠ってもらっただけだよ、片桐大樹君》

 何故かいちいち僕のフルネームで呼ぶ無線の相手。聞き覚えがない声で、大人の人にも聞こえる。それにどうして僕のことを知っているのかも分からない。

《さぁ、さぁさぁ、どうする? もう君を残すだけだ。君の仲間は部下たちに身柄を拘束させてもらった》

 皆ってことは、やっぱり急にいなくなった皆は、この無線の先に入る誰かに連れ去られたんだ。やっぱり不安が的中したんだ。

《声を聞きたいかね、片桐大樹君》

「い、いるのっ? みんな、そこにっ?」

《良いだろう。冥土の土産にとくと聞くが良い。……はい、美紀たん》

《……え? ほ、ほんとに良いんですか? これでは大樹さんに……》

《……良いから早く早ぅ》

 何か随分と小さなやり取りが聞こえているんだけど、良く聞き取れない。

「ねぇ、良く聞こえないよ。誰かいるの?」

 固唾を呑んで待つ。心臓が嫌に早く脈打ってる。

《……良いから、やってやれって》

《……知りませんからね。……た、大樹さん》

「美紀? 美紀なの?」

 微かに聞こえた僕を呼ぶ声。昔から聞いている美紀の声だから、間違えるはずがない。でも、美紀の声、至って普通に聞こえた気がする。

《……はい、次》

《ふわわっ! わ、私ですですかっ!?》

「え? 有美香?」

 有美香の声が聞こえた。どうしてか自分でびっくりしてる声だったけど。

《……よし、次》

《か、片桐君、聞こえているのかしら?》

「湊川さんっ? 大丈夫?」

 聞こえてきた湊川さんの声は、少し緊張してるみたいだった。やっぱり危ない人たちに連れ去られているのかな?

《……ほい、次》

《おうっ、俺だぜっ!》

「武士? 大丈夫? 何か随分元気そう……?」

 武士の声は一番はっきり聞こえた。しかもいつもの口調で。何が起きているのかどんどん分からないんだけど。

《……んもぉ、じゃあ、次》

《んっ、んっ。大樹、僕だ、悪いこ……は、言わ……い。早く……逃げ、る……だ……》

「え? 琢磨? どうしたの? 何があったの?」

 少しだけ聞き取りにくかったけど、琢磨の声だ。苦しそうだったけど、逃げろって言っているのかな?

《……うんうん、ばっちし。さぁ、締めだよ》

《……任せろ。……大樹、すまん》

「譲治っ? 気がついたの?」

 さっき気絶か何かされたっぽい譲治の声も聞こえた。

《ん? ……あ、あぁっ、だ、大丈夫だぞ?》

 あれ? 神妙な声がいきなり同様に変わった。しかも、何か変に慌ててるような感じがする。と言うか、何か変じゃないかな? こっちの質問に誰も答えてくれない。普通ならきっと何か言ってくれると思ったのに。

《さ、片桐大樹君。分かったかな? カナカナ? キミの大切なお友達は、私の手の中に落ちたのだよ》

 考える間もなく、またあの女の人の声。

「何が目的なの? どうしてこんなことをしたの?」

 それが分からない。僕らに敵意を持っていることは一つなんだろうけど、その割にはあんまり危害を与えられてるような気がしない。譲治だけは何かされたみたいで心配だ。

《へっ? 目的?》

 素っ頓狂な声がスピーカーから聞こえた。しかもさっきまでの女性の声じゃない。僕らと同じくらいの女の子の声だった。

《え、え〜っとぉ……》

 考える声に、僕は不自然さを覚える。何か聞いたことのある声と言うか、その口調。

《……お、おい、那美。そこは適当で良いんだよ。悟られるなよ》

「え? 何? ごめん、良く聞こえない」

 何か話し声が聞こえたけど、はっきりとやっぱり聞こえない。

《……う、うんっ。んっん〜。聞こえているかな、片桐大樹君》

「え? 聞こえてるけど……」

 取り繕う声。何か話し合ってるみたいだ。

《私たちの目的は、君なのだよ》

「え? 僕?」

 僕が目的? どういうことなんだろう? それに僕が目的なら、どうしてみんなを連れ去るような真似をするのか、全然分からない。

《そう、君なのだよ。これは通告だよ。これから我々は君を攫いに行く。仲間を無事に助けだせるか、我々に捕らえられ、二度と下らない活動が出来ないようになるかは、君にかかっているのだよ》

「え……?」

 突然の要求のような通告。やっぱり僕らに嫌悪する人たちの仕業らしい。それなのに目的は僕で、皆を助けるか、発足も出来ていない活動を停止させられるかの選択を通告してきた。

「どういうこと?」

《そういうことだよ、大樹君。さぁ、時間はない。もう私の所から刺客を放った。君が捕まるのも時間の問題かもしれないね。どうするかな? すでに匙は投げられたのだよ》

 聞こえてきた声に、思わず首を傾げてしまった。

「え? 匙を投げたの? 賽は投げられたじゃなくて?」

 何もしてないのに、相手は諦めたのかな? 

