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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
黒い雪原編
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第五十章「闘技大会、開幕!!」

イツキ「ふぅ……もう少しで対戦カードが発表されるのか……。少し急ぐか。」


ミノリ「……。」


イツキ「……ん……?今ミノリさんが通ったような…………いやいや、ここ男子トイレだし。さて行くか。」


ドッッ!!!


イツキ「ふぎゃ!!」

 黒い雪原編

 第五十章「闘技大会、開幕!!」




 黒の国傭兵育成機関「闇夜やみよ一星いちほし」で開催される闘技大会。

 1対1のトーナメント制の勝負をし、勝ち上がっていく。

 黒との同盟を組むために、大会で優勝を目指すことになった霧雨一行。

 選抜メンバーのカサ、まぐろ、犬槇いぬまき、ハツガは控え室に居た。

 椅子に座っているまぐろが、一つ溜め息を吐いた。


「はぁ……緊張するなぁ……。」

「む。そういうときは、手のひらに人という字を三回書いて呑む……と聞いたことがある。」

「カサさん……すみません、私もう30回くらい書いてます。」

「……。30人も呑むなんて、怪物みたいだな。」

「なんですかその喩えは……。」

「すまない、イツキのような返しは難しいな。」


 選ばれた、そして優勝という大きな目標が掲げられているだけあり、緊張は頂点に達していた。

 一方、犬槇いぬまきは比較的落ち着いている。


「ハツガさん、さっきからずっと黙ってますね。緊張してるんですか?」

「…………。」


 ふるふると横に首を振るハツガ。


「すごいですね。俺も、長の会合がある時程の緊張感じゃないので、あいつらに比べたら落ち着いてます。」

「……聞いてない。」

「し、辛辣ですね。」


 犬槇が苦笑する。

 すると、扉からノック音が聞こえてきた。


「邪魔するぞ。」

「日光先生!皆さん!」


 まぐろが一番に反応した。

 ぞろぞろと部屋に入ってきたのは、霧雨一行の仲間達だ。


「応援しにきてやったぜ。」

「緊張しておるかの?」

「うっ……当たり前ですよ。」


 日光や茶々猫が、まぐろに声をかけた。


「お嬢ちゃん、大丈夫!俺が応援席でバッチリ応援してやるから!」

「はい……!」


 親父の大きな声も、今は心強いかもしれない。

 まぐろは感謝を込めて、笑顔で返した。


「……あれ?イツキがいませんわよ?」

「霧雨先輩なら、お手洗いに行くと言ってました。」


 キョロキョロしていたヒラメが口に出したのはイツキの事だった。

 霧雨一行のリーダー、霧雨イツキ。

 選抜メンバーに選ばれた……というか指名されていたイツキだが……トイレにしては少し遅いような……。


「大だな。」

「大だね。」


 親父とくれないがからかう。


「もう……。でも確かに遅いですね。」


 不思議に思っていると、またもノック音がした。


「失礼。」


 男の声。まぐろは見たことないが……何人かの顔付きが変わった。


「スギネ殿!」

「スギネ……?」


 カサが言ったのは、スギネという……恐らく男性の名前だ。


「やあ、カサ。」


 カサとは知り合いのようだ……。

 カサが立ち上がって、近くの椅子へと促す。


「どうぞ、こちらにお座りになってください。」

「いやいいよ。ありがとう。」

「スギネではないか!久しぶりだのう!」

「お久しぶりです、犬槇です。」

「…………すぎね。」

「スギネさん……?どこかで聞いたことがあるような……。」


 こぞって反応したのは、茶々猫や犬槇、ガウラ、そしてヒラメ。


「皆さん、これはこれは……ああ、ヒラメさん。勘違いではないよ、会ったことがあるから。」

わたくしの名前まで……!?」


 …………盛り上がるのはいいが、おいてけぼりを食らっている面々はどうしたら……。


「カサさん……この方は……?」


 まぐろは近くのカサに尋ねた。


「ん……ああ、初めての者もいるのだな。彼は黒の国傭兵育成機関『闇夜やみよ一星いちほし』長、スギネ殿だ。」

「お、長の方でしたか……!!」


 突然の大声に一瞬空気が静まるも、スギネが「ははは」と笑ってくれた。


「初めまして。闇夜の一星長、スギネです。」


 気さくな人で安心した。

 ……まぐろが今までに出会った長というのは、少し個性が強かったので心配だったのだ。


「スギネ殿、何をしにこちらへ?」

「イツキ君に言いたい事があってね。……彼は?」

「あ、霧雨先輩なら先程からお手洗いに行ってますが……。中々帰ってこないんですよ。」

「大だね。」

「……はい?」

「いや、なんでもないよ。彼も緊張してるんじゃないのかな。」


 ……スギネも少し個性が出てきた?

 折角普通の人が出てきたというのに、やめてほしい。


「じゃあ。皆さんに。」

「はい。」

「こちらも精鋭を揃えている。そう簡単に優勝は譲らないからね。」

「はい。こちらも負ける気はありません。」

「……まぐろさん、だったかな?」

「えっ……あ、はい。」

「聞いていた通りの女の子だと思っていたが……少し違ったようだ。楽しみにしてるよ。じゃあね。」


 スギネは控え室を出ていった。


「……ふぅ。」

「やはり長相手は緊張しますわね。」

「はい……。あ、そろそろ対戦カードが発表されます。リモコンはっと……。」


 まぐろはテレビのリモコンを持ち、電源を押した。

 控え室にはテレビがあり、試合等が中継されるのだ。


「勿論、わたくし達は応援席で応援いたしますわよ!」

「ありがとうございます、ヒラメさん。」


 テレビで対戦カードが発表される……。


『やってきたぜ野郎共!!黒の闘技大会!!開催だあぁぁぁぁぁ!!!!!』


 陽気な司会者だなぁと思いながら、皆はカードを心待ちにしていた。


『司会と実況をするのは俺!!ムサシ!!!解説には長のスギネさんが来てくれたぜぇ!!!』

『はぁ……はぁ……どうも……。』

『息あがってますねぇ!!そんなに楽しみなのですかい!?』

『…………はい……。』


 ……走っていったのだな……。

 まぐろは頬に汗をたらした。


『今回は特別に、スギネさん推薦のゲストが参加するらしいな!皆、楽しみにしてろよ!?』


 歓声が上がる。

 テレビからではなく、直接耳に届くほど、歓声が上がっていた。

 控え室にまで響くほどの声……沢山の人がいるのだろう。


「うわぁ……。」


 まぐろは思わず声に出してしまった。

 鼓動が早まった。


『ルールといこうか!総勢32名で行われる闘技大会、1対1で勝負をして勝った方が上にいくというシンプルなルールだ!!』

『勝負というのは?』

『黒らしく戦いだ!!決着方法はフィールドから相手を場外に落としたら勝ち!!あとはレフェリーストップとかだな!!!』

『いつもながら黒らしいね。』

『ホットな場を冷ましちゃいけねぇ!!早速対戦カードの発表だぜ!!』


 来た。

 来た来た来た……!!


『一回戦!!霧雨イツキVSコジロウ!!』

「霧雨先輩ですか……!」

「あれ?でも、イツキは……。」

「…………。ちょっ、霧雨先輩!?」


 …………イツキは何処へ……?

こんばんは、アフロ月です。

萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?

開幕、闘技大会!

何だか不穏な空気漂う闘技大会ですが……。

イツキは何をやってるんでしょうね!!

間に合えばいいのですが……。全ては作者の思いのまま!

最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。

Thank You。

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