第十四章「少女の遊び」
どうも、アフロ月です。
某RPGをプレイしたときの話です。
何故か敵は私でもヒロインでもなく、仲間の眼鏡君ばかりを狙うのです。
その敵を倒しても、その眼鏡君は別の敵に狙われる……。
敵よ。お前は何がお気に召さなかったんだ?眼鏡か?眼鏡が嫌いなのか?
黒い雪原編
第十四章「少女の遊び」
「…………なんッスか、この部屋。」
「あのね、あのね、オオノガンがね、ヒナに用意してくれた部屋なんだ!ここはヒナの部屋なんだよ!」
ヒナとの約束から3日後、ヒナと遊ぶことになったサゴは、ある部屋へとやって来ていた。
だだっ広い部屋で、所々破損していたり、へこんでいたり……ヒナの部屋と言っていたが、お世辞にも女の子らしい部屋とは言えない。
「お兄ちゃん、はやく遊ぼうよ!」
意気揚々とするヒナ。
サゴの手を引っ張って、部屋の中央へ連れていく。
「ちょっ、慌てないでほしいッス!まだ全快じゃないッスから……。」
「そうなの?」
「そうなのッス。」
「んー……そんなので遊べるの?」
「そのくらいなら大丈夫ッスよ。」
部屋の中央へと着くと、サゴは膝を曲げてヒナと同じ視線へと顔を下げた。
「さあ、何して遊ぶッスか?おままごとや、鬼ごっこでもやるッス?」
「え?」
「え?」
「遊ぶって言ったら、どんぱちってエトが言ってたよ?」
「……どんぱち……?」
「うん!」
するとヒナは、腰に差していた双剣を抜き構えた。
「お兄ちゃんも早く構えて!」
「…………いや、え?これ、遊びじゃなくねッスか……?」
「はーやーくー!!」
……嵌めやがったな……あの野郎……。
ヒナが言う「遊び」とサゴが思っていた「遊び」は全く違った。
ごっこ遊びではなく、戦い。
「遅いーー!!!」
ヒナが、不機嫌になっていく。どうやらあちらは待ちきれないようだ。
サゴは一つ溜め息を吐き、仕方無く双剣を構える。
「あれ……お兄ちゃんも双剣なの?」
「そうッスよ。扇型に刃がついた双剣、名付けて『和双・追扇』ッス!」
「か……かっこいいーー!!!ヒナも、ヒナも名付けたい!!」
「……つ、付けたらいいんじゃないッスか?」
「えっとね、えっとね……。うーん…………えっと…………そうけん…………。」
唸るヒナ。
……あれ?今から戦いを始めるんだったよな?
「…………あとにする。」
「そ、そうッスか。」
「それじゃあ、いっぱい遊ぼう!!」
ヒナが駆け出した。
接近するのが速い。
「いきなりッスね。」
右から左からと動く動く。
ヒナの手数はとにかく多い。小柄な体躯を活かして、攻めてくる。
「くっ……ふっ……!」
「りゃりゃりゃりゃりゃーーーー!!!!!」
「そんなに喋ってたら、噛むッスよ!」
ヒナの一撃を弾いた。
「りゃあ!?」
よろけるヒナ。
……隙が出来た。サゴはさらに、ヒナが持っていた双剣を弾き落とした。
「……勝負ありッス。」
ヒナの双剣は、少し離れた場所に落ちた。
「…………ぅ……。」
「え。」
「ぅああーん!!なんだよなんだよーー!!!」
……泣き出してしまった。
武器を持ち戦うこと以外は、年相応の女の子のようだ。
「ちょっ、泣かないでほしいッス!!」
「ああーーん!!お兄ちゃんのばかーー!!!」
「落ち着くッスよ……!えっと……えっと……。」
「……何してんだよ。」
サゴの後方から、男の声が聞こえた。
振り返ってみると、エトだった。
「ぐすっ……エトぉ……。」
「ヒナ。お前は負けたんだよ。」
「だってさ、だってさ……!」
「だってじゃねえ。俺と同じとは思っちゃ駄目だ。幸いこれは遊び、次がある。次は考えてみろ、いいな?」
「……うん。」
おお……さすが大人。と言うか保護者。扱いが分かっているではないか。
「お兄ちゃん……。」
「なんッスか?」
「…………もういっかい……。」
「フッ。どんとこいッス!」
パアッと顔を明るくするヒナ。
さて、もう一度だ。
・・・・・・・・・
少年は少女と出会いました。
この出来事が、この先どう関係していくのか……。
それを語るのは今ではありません。
さて、次はこちら。
黒の国です。
ここではもう一人、少年の双子の妹が、次の主役となります。
・・・・・・・・・
「この山を越えれば、黒の国へ入ることが出来る……。」
桃の国から緑、そして白の国を渡り、少女は黒の国へとやって来た。
そこは、世界最大の国。
山岳地帯が多く過酷な自然環境の国である。
魔物の数も多いと聞く。気を引き締めねば。
「……よし。」
一歩、足を踏み入れる。
また一歩山を登ってみた。
「…………ふぅ。疲れたな。」
ここで休もう。今日の記録は二歩だ。
「よし、この調子で行けば、約2年程で頂上へ登りつめるはずだ。腕がなるな。使うのは脚だが。」
フフ……と笑う少女。
自分で言うのもなんだが、うまい。
「………………いやいや、さすがに2年は……。イツキは1ヶ月修行をするのだから……。私も頑張らねばな。」
少女は、再び山を登り始めた。
彼女の名前はカサ。
先程出てきた名前、イツキの仲間である。
緑の国で出会い、戦いの道を共にしてきたイツキと別れ、一人黒の国へ向かったのだ。
前髪を分けているクールな少女で、動きやすい簡易鎧を身につけていた。
「やはり向かうは……機関だな。」
黒の国傭兵育成機関「闇夜の一星」。
今だ青の手に落ちておらず、戦闘に秀でた機関である一星なら……力になってくれるはずだ。
「……それにしても……自然豊かな山だな。」
緑の国にも引けを取らないであろうその自然に、カサは少しもの寂しさを覚えた。
…………青に占領された緑の国。一刻も早く取り戻したい。
「……よし。」
頬を叩き、意気込んで登っていく。
……やがて、カサが山の中腹にやって来たときである。
「……ん?」
カサは、一軒の家を見つけた。
区画整理されていない土地が多い黒の国では、家が点々と建っていることも少なくない。
もう日が暮れてきた。……泊めてもらえないだろうか。
「……行ってみるか。」
カサはその家へ足を向けた。
・・・・・・・・・
「……廃墟だな。」
玄関前へやって来たカサ。しかし、所々崩れ落ちていて家の周りを回ってみたのだが、明らかに廃墟だった。
「仕方無いか……。申し訳無いが、今晩はここに泊めてもらおう。」
カサは玄関のドアを開け、廃墟へと入っていった。
こんにちは、アフロ月です。
萌葱色変奏曲を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
1ヶ月前のサゴの物語はこれにて終了です。
また語られるときもあるかもしれませんが、ここではありません。
そして、続いては双子の妹、カサの物語。
1ヶ月前、黒の国へ向かったカサですが……まずは廃墟へと入っていきましたね。大丈夫なのでしょうか。
廃墟といったら何か起きるのが定石ですからね。
さて、最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に、感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。