《へっ? あれ? そだっけ?》

《……あなたね……》

《……最後の最後に見事にすべったね》

 何だろう。何か失望されている、女の人が。スピーカーの向こうの妙な小声と沈黙に、やっぱり不安より疑問と不穏が大きくなる。何か変だ。少しどころじゃない。明らかにおかしいと思う。学園内で皆が拉致された以上、きっと学園内の人間の仕業だとは分かるけど、それにしても計画性に欠けているというか、指導者なのか、僕と対話している人が、どちらかと言うと目先だけで動いているような。

 そして、そう言う人を僕は知っている気がする。後先考えないで、今を突っ走ってる人を。幸い同じ女の人だし。あとは、あの黒ずくめの正体と、大人の女の人の声の正体さえ掴めれば。

《ま、まぁっ、細かいことは気にしないっ! 細かいことを気にしてると、男の子になれないよっ。さぁ、大樹君、勝負するかい?》

 全く別の意味だと思うんだけどなぁ。と言うか、僕男だし。今更女の子になる方がありえないんだけど。それに勝負なんだ、これ。ほんとに相手はマイペースな人だ。

でも。やるしかないかな。皆が安全かよく分からないし、やっぱり心配だ。

「うん。分かった。僕が助け出せば良いんでしょ?」

《そーそー。こっちが先に捕まえるか、救い出すか。それで大樹君の大事な同好会の運命が決まるのだよ》

 そういわれるとちょっと複雑。僕にとって大事なのは同好会ってワケじゃ……ないんだけど。

《じゃあ、始めるよ。あたしからの風を受け止められるかな?》

 スタートの合図なんだろうけど、いまいち踏ん張りにならない開始の合図。

「負けないよ。皆は絶対に助け出すから」

 こうして、僕と誰かの奇妙な勝負が始まった。あんまり乗り気じゃないんだよね、でも。











 


 〜ユースウォーカーズのユーズウォーカーズによる片桐大樹の為の青春〜







 ※今回はあくまで番外短編です。物語に関して多少の関わりがありますが、特に読まずとも本編には影響はございません。


 一部内容が壊れています為、本編をお楽しみにされている方への閲覧をおススメしてはおりません。


 それでも読みたいと言う方は、この後をご覧下さい。そうでない方は、次回更新まで本編及び、他作品をお楽しみくださいませ。


 なお、全く関係ないこともありませんが、本作及び、ともみつが執筆する「明日の君へ」「If ―the letter for you―」は、現在十一月末日までアルファポリスで開催される青春大賞にエントリーしております。差し出がましいことではありますが、ぜひ、ともみつの作品へ投票していただけますよう、お願い申し上げます。

 今後の作品作りへの調べにもなりますので、ご協力をよろしくお願い申し上げます。



 では、番外短編をご覧になりたい方は、続きをどうぞ〜。




 







 あ、ちなみに番外短編は前後編仕立てです。










 え? じゃあ、短編じゃない?










 まぁ、そうですね。










 でも、良いじゃないですか。











 前編も一つの話











 後編も一つの話











 それぞれ独立してるってことで、ね?











 それでも苦情ある方は、ここでご退場しても構いませんよ。










 まぁ、短編なんて所詮は託です。










 とにかく、番外編と言うことで、始まります。

 























 それは、深夜とは言えず、しかし学生、もとい寮生活を送る学生にとっては消灯を過ぎた深夜でもある午前零時。明日の学園生活の為に寮には明かりがわずかに灯るのが、外観から見て取れる。

