第四十三章「廃墟再び」
どうも、アフロ月です。
私はウキウキ派です。
黒い雪原編
第四十三章「廃墟再び」
「それじゃあユキさん!お元気で!!」
「おう。元気でな!!」
レジスタンスギルド救出から次の日。
明朝に白の国を出発する霧雨一行が、そこには居た。
「ユキさーーん!ありがとうございましたーー!!」
「まぐろも元気でなぁ!!」
「はい!!モチさんにも、よろしくお伝えくださーい!!」
大きく手を振りながら、別れを告げる。
白の国とも正式に同盟を組んだ霧雨一行。
次の目的地は……世界最大の国、黒の国だ。
「これで、さらに戦力を増やしましたわね。」
ヒラメが笑顔でそう言うと、イツキも笑みをつくりながらこう言った。
「おう。これで黒と同盟を組めれば……俺達はかなり優位に立てるはずだ。」
「ええ。黒の国には、カサが先行しているですのよね?」
「ああ。あいつ一人は心配だから、早く行ってやらないとな。」
「そうですわね……。歳寒三友では隊長を務めていましたが……私より年下の女の子ですから。」
緑の国三大都市の一つである二重薔薇ノ園で、カサは女王親衛隊歳寒三友梅部隊隊長を務めていた。
槍を武器に、イツキ達とは戦いを共にしてきた。
約1ヶ月前、桃の国での敗戦から道を違えた仲間達。
そのうちの一人がカサだ。
彼女は黒の国へ協力を求めに行っている。
それから現在まで連絡が一切無いので、心配であるが……。
霧雨一行は居場所を転々としているため、それは仕方無いことかもしれない。
「元気にしてるのかなぁ……。」
「心配だよねぇ~……。」
と、白猫が会話に加わってきた。
「……そういえば白猫さんは、桃の国でカサと手合わせしてましたよね。」
「うん~。可愛かったよぉグヘヘヘヘヘ……。」
「いや……俺が聞きたいのは強かったのかなぁってことで。」
「グヘヘヘヘヘ……そうさねぇ。舞い……地の吹雪をやってる私とやり合ってたしぃ~、カサちゃんは強いと思うよ。」
「へぇ……見たことはあれど、手合わせはなかったからなぁ……。戦いを上手く展開させるには、みんなの実力を知っておいた方が良いだろうし……白猫さん、今度、手合わせ願います。」
「いいよぉ。」
ふふふ~と気の抜ける笑い方をする白猫。
……イツキは苦笑するしかなかった。
…………レジスタンスギルドを発って半日経つと、黒の国の国境へと着いた。
日もすっかり昇り、ミノリに時間を聞くと午後3時だと答えた。
「ここからは山の起伏が激しくなる。エクステンドウルティマロングロングアゴーパフェにあまり負担をかけないよう、みんな歩いていこう。」
一応道はあるのだが、イツキの言った通り起伏が激しい。
馬車や荷台が落ちないよう、慎重に進んでいった。
すると……。
「……っ!霧雨先輩!!」
「どうしたまぐろ…………って、魔物かよ……!戦闘準備!」
現れたのは魔物、ゴブリンだ。
人型で、身長が低くすばしっこいのが特徴である。
道具を使うくらいは知恵がある。
数は……1……2………………7匹。多いな。
7匹のゴブリン相手に戦闘を開始するイツキ達。
とりあえず戦闘要員は決めていた。
イツキ、ヒラメ、まぐろ、犬槇、ミノリ、ハツガの6人だ。
他は荷台近くや馬車近くを守護している。
「やあっ!!」
「ほっ。」
「グギャア!」
イツキ、まぐろのコンビが1匹を仕留めた。
少しずつだが連携がとれてきている。
残り6匹。
「ミノリ、任せましたわ!」
「かしこまりました。」
ミノリが3匹のゴブリンを縛る。
ミノリの武器は脇差しなのだが、その刃は高エネルギー体で鞭のように「しならせる」ことが出来るのだ。
縛ったゴブリンを上へて放り投げる。
