第四十四章「ヒラメin廃墟」
レイ「イヅギぐ~~~~ん!!抱き締めたいのだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
イツキ「ひっ……!!」
まぐろ「どうしました?」
イツキ「いや……何となく悪寒が……。大丈夫だよ、行こう。」
黒い雪原編
第四十四章「ヒラメin廃墟」
「…………。」
廃墟のとある部屋。
ベッドに座るイツキの手元には、手紙が二つ。
一つはレイからの手紙。
こちらはレイが帰ってくるまで読んではいけないという。
そしてもう一つはカサからの手紙だった。
こちらはもう読んでしまったのだが……内容はまだ伏せておいた方がよいだろう。
……ただ、少し急ぐことになってしまったかもしれない。
「イーツキ!」
「うわっ、ちょっ、ヒラメ!?」
「……?何を隠しましたの?」
「いや、何でもないよ。」
そそくさと手紙をしまうイツキ。
突然部屋に入ってきたヒラメに驚きつつも、イツキは笑って返した。
「…………えい!」
「ちょっ、やめろヒラメ!」
「私にも見せてくださいましー!!」
ヒラメが覆い被さるように襲いかかる。
カサの手紙はまだしも、レイの手紙を取られるわけには……!
「てやっ!」
「ぎゃあ!」
「取りましたわ……っと!?」
バランスを崩したのか、ヒラメは本当に覆い被さってきた。
彼女の髪が頬に触れた。
…………あ……芳しい………………じゃなくて。
「…………えっと……ヒラメ……。」
「ご、ごめんなさい!」
急いでベッドに座るヒラメ。何故か正座だった。
「いや……まあ、驚いたけど事故だし。こっちこそ、何かごめんな。」
「イツキが謝る必要性は皆無ですわ!私がバランスを崩してしまったばっかりに……。」
「えっと……理性が吹っ飛びそうになったけど、大丈夫だから。気にしないでくれ。」
「はい……。」
……萎縮してしまった。
「……。」
「……。」
ベッドに座っているイツキと隣で正座するヒラメ。
気まずい……。何か話した方がよいだろうか?
イツキは横目でヒラメを見てみた。
…………目が合った。
「どうかしたか?」
「いえ!……外の空気を吸いに行きません?ここ、少し埃っぽいですし!」
「ああ……そんじゃ、行こうか。」
・・・・・・・・・
「うっ……少し寒いですわね。」
「マフラーを持ってきておいてよかったな……。」
「ですわね。」
外はいつの間にか夜になっていた。
手持ちランプを携えて、二人は近くの丘に腰かけた。
「ふぅ……。」
「暖かそうなマフラーだな。それ、どうしたんだ?」
「白の国で、モチさんに編んでもらったのですわ。家事裁縫の得意な方でしたから。」
「へえ……。そういえばきちんと挨拶してなかったような……。」
「まあ、失礼ですわね。」
「あはは……。」
苦笑するイツキ。
「……よければ、編んであげましょうか?」
「え、いいのか?」
「ええ。もしどこか町に寄った際、毛糸を買いたいですわ。」
「そっか……ありがとう、ヒラメ。でも大丈夫か?」
「え?」
「いや、料理が壊滅的だったから。」
「むっ……私だって、やるときはやるのです!」
口を尖らせるヒラメ。
その仕草が妙に可愛らしかった。
「マフラー編んであげませんわよ?」
「あ、ごめん。」
「もう……。」
……すると、ヒラメが突然笑い始めた。
「…………フフ……。」
「なっ……なんだ?」
「いえ。こうやってイツキと話すなんて、久々だと思いまして。」
「あー……そうだなぁ。確かにこうやってじっくり話すなんて随分久しぶりかも。」
「………………ねえ、イツキ。」
「なんだ?」
「いえ、何でもありません。気にしないでくださいまし。」
ヒラメは立ち上がった。
「私は帰りますけど、イツキはどうします?」
「あ、じゃあ俺も帰ろうかな。ランプはあるけど暗いから気を付けろよ。」
「ええ。」
「……うわっ!?」
「…………イツキ……。」
……足元がよく見えず、転んでしまった。
格好悪い……。
こんばんは、アフロ月です。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
今回はヒラメに焦点をあててみました。
会話での汎用性は低くはないものの、たまに忘れられてそうなので……。
そして前書き!今回は思考を変えてみました。
ああいったものは得意なので、今後はあれメインかも。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。




