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萌葱色の変奏曲  作者: アフロペンギン
黒い雪原編
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第四十七章「乱れてる」

ハツガ「ミノリ。イツキに振り向いてもらいたい。」


ミノリ「イツキ様の趣味は女装なので、ハツガ様も男装してみては?」


ハツガ「……やってみる。」


イツキ「おいてめえら。」

 黒い雪原編

 第四十七章「乱れてる」




「はぁっ……はぁっ……!!」


 黒の国傭兵育成機関「闇夜やみよ一星いちほし」訓練場。

 イツキの発言から1週間経ち、ヒラメはすぐに特訓を始めた。

 ……トーナメントに出場するメンバーは3人しか選ばれない。

 自分も、イツキの役に立ちたい…………イツキの隣で戦いたい。


「ふっ……やあっ……!!とおっ!!」


 レイピアを振り、迫る的を斬っていく。

 戦闘に特化したこの機関は、戦いに関する設備が豪華である。望むものが大体揃っているくらいだ。


「はぁ……はぁ……。」


 汗が流れる。息もあがる。

 ……どれくらい特訓しただろう。

 疲労も溜まっているだろうし、少し休憩しようか。


「お疲れ様です。お嬢様。」

「……ありがとう、ミノリ。」


 傍らで立っていたミノリが、ヒラメにタオルと飲み物を差し出した。


「………………ミノリ……。」

「どうなされましたか?」

「……ミノリは特訓をしませんの?」

「お嬢様の奉仕の合間にしていますよ。あくまでも私はお嬢様のメイド。メインはこちらですから。」

「……余裕ですわね。」

「…………失礼ながらお嬢様。」


 一拍置いて、ミノリはこう言った。


「お嬢様は、何か勘違いをしておられるようです。」

「勘違い……?」


 ヒラメは眉を寄せた。


「はい。私は余裕だとは思っていませんし、お嬢様だって決して可能性が無いわけではありませんよ。」

「う、上から目線ですわね。」

「気を悪くしたのならば、申し訳ありません。」

「いえ、いいですわ。それにしても……。」


 ヒラメは壁際に歩みより、壁に背中を預けて座った。


「ミノリもやる気だなんて……珍しいですわね。」

「そうですか?」


 ミノリもヒラメのもとへと歩み寄った。


「ええ……。あっ、座らないの?」

「お嬢様の前では座れません。」

「なら、座っていいですわ。隣に来てくださいまし。」

「……失礼します。」


 ミノリはヒラメと同じように、壁に背中を預けた。


「それで話を戻しますけど、そんなにやる気を出しているのはどうしてですの?」

「私も、この一行の為に何かをしようと思いまして……。」

「そんな……ミノリは十分にやっていますわ。」

「ありがとうございます。しかしまだまだですよ。」


 ミノリは苦笑し、こう続けた。


「純粋に、戦いで役に立ちたい。私の戦績はあまり良くありません。」

「ミノリが……?」

「はい。実力不足が否めないのです。」

「…………。」


 それが謙遜なのかは分からない。

 だが、ミノリでさえ苦戦するような相手が間違いなくいるのだ。

 ヒラメは何かを思案し始めた。


「お嬢様?」

「…………よし、ミノリ。特訓を再開しますわ!貴女も一緒にどう?」

「いえ……お気持ちは嬉しいのですが、私は……。」

「遠慮したら後悔することもありますわ!ほら、早く!」

「……かしこまりました。」


 二人は立ち上がり、闘技大会へ向けての特訓を始めた。



 ・・・・・・・・・



「どうですか?神崎さんの調子は。」

「……静かに。」

「あ……はい。すみません……。」


 同じく一星。

 特訓場の一つ、遺跡の間では、ツユと日光がまぐろの為に特訓をしていた。

 そのまぐろは今、瞑想をしている。


「神崎。……少し乱れてる。」

「…………。」


 まぐろは少し息を吐いた。

 ……静寂に時は流れる。

 黙っていれば、自分の鼓動が聞こえる。

 まぐろが日光に教えてもらっている瞑想は、その鼓動の音さえも気にしては駄目だ。

 気にしては駄目だということすら忘れなければ。

 忘れることを、忘れろ。

 ツユは余計にこんがらがるなぁと思っていた。


「神崎、endだぜ。」

「……はぁ……。」

「まだまだだな。」

「うっ……それは十分に承知していますが……まだまだですか。」

「雑念が多いだろ。シャドウウルフもそう言っている。」

「……。」


 シャドウウルフというのは、日光の左腕に宿る黒き猛獣…………だと本人は語っている。

 なんてことない中二病を患ったおじさんなので、こういった類いの話は軽く流している。


「お疲れ様、神崎さん。」

「ツユ先生……お疲れ様です。」

「次は?」

「剣の素振りです。」


 そう言って、まぐろはトコトコと荷物を置いた所へ歩きだした。

 バッグの横に置いてあったブロードソードを持ち出し、広い場所へ行くと、構えた。


「……あれ?珍しい構え……。」

「あれは剣道だな。赤の国伝統の構えだ。」

「日光先生、知ってるんですか?」

「あれの素振りは箱庭で教える剣術とは違うが……まあ、基本を学ぶには丁度いいだろう。」

「ほー……。」

「俺もあまりdon't knowだ。詳しく知りたいなら、犬槇いぬまきくれないに聞いてみてくれ。あいつらは赤出身だろ?」

「はい。そうします。」

「神崎、始めていいぞ。」

「はい!」


 闘技大会に向けて特訓をするのは、何もヒラメやミノリだけではない。

 イツキの背中を見ないように。

 隣で歩いていけるように。

 前を歩けるように。

 一生懸命に強くなるのだ。

こんばんは、アフロ月です。

萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?

そういえば、ヒラメとミノリの関係ってお嬢様とメイドなんですよね。…………いやいや、それだけじゃない。

あの二人はそれ以上の関係のはず!!

例えば、実はミノリは姉だったり……!

例えば、実はミノリは魔物で、ヒラメは魔物使いだったり……!

例えば、実はミノリは……ミノリばかりだな。何故だ?

最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。

Thank You。

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