第六十二章「カサVSまぐろ3」
ヒラメ「ふあぁ……。」
ハツガ「……眠い?」
ヒラメ「ハツガ……いえ、私なら大丈夫ですわ。」
ハツガ「夜更かしはお肌の天敵。横になって。」
ヒラメ「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて…………あっ、布団をかけてくれますのね……って、なんですのそれ!?」
ハツガ「イツキのパンツ。」
黒い雪原編
第六十二章「カサVSまぐろ3」
「はぁ……はぁ……!」
そこにいるのは息切れをしている少女。
どこもかしこもボロボロで、彼女は今にも倒れてしまいそうだった。
「はっ……はっ……。」
一方、こちらの少女は別段傷付いているわけではなかった。
しかし、苦しそうに目の前の少女を睨み付けている。
黒の闘技大会、二回戦。
カサVS神崎まぐろの試合は終盤に近付いていた。
「……いい加減……はぁ……倒れたらどうですか……?はぁ……。」
息を整えながら、まぐろはカサに言った。
「そっちこそ……負けを認めたらどうだ……?」
消え入りそうな声を出すカサ。
遠いところにいる観客ですら気迫を感じる。
それほど二人は力強く踏ん張っている。「諦める」なんて考えていないのだ。
「まぐろ……そろそろ……終わりにしようではないか……。」
「…………あはは、もう終わりですか……?」
「……立っているのもやっとのはずだ。」
「…………はい……。その通りです……けど……。けど、私は立ち続けます。たとえ倒れようとも…………私は、……起き上がりま……す……。」
ふらぁ……っと倒れていくまぐろ。
……限界が来たのだろう。
まぐろは力無く倒れた……と。
誰もが思った。
「ぎぃっ……!!!」
噛みしめて、一歩。
前に出したその右脚は、まぐろが倒れるのを阻んだ。
「戦うんです……私は……!」
「戦う……だと……?」
「……はい……私は、私は霧雨先輩と戦う……!!強さを、認めてもらって…………私は、私は!!私は霧雨の隣で戦いたい……!それが……私の思うタッグだから……!!」
「………………気持ちは分からんでもない。それなら……お前のありったけの力で!!私を倒してみろ!!!」
カサは叫ぶ。呼応するように。
「私も負けるつもりは端からない!!私だって……!!私だってイツキの横で戦いたいんだ!!!」
「な、なんでカサさんが……!」
「仲間だからだ!!」
「……!」
「私はイツキのタッグではない、だが共に戦う仲間だ!遅れをとるのは御免なんだ!!だから、私は!!!」
「ここで頂上を獲る!!!」
ビリビリと伝わる気迫。
……そうか……。
まぐろだけではないのだ。
カサも……いや、もしかすると他の者にも同じ気持ちを抱いた者がいるのかもしれない。
イツキの背中を追うのではなく、隣で共に歩いていく。
「言ってはいけないのだろう。だが、私は今、同盟よりも。」
カサはここで大きく息を吸った。
「あいつに、私の事を見てもらいたいんだ!!」
「…………え、あっ……そ、そうですよね……?」
一瞬の戸惑いを見せるまぐろ。
……何だか別の意味とはき違えられそうだが……大丈夫なのだろうか?
「だからこそ、負けられない。」
「……分かりました。それなら、私も全力でカサさんを倒します。……提案に乗らせていただきます。」
「提案?」
「はい。カサさんが言った様に、立っているのもやっと。ですから……これで終わりにします。」
まぐろは剣道の構えをとった。
「……成程。」
カサはそう言うと、槍を構えた。
お互い、これで最後にする。
「いかせてもらう!!!」
「来てください!!!」
「おおおオオオオォ!!!!!」
駆けるカサ。
カサはただ一点。
集中して一突き。
「…………ふっ!!!」
まぐろは。
待ち構えて一振り。
………………。
観客、イツキ、そして仲間達でさえ、黙って見守っていた。
静寂の中。
音だけが。
…………カサが倒れる音だけが、イツキの耳に届いた。
こんばんは、アフロ月です。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
カサの想い。まぐろの想い。
強い想いがぶつかりあい、それぞれがその想いを吐き出しました。
勝つのは果たして……?
まだ、カサは立ち上がることが出来るのか。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。