落ちてきたゴブリンは、1匹をヒラメが斬り、もう2匹は犬槇が仕留めた。
因みに犬槇は、何の変哲もない剣を使っている。
残りは3匹。
「ふっ……!!」
ハツガは空中でナイフを数本投げた。
脳天に命中。
ゴブリン3匹がバタバタと倒れていく。
「……。」
意外にもあっさり倒せた。これにはイツキも拍子抜けで、一行のレベルが高くなっていることが窺えた。
…………朝に言っていた手合わせは、中々手応えがありそうだ。
・・・・・・・・・
その後、何度も魔物と出くわしながらも順調に歩を進めていく霧雨一行。
やがて日も暮れ始め、霧雨一行は近くの廃墟で休むことにした。
「ここで休むんですか?」
「ああ。」
そこは廃墟と化した屋敷。
外から見ただけでもかなり広い屋敷だ。
手をかけると、ギィィと音を立てながらドアは開いた。
「……埃っぽいな。」
イツキを先頭に、ぞろぞろと屋敷へと入る霧雨一行。
一部はウキウキと。
一部はおどおどと。
そして一部は平静に入っていった。
「ミノリ!ミノリ!ちゃんと居ますの!?」
「居ません。」
「ひやああああ!!どこに行ったのミノリぃぃぃぃぃ!!」
「先程から手を握っていますから、ずっとここに居ますよ。」
ミノリは相変わらずだ。
おどおどするヒラメをからかっている。
いや……一応仕えているやつなんだから……。
「紅さん、痛い。」
「早くして!探検いくよ探検!!」
「俺を置いていかないでくれぇ……!!犬槇ちゃああん!!」
「ちゃん付けすんな。」
こちらは三拍子揃っている。
平静犬槇、ウキウキ紅、おどおど親父。
……親父…………お前……。
「お姉ちゃん……苦しい……分かるけど苦しいから……。」
「…………。」
意外にも、ハツガがおどおどしている。
分かるということは、ツユもおどおど派なのだろう。
「白猫、妾達も探検に行くのだ!」
「待ってよ白猫ちゃ~ん!」
「茶々猫は平気なんだな……。白猫、お前は駄目なのか?はっはっはっ!!傑作だぜぇ!!」
「くぅ……!」
大人げない日光。
……でも脚は震えている。
「まぐろさん、私達は部屋を探そうか。」
「は、はい、雨燕さん……。」
雨燕は平静派。まぐろはおどおど派か。
「………………あれ?」
残ったのはイツキ一人。
…………しまった。皆の様子を楽しんでいたら一人はぶられてしまった。
「みんな足が速いな……。もう姿が見えないわ……。」
溜め息を吐くイツキ。
少し……いや、かなり心細いが……どこかに行ってみようか。
すると、その時だった。
「…………誰だ?」
イツキは後方から人の気配を察知した。
声だけを出して、確認をとる。
そしてゆっくり……視線を後方へ。
「動くな。」
それは男の声だった。
「名前は?」
「……霧雨イツキ。」
「霧雨イツキ。俺がいいと言うまで動くな。」
「……はいはい……。」
カサカサと何かをしている。
一体何だ……?くそっ、早くこのことを仲間に……。
「…………いいぞ。」
男がそう言ったので、イツキはレイピアを抜きながら振り向いた。
「……あれ……?」
しかしそこには誰もいなかった。
代わりに、そこには一枚の紙があった。
気になって拾ってみると、それは手紙だった。
宛名はイツキ。
そしてその手紙を書いたのは……。
「…………カサ……?」
それはカサからの手紙だったのだ。
こんばんは、アフロ月です。
萌葱色の変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
皆さんはおどおど派?ウキウキ派?それとも平静派?
短いですが、最後に後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。