「……大樹、今日も大変だったね」

 軋むベッドから下り、忍び足で暗室を歩くのは琢磨。下のベッドにはとりあえず本編主人公の片桐大樹が男にしては可愛らしさのある寝顔を見せている。

「……それじゃあ、行ってくるよ」

 寝静まる室内に琢磨は振り返り、そう呟く。返事はない。ただ静かな寝息が規則正しく繰り返されている。起きないことを確認すると琢磨は部屋を出た。


「ゆみちゃん……ゆみちゃん……」

「んみゃぁ〜……すすぅ〜……」

 寝静まる女子寮。きっちり時間通りにベッドを降りた美紀。十時には一度二人は就寝についた。明日の為に少しでも仮眠を取ることを忘れてはいなかった。

「ゆみちゃん、起きて。時間だよ」

 誰と接する時よりもリラックスしている美紀。それに体を揺さぶられつつ、なかなか起きない有美香。

「ふぁぁぃ……らいしょーぶれふぅ……んみゅぅ〜……」

 愛らしいパジャマに三角帽子とぬいぐるみを抱く有美香。美紀は既に私服に着替え、有美香を起こす。

「ゆみちゃん、大和さんの所に行くんだよね? 起きないと」

 時計の針は集合時間の十五分前。余裕はある。仮眠の美紀と本睡眠に入った有美香。心地良さそうに眠る有美香に、美紀は声を掛けることを諦めた。

「……私、一人で行ってくるね。おやすみ、ゆみちゃん」

「すみゅ〜……んぅ〜……」

 気持ち良さそうに寝ているなら仕方が無い。美紀はそう判断して部屋を後にした。


「あら、もう時間だったのね」

 暗室の二部屋とは異なり、未だに本日が終わらない部屋。明かりが灯り、窓際の二つの机ではノートを走るペンの音。それ以外はたまに椅子の背も足りが軋む程度で、虫の音が静かに響く程度の静けさだった。

「……どうかします?」

 二人してラフな格好ではあるが、可愛らしさを忘れない、部屋でもお洒落には気を使う二人。

「どうかしましたか? でしょ。悪いけれど、少し用事があるの」

 麗香は参考書を閉じる。この部屋だけ受験と言う最終学年を忘れてはいなかった。

「夜這い、です」

「違うわよ。と言うか聞きなさいよ、そこは」

 七夕奈の相変わらずの口調に、麗香も未だに反応してしまう。

「……夜這い、だったんですか?」

「聞き直さないで。しかも過去形じゃないわよ。ちょっと呼ばれているの」

 分かっている上でのノリ。勉強に沈黙を保っていた室内に、休息の時が流れる。

「……どちらへ?」

 いそいそと身支度を簡単に整える麗香に、興味でも湧いたか、七夕奈が首を傾げる。疑うわけではない瞳に、麗香が小さく息を吐いた。

「同好会よ。何か話があるから集合って言われたのよ」

「……ふーん」

 聞いておきながらの冷めた反応に、麗香が言葉を上手く出せないでいる。

「興味ないなら聞くことはないんじゃないかしら?」

「……と神はお手洗いへ向かいました」

 今度こそ、会話が止まる。どう反応するべきか。どう突っ込みをされるのだろうか。お互いの思惑が交差―――するような気がしないでもない、この居心地の悪い空気。

「ま、まぁ、そう言うわけだから、行ってくるわ。そう遅くならないと思うけど、先に休むなら休んでいて」

「……分かりましたか?」

 肯きつつの問いかけ。七夕奈の性格把握した。分かっているけど、何だろう、この胸の奥にざわつく気持ちは? 何か落ち着かない。むかむかする。でも、言葉にしたら相手を傷つけるかもしれない。せっかく同室を許可してくれて、色々と教えてくれた。そんな人を傷つけても良いのか? 許してくれるだろうか? 追い出されないだろうか? そんな様々な心の憶測が飛んでいるかはともかく。

「ええ、分かったわ。だから、行ってくるわ」

 麗香は受け流すことにして部屋を出る。

「……行ってしまいましたよ?」

 誰の返答も得ない静かな室内で、それを見送る七夕奈は、虚空に向かってそう呟き、再び勉強机に向かった。


 一見静かな室内。しかし、それは束の間の夢だと、聞こえてくる地鳴りのような声、二つ。

「がああぁぁ〜……ごぉぉぉおおお〜……」

「ぐうぅぅぅ〜……がああぁぁぁぁ〜……ぶ」

 声に混じる一つの噴出し音に、いびきが一瞬静寂を見せる。

「……ぐおぉおぉぉぉ〜」

「……がぁぁぁ〜ごぉぉぉ〜……ぷ、ぶぷっ……ぷぅ」

 再びそれは室内に響く。最後は妙に甲高い音で。

「が、がぁぁぁ〜……すぅぅ〜……」

「うごおぉぉぉぉ〜……ぶぷ……ぷぅ〜……ばぶふっ」

「うっ……だぁっ! くっせぇんだよっ!」

 ただでさえ室内は汗臭い男の部屋。その中には脱ぎ捨てられたシャツに、学ラン、タオルが散らかり、食い散らかしたお菓子などの袋、飲み物の空き缶などがあり、普通に不潔だ。

 その中に香る、ある意味香ばし―――忌み嫌う匂いに、譲治が飛び起きた。

「お前何食えば、んな臭ぇ屁が出んだよっ!」

「……おっ? もぉ……ランニングの時間か?」

 有美香とは異なり、さほど寝起きの悪くなさそうな武士。

「ってくっせぇぇぇっ! 何の臭いだっ!? ガスかっ? 毒ガスかぁっ!?」

 自分でこいたものと言う記憶はないらしい。

「お前の屁だっつーのっ」

 二人してベランダから夜風を吸う。

「はぁ? 俺の屁はフローラルな香りしかしねぇよっ! 毎晩フローラルプロテイン飲んでんだから、花の臭いがすんだよっ!」

 意味の分からない論理を披露する武士。

「しねぇよっ! お前晩飯カツ丼にから揚げ、豚汁食ってただろ。肉臭ぇ屁しかねぇんだよっ」

「んなわけねぇだろうがよっ! てめぇが寝ぼけてこいただけだろうがよっ! 人のせいにすんじゃねぇよっ!」

 ベランダで加熱を始める馬鹿二人。

「そりゃお前だっ! 大体部屋が臭ぇのはお前の汗が原因だろうがっ。部屋で筋トレしてんじゃねぇよっ」

「あんだとぉ? 俺の青春の汗を馬鹿にすんじゃねぇぞ、てめぇ?」

「やるってのか? たかが筋肉がちょっと育ってるだけのてめぇが?」

「あぁっ? 筋肉馬鹿にするやつぁ、筋肉成敗してやんぜ、こらぁっ!」

「かかってこいよっ、誰が最強か教えてやるぜ」

 狭いベランダに男二人が戦闘体勢を取る。その横には物干しに干されたトランクスとゴミ袋が一つ。闘うにはむさくるしい。

「うっせぇんだよっ! てめぇらっ! しばくぞ、こらぁっ!」

 と、遠吠えする犬の声を打ち消し、雲すらなぎ払う怒声が二階下、一回から響いた。

「うげっ! 戦艦野郎っ」

「んな時間にうっせぇだろうがっ! 騒いでる暇があんなら、とっとと来いこらっ!」

 さて、うるさいのはこの際どちらだろうという疑問は、常識のないこの三人には当てはまらないことであり、寮監大和の怒声に、譲治が思い出したように声を上げた。

「やっべっ! おい、武士。時間だっ! 急げっ! マジ絞められんぞっ」

「お、おぉっ! そういやそうだったなっ! よし、譲治っ、この勝負、授けるぜっ!」

 預けるべきだろう。戦いを授けて何になると言うのか。

 ともあれ、午前零時を回った頃、未だに発足しないユースウォーカーズの面々は、それぞれがそれぞれの時間から、静かに部屋を後にしていった。

「うぅ……やっぱし寝る前にミルクティーボトルで空けるもんじゃないデスネェ」

 その頃、一人部屋を出た那美が手洗いに廊下を歩いていた。

「およ? あれは、麗たんじゃあ〜りまセンカ? おーい、麗た―――……ん?」

 那美が麗香の後姿に声を掛けようとして、不思議そうにその声を落とした。

「あっちは男子寮、だおね……?」 

 そそくさと男子寮へと階段を下りていく麗香に、那美はすっかり目的をはき違え、その背中を静かに追う。

「およよ? こんな時間に男子寮になんて……はっ!? もしかして夜這いっ!?」

 一人の勝手な推測を止める者などいない。

「こ、これは事件の臭いが……臭い、これは臭いデスョ。那美ちゃんレーダーにビンビン怪しい臭いが……ってほんとに臭っ!?」

 何故か身を隠しつつの尾行。しかし、その時、那美のレーダーとやらは不穏な臭いを感じ取ってしまっていた。

                                     前編  了










今回は長かったかと思いますが、番外短編で別視点での補足分を補う形で展開させています。


次辺りで密偵大作戦は終われるかなぁって感じです。



次回更新予定作は、「ハウンと犬の解消記」を5日に、7日に「明日のキミへ」を更新します。


 何度も目にしているとは思いますが、今月は青春大賞期間なので、本作、明日のキミへ、Ifを中心に更新を繰り返させて頂きます。


 折を見て、大々的ではない作品も併用して更新しますので、お楽しみに。


 それから、ついでごとですが、本日中に三世界戦争も更新します。三世界戦争は、一応これで世界観を終わらせ、本編へと突入させる予定です。

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